5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/03(水) 20:28:12.54 ID:DvK9a+dU0
翌日、俺は転校の手続きに必要な書類を受け取るため、日乃出浜高校を訪れた。
既に夏休みに入っていたので、登校している生徒は少なかった。野球部員がグラウンドで練習していたり、美術部員がなぜか放し飼いにされている鶏をスケッチしていたりと、そんな程度。
閑散とした校舎に入り、担当の先生と会って、少し話をした。しかし、昨日のことが気になって内容が頭に入ってこない。俺は適当なところで話を切り上げ、そそくさと帰り支度をした。
日差しが遮られて薄暗い昇降口から、炎天下の屋外へと足を踏み出す。
ふと、つば広の帽子を被った美術部員の姿が目に留まった。
少し癖のある、長い髪の女の子。その明るい髪色に、俺はハッと息を飲む。
「……君だったのか」
再会できるとは――それも昨日の今日で――思ってもみなかった。
俺の《未来の欠片》に、何らかの変化を齎した……かもしれない存在。
同じ学校の生徒ならば、声をかけても不自然ではない。もし違っていても、その時はその時。ひとまず自己紹介をして、それとなく探りを……。
「――ダビデ!」
振り返った彼女は、開口一番、驚きに満ちた表情でそう言った。
「ダビデ……?」
意味がよくわからない。
いや、ダビデとはイスラエルの王の名か、あるいは美術部員ならば、あの有名な石像のことを指しているのだろう。
しかし、なぜ俺を見ての第一声が、ダビデ?
……少し変わった子なのかもしれない。
「おおい、きみー、これ」
話の端緒を探っていると、先ほどの先生が俺を追ってやってきた。転入手続きに必要な書類を持ってきてくれたのだ。すっかり本来の用事を失念していた俺は、礼を言ってそれを受け取った。
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