21: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:41:13.76 ID:zJUkddjZ0
この男の技に興味はあったが、それ以上に関わると面倒になると思い背を向けようとした時だった。
背を向けていたので推測だが、きっとシモンは会心の笑みを浮かべていたことだろう。
それほど絶妙なタイミングで、シモンは俺の興味を十分に惹く言葉を吐いた。
「貴方と同等の実力者を、既に四名集めました」
「……正気か?」
俺と同等の実力者となると、一つの国に数名、世界中を数えれば百人ほどか。
その中で国や組織に所属しない輩はけっこう多いので、金さえ積めば集めるのは不可能ではない。
問題は集めた後の事だ。
そうだから強くなれたのか、強くなっていくうちにそうなっていくのか。それは人によりけりだが、俺と同等の実力者ともなれば、まずマトモな人間は存在しない。
一人なら、まあよほどクセの強い奴を雇わない限り大丈夫だろう。
二人でも、その二人の相性が悪くなければ、まあなんとかなるかもしれない。
だがそれ以上は――ましてや四人、さらに俺も加えて五人となり一ヶ所に集まってしまえばどうなるか。
まず間違いなく惨劇が起きる。依頼を達成する前に、依頼人の命が散ってしまう。
一ヶ所に集めなくとも、そもそも細心の注意をもって俺たちは扱うべき存在だ。一人でも頭を悩ます存在を、離れた所から別々に扱おうとすれば管理しきれず、まったく予期しない事件に発展することは容易に想像できる。
本気であるかどうか以前に、正気であるかを疑わざるをえない。
「いえいえ、仰りたい意味はわかります。貴方一人ですらもろ刃の剣なのに、さらに四人など! ご安心ください。貴方たちを制御する気も、互いに連携させる気もはなからございません」
手を振って否定するその姿はいちいち大げさで、不快感で相手を振り回して自分のペースへ引きずり込むのがこの男のやり口なのだろうかと、薄ぼんやりと考える。
はて、不快感を最後に抱いたのはいつだっただろうか。
「だったらどうする?」
窓が一つだけの、諦観と汚臭に満ち満ちた大部屋をなんとなく思い出しながら問い質す。
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