167:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/20(土) 14:47:28.38 ID:e2KAc5lx0
*
「星、見えないね……」
そう言うと、透子は「そうだっ!」と何か思いつき、持っていた包みを解いた。
「これ、星になるかな?」
中に入っていたのは、花火のように色とりどりの、蜻蛉玉。
「これ、全部君が?」
「うん」
「……すごいな」
数もそうだし、柄も一つ一つ違う。かなり気合いを入れて製作した作品のようだ。
俺は、そのうちの半分を受け取り、手のひらを器にして乗せる。
透子も同じようにして、手のひらいっぱいに蜻蛉玉を湛えて、空を見上げる。
そして、透子は大きく息を吸い込み、空に叫んだ。
「せーのっ!」
息を合わせて、心を合わせて、俺たちは蜻蛉玉を宙に放った。
いっぺんに撒かれた蜻蛉玉が、街明かりを反射して無数の輝きとなる。
その輝きは連鎖し、透子の《欠片》が、まるで世界に溢れ出すように、夜空へと拡散していく。
「……流星……」
きらきらと、出会った日のように、見えないはずのものが見えた。
「……ああ」
この光景を俺は一生忘れないだろう。
出会って、惹かれて、触れ合って。
戸惑ったりすれ違ったり、怖くて立ち止まったりもした。
君の目に映るものが見えなくて、もどかしく思った。
それでも今は、こうして見えている。
「駆くんにも見えるの?」
君と同じ景色を。
「ああ――」
いつかまた、こんな夜空を君と見上げよう。
そう思って、思ったときには、彼女の手を取っていた。
ガラスのように煌めく流星が、次から次へと、天から滑り落ちていく。
今なら、どんな願い事だって叶えられる――そう、思った。
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