42:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:52:51.19 ID:4h98r15f0
「カケルって――」
「馬偏に区」
誤った変換をされないように、食い気味に答える。
『翔』ではなく、『駆』なのだと。
「馬を走らせるとか、追い立てるとか、そういう意味。もしかしたら、名付け親は何かの欠如という意味も付加したかったのかも」
「親は子の名前にそんな意味かけたりしないと思うけど」
もちろん、俺だってそんなことはわかっている。
高山も「当たり前じゃない」と明朗な声で否定してくれる。しかし、
「……そう、かな」
現に俺は今、自分が不完全であると感じる。
何かが欠けている――そんな感覚が、影のように付き纏う。
「雨が、上がる……」
降り始めと同様、急速に過ぎ去る雨脚。
空を見上げれば、散らばる雨滴に光が反射して、きらきらと輝いている。
透子なら、こういった光景でも《未来の欠片》が見えるのだろうか。
今頃どこかで、同じように雨上がりの空を見ているだろうか。
透子に会いたい……。
そう、俺が思っていると。
「あっ、これありが――痛っ」
合羽を返そうとした高山が、体勢を崩してこちらに倒れてくる。
咄嗟にその身体を支えながら、俺は心の中でため息をついた。
今この瞬間に透子と鉢合わせたら、不本意な誤解を生みそうだな……と。
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