92:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 18:17:12.39 ID:sOMkQtx30
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……今日はもうダメだ。一度切って、明日また掛け直そう。
十コール目が鳴ったとき、俺は諦めて受話器を下ろしかけていた。
93:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 18:24:00.72 ID:sOMkQtx30
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制服に着替えて家を出るとき、母さんに妙なことを訊かれた。
「駆、ここの生活、楽しい?」
94:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 18:36:59.66 ID:sOMkQtx30
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空は黄昏れつつあった。時計を見ると、そろそろ六時になろうとしている。
透子は校庭にいて、一心に鶏の素描をしていた。俺に気づくと立ち上がって、でも、あるところで迎えの足が止まる。
95:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 18:42:13.59 ID:sOMkQtx30
「あっ、い、いや、妹から。ゆきくんがやなちゃんになっちゃったって」
ちょっと状況がよくわからない。だが――。
「こないだひなちゃんに、あっ、妹、陽菜、っていうの。ひなちゃんに、ゆきくんが実は水泳部の――」
96:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 23:48:14.96 ID:sOMkQtx30
改めて、《未来の欠片》について考えを巡らせる。
麒麟館で透子から『落ちる俺』を見たと聞かされてから、俺はずっと考えていた。
《未来の欠片》は、必ずしも確定した未来を示すものではなく。
97:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 23:51:47.29 ID:sOMkQtx30
「――こないだここで、ほんとこんな感じでスケッチしてたら、ゆきくんと会ったの」
ぽつ、と透子が静かに語り出す。俺は耳を傾ける。
「それで、美術準備室に二人でコンテ取りに行って……」
98:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 23:53:38.61 ID:sOMkQtx30
「そうか、そんなことがあったのか」
「あっ、いや、ほんとそれだけ! それ以外は何も……」
「でも、透子はそこで、激しく動揺したってことだろ?」
99:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/13(土) 23:58:11.44 ID:sOMkQtx30
「……あっ、でも――」
「なに?」
気まずそうに目を逸らす透子。俺は先に立ち上がり、彼女の返事を待つ。
100:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/14(日) 00:06:07.48 ID:yy9rkK6R0
「……井美雪哉か高山に、話したほうがいいかもしれない」
中に入ると透子が緊張するかもしれないと思い、廊下に立ったままで俺は言った。
「えっ? どうして? どうしてみんなに言ったほうがいいの?」
101:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/14(日) 00:19:15.90 ID:yy9rkK6R0
――そう説明しようとしたが、透子は急に険しい顔つきになって、目をさ迷わせ始めた。
「えっ……起きるの? また、あんなことが――――」
さっと影が落ちるように、透子の表情が硬く強張る。
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