566: ◆ujHylXatJU[saga]
2019/10/31(木) 20:54:46.23 ID:1TDhW2kZO
黒森峰学園都市中心部 ライヒ病院
「砲声……?」
白衣の看護婦が東向きの窓のカーテンをめくる。空には依然として雲が張っている
「そう言えば今日は郊外で戦車道の試合がやってましたね」
と分かれば良くあることである。別に気にすることではない
カーテンを元に戻すと、反応が返ってこないのが分かりきってる話しかける。だがこうして話している言葉も患者の耳からは入っていく。そうした刺激がこの人の脳を再び活性化させるかもしれないのだ
そして詳しいことはわからないが、それが学園に必要なこと、らしい
「確かケーブルテレビで中継もやってますよ。西住さんのお仲間も戦ってるんですよね。一緒に応援しましょう」
まず電動ベッドを動かし患者の上半身を起こす。ワゴンに手をかけながら机の上のリモコンを手に取ると、電源を入れ、慣れた操作でチャンネルを黒森峰ケーブルテレビに合わせる。患者が元気な時にやっていたことを、ここではしょっちゅう流しているから
『戦車道をこよなく愛する皆さんこんにちは。ヨーゼフ加ヶ丘です。黒森峰中央放送より、黒森峰演習場にて行われている全国高校戦車道大会の様子をお伝えいたします
試合は膠着状態に入っていますねぇ。黒森峰戦車道選抜部隊は市街地を見下ろす見晴らしの良い丘に停止したままです。選手たちは落ち着いた様子を見せています
大洗は苦しいですね。これでは側面も背後も取れません。南山さん、どう思われますか』
『そうですねぇ。両サイドも的確に塞いでますね。このままいくかもしれません』
だがここでの解説はいつも学園に有利な情報だけを伝えてきている。永らくここに身を置くうちに、そこに関しては割り切れるようになっていた
だが彼女らが今の私たちの生活を守っている。それもまた周知の出来事だった
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