85:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/09(火) 21:32:57.22 ID:W+HAaMa50
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その日の夜、俺はテントの前で昼間の出来事について考えを巡らせていた。
俺は透子の見たという《未来の欠片》を整理してみる。
俺が透子から聞いたのは、『泣いている高山』と『入院している永宮』。
これらは実際にそうなった――厳密に確認はしていないが――《未来の欠片》だ。
それに、透子は俺のことも見たと言っていた。
細かい内容までは聞いていないが、少なくとも俺は透子のそばにいることを望んでいるわけだし、その分だけ未来の透子は様々な俺の姿を見ることになるだろう。
今回の『落ちる俺』も、そのうちの一つと考えるべきか。
『高所恐怖症になりそうだ』
そう、《俺》が言う。
『引きこもりになるのもいいな』
ロクな対策が出てこない。
俺は次に、俺の聞いた《未来の欠片》を思い返してみる。
透子と出会ってから、幾度となく彼女の《声》を聞いてきた。
未来を見たいと言う声、俺の名を呼ぶ声、どこかへと誘う声、探し求める声――。
それらは多少形を変えて現実になったように思うが……。
《――違うのかもしれない――》
明るい《声》が多い中、一つだけ妙に翳っていた《声》に、引っかかりを覚える。
「……まさか……」
名前を付ける、というのは不思議なものだ。
そうすることで見えてくるものもあるし、見えなくなるものもある。
「未来じゃない、のか……?」
結局、夜が更けても、確かな答えは出ないままだった。
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