8: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:32:46.46 ID:zJUkddjZ0
剣を肩に乗せ、“奴”が俺の目の前に立つ。
“奴”の腕ならば、次の瞬間にも俺を[ピーーー]ことができる。
許されるのは一言だけだ。
でも恐怖でいっぱいの頭は、気の利いたセリフなんてひねり出してくれなかった。
「どうか……どうか、命だけは」
武器を投げ捨て、必死になって頭を下げるだけ。
その下げた頭に容赦なく罵声が浴びせられる。
「なにが命だけは、よ!! それだけは止めてと私がどれだけ頼んでも、オマエたちはせせら笑うだけだった!! 人の大切なモノを嗤うオマエ達が、自分のだけは止めてくれなんてどうして言える!!」
黙れと怒鳴りたかった。余計なことは言うな、まだ“され”足りないのか。“奴”の背を押すのは止めろ。
死にたくない、死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくな――
「一つ疑問なんだが」
けたたましい女の声などどこ吹く風と言った様子で、“奴”は平坦な声で問いかける。
恐る恐る顔をあげると、“奴”は不思議そうに首を傾げていた。
「オマエは好き勝手生きてきた。こちらの姉妹にしたことだってそうだし、それ以外にもあるだろう。襲い、奪い、謳歌する。それを何度も何度も繰り返した。そうでなきゃオマエのその嗅覚は養われないからな」
だからこそ疑問なんだと、“奴”は続ける。
「そんだけ好き勝手生きたのに――もう十分だとは思わず、まだ生きたいのか?」
十分か、だと? そんなもの――
「い、生きたいです!!!」
生きたいに決まっている。
死ぬのは怖い。死ぬのは嫌だ。まだだ。もっと美味いもんを食いたい。もっと女を襲いたい。気に入らない野郎をもっとぶっ殺したい。もっともっともっとだ。
際限などあるはずがない。
何が十分だ馬鹿が!!
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