146:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/18(木) 11:55:36.29 ID:OU1b3DXA0
「……私たち昨日、ずっと一緒にいたのに……」
目に涙を溜めて、透子が悔しそうに訴える。
「っ……」
美術準備室で共に過ごした一夜。
透子の場所にいることを許され、透子に守られていると感じて、確かに幸せだった。
けれども同時に、途方もない隔たりを感じた。
俺には、透子の見る雪が見えない。
透子がこの街で過ごしてきた長い時間、そこで何を見て、何を感じて、どう生きてきたのか、何も知らない、知りようがない、想像もできない。
透子にも、俺の孤独はきっとわからない。
俺が街から街へと飛び回ってきた長い時間、そこで何を見て、何を感じて、どう生きてきたのか、どれだけ言葉を重ねたって、本当の意味で理解されることはないだろう。
それくらい、俺たちは異なる世界を生きてきた。
時を戻せないように。
人生をやり直せないように。
それはどうしようもないことのように思えて、俺は透子の顔を見られなかった。
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