加群「鏡の向こうの」
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8:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:15:24.72 ID:pOwoTKMWo

 無感動に歩みを踏み出す彼の足元に転がる生体部品もまた、その演出の一部か。
 彼女の異様なシルエットを形作っていたもの。ただの血と肉と金属で出来た鎧のようなもの。
 詳細は不明だが、恐らくはこれらにもそう特別な機能はない。多少は改造されていても、通常の駆動鎧の域を出ないだろう。
 血と肉の主たる役割は外見を誇張する為の虚飾だ。自分を暗闇に隠しながらも他者の目を気にする、臆病な心性の一端。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:15:54.08 ID:pOwoTKMWo

 恐らくそれは、彼にとっては切り札でも何でもないものだったのだろう。
 選択肢の一つとして発想し、開発し、試用した。そして想定通り目的にそぐわないことが確認出来たので破棄。
 そこにどれだけの技術力が注ぎ込まれていようが、ただそれだけのことなのだ。

以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:16:22.23 ID:pOwoTKMWo

 その死を確認しても、彼の作業は終わらない。
 まだ最後の手順が残っている。

「……大丈夫だ。君は間違えたが、まだ戻れる」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:17:56.12 ID:pOwoTKMWo




『お疲れ様』
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:18:27.53 ID:pOwoTKMWo

 かつては、加群は脳幹の喫煙に対して非常に厳しかった。
 それは勿論彼の身を案じているわけではなく、子供たちの成長を見守る教師としての立場からの意見だった。
 愛煙家の教師など幾らでもいるものだが、木原加群という教師は煙草の臭いを付けたまま子供たちの前に立つことを嫌っていた。
 ただ漫然と教師になったのではなく、高潔な精神を持って子供たちと接していた。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:19:22.10 ID:pOwoTKMWo

『そういえば、あの銃はどうしたのだね。元々一発撃ちきりの仕様だったようだが』

「破壊した。残骸で良ければ勝手にするといい」

以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:20:22.13 ID:pOwoTKMWo

『……いや、そうか。そうだな』

 しかし、脳幹が言及しようとしたのはそこではない。科学だとか、或いは魔術だとか、そんなことは二の次で。
 ただ彼は年長者として、一人の社会人の服装を叱責しようとしただけだ。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:20:52.93 ID:pOwoTKMWo

『無理を承知で尋ねるが、考え直すつもりはないのかい。未だこの街には君の助けを必要とする子供がいるはずだ』

「落第防止のような職が常に必要とされること自体、あまり褒められたことではないのだがね」

以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:21:36.57 ID:pOwoTKMWo

『……そうか』

 だというのに、木原加群は、かつてと同じようにその成果に背を向ける。
 その枠組みを越えて子供たちを救ってきた彼が、自らの姓のみを理由にして、教師であった自分を過去にしてしまう。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:22:03.09 ID:pOwoTKMWo

「もう良いか」

『壮健で、などと言うのもおかしな話だろうな』

以下略 AAS



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