何も無いロレンシア
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13: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:36:14.90 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※



「目付け役がいてな。途中から置いてきてしまったが、道すがら目印は用意していた。多分もうじきここに来るだろう。奪われた物を運ぶのに人手も必要だから、そいつ等と合流してから帰る」

「……そう」

 俺の言葉に妹は関心なさげに相槌を打つ。先ほどまで姉に泣きすがっていたが、今は無表情にただ姉を抱きしめている。

 回収した物品のことを置いておいても、こんな状態の二人を街まで連れ帰るのは俺一人では無理だ。

 別に慌てる必要は無い。もうじき馬を代わる代わる走らせた、城主伯の目付け役が慌てて来るはずだから。

 俺のような一目でわかる危険人物を先行させてしまったのだ。さらわれた娘たちに酷いことをしていないか、金銀を隠して後で回収しようとしていないか。気が気でないだろう。

「まあアイツ等が遅いのが悪い」

「……」

 スピードが勝負の依頼だった。馬を一人二頭ずつ用意し、馬を交代させながら休まずに走る。馬が疲れてからは自分の足で走った。だから俺より一日早く出ていた盗賊たちに、一日で追いつくことができた。目付け役たちはそれができなかった。

 俺の独り言に姉妹のどちらも反応しなかった。姉は反応できないし、妹にはいつものように嫌われてしまっているから当然だ。

 取りあえず奪われた物は一ヶ所に集め終えたことだし、二人と会話ができるわけでもない。やることがないのなら、依頼を受けてから一度も休息をとっていないことだし仮眠をとろうと木に体を預けた時だった。

「――――――――――」

 何か予兆があったわけじゃない。ただ気づいた時には剣を手に取り、離れた茂みの方に構えていた。

「なに……? どうしたの!?」

 最初はぼうっと。しかし何か良くないことが起きていることを察した妹が、姉を強く抱きしめなおして叫ぶ。

「……オマエはそこにいろ」


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