【グラスリップ】透子「かけるくん?」
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60:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 11:48:25.82 ID:W+HAaMa50
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その日、俺は午前中と昼過ぎの二度、透子に電話を掛けた。
会う約束を取りつけるつもりだったが、一度目は慌ただしく切られ、二度目も要領を得ないまま早々に切られてしまった。
61:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 11:53:20.77 ID:W+HAaMa50
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外で話したい、と言った井美雪哉は、要件はおろか、どこに行くのかも告げずに、ひたすら俺の前を歩き続けた。
そうしてやってきたのは、例の急な階段の上にある神社。
62:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 11:57:00.91 ID:W+HAaMa50
状況的には、以前に透子からハイキングに誘われたときと同じ。答えは決まっていた。
ただ、今回は相手が井美雪哉――気を遣う必要もないので、俺はあけすけに突っぱねる。
「なら断るよ。わざわざ波風を立てる必要もないだろ」
63:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 12:03:57.56 ID:W+HAaMa50
俺が透子に関わり、透子の友人関係に変化をもたらす可能性は、考慮していた。
それでも、引き下がるという選択肢はなかった。
透子は、俺がずっと探していて、やっと見つけた、《未来の欠片》を解き明かす鍵。
64:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 12:11:21.45 ID:W+HAaMa50
「おまえ……っ!」
ほとんど挑発のような俺の言葉に、井美雪哉の顔がみるみると気色ばむ。
睨み合いは数秒続いた。先に目を逸らしたのは俺だった。
65:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 12:43:08.86 ID:W+HAaMa50
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しばらくその場に立ち尽くしていたが、乱れた心中はなかなか治らなかった。
じっとしていても仕方がない――俺は足元に気をつけながら、急な階段を下りていく。すると、
66:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 12:47:02.52 ID:W+HAaMa50
思いつめたように、井美雪哉のことを案じる透子。
俺の胸にまた暗い靄が立ちこめる。
部外者の俺は、透子たちの過ごしてきた日々を何も知らない。
67:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 12:48:29.69 ID:W+HAaMa50
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「うちに寄っていかないか?」
自転車を押しながら後ろをついてくる透子に、俺は言った。
68:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 12:56:40.24 ID:W+HAaMa50
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家の扉を開けると、玄関に女性物のパンプスが置かれていた
それに、リビングからうっすらと聞こえてくる、華やいだ声。
69:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/09(火) 13:00:37.07 ID:W+HAaMa50
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例の高台までやってきて、乱れた息を整えると、俺は草の上に寝転がった。
透子は俺の隣に腰を落ち着けて、同じように呼吸を整えている。
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