1:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/03(水) 19:40:26.53 ID:DvK9a+dU0
†
ピアニストの母さんは、職業柄なのか、人柄なのか、ひとところに留まらない人だった。
それが原因で、子供の頃から俺は各地を転々としてきたけれど、そのことで母さんを恨んだことはない。
むしろ、母さんのしていることは、それがなんであろうと、正しいように感じられた。
母さんのような生き方に、憧れていた。
広い世界を飛び回る、まるで翼が生えているような、母さんの背中。
その後ろについていくことを許されたのだから、俺は恵まれていた。
母さんの生き生きとした姿を間近に見ることができて、俺は誇らしかった。
……ただ、一つだけ。
この胸にわだかまる気持ち。
ふとした瞬間に襲いくる痛み。
それだけが、ずっと、影のようにぴたりと付いてきて、俺を苦しめた。
しかし、それも俺が完全な人間になれば。
散らばる断片を集めて完成した形になれば。
いつか、何かしらの決着をつけられるはずだ、と。
そう、思っていた。
2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/03(水) 19:54:56.47 ID:DvK9a+dU0
<第1話 花火>
転校は初めてじゃない。
ただ、これが最後になるかもしれなかった。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/03(水) 20:07:16.43 ID:DvK9a+dU0
『花火、少しくらい見ていかないのか?』
ほとんど歩く機械みたいになっていた俺を見かねたのだろう、《俺》が苦笑気味に言う。
『よせよ。俺は祭りが苦手なんだ。知ってるだろ?』
4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/03(水) 20:11:26.57 ID:DvK9a+dU0
何が起こっている?
《未来の欠片》で何かが見えたことは一度もない。
明らかにこれまでのものとは違う。
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