過去ログ - |w´‐ _‐ノv空に軌跡を描くようです
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1
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◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 21:43:39.98 ID:ark0cRN00
《CDCよりカタパルト、状態知らせ》
《カタパルトよりCDC、状態良好。問題なし》
《CDC了解。待機中の全機に通達、カタパルトの状態良好。
現在時刻マルナナヒトマル、順次発艦を開始せよ》
ミ ゚ ゚彡《了解、これより発艦する─────Spear-01, Take off》
《Spear-02, Take off!!》
視界の端で、誘導員が三機目……即ち私の機体を空に上げるべく腕を振る。私は後部座席の観測員に手で合図を送りながら、ラダーペダルの上部から足を離してブレーキを外す。エンジンスロットルを80%の位置まで動かしつつ、ちらりと今一度計器類に目をやる。
全ての計器のランプが安全を示す緑色を灯しているのを確認し終えると同時に、機体は滑走路を駆け出す。
速度120ノット。操縦桿を手前に引く。200M先にあったジャンプ台は一瞬で目の前だ。
アフターバーナーを始動、ピッチ角が10°に達する。
機体が浮き上がり、ジャンプ台を駆け上がり、空へと解き放たれる。
|w´‐ ‐ノv「……Spear-03, Take off」
全身をGに押さえ付けられつつ、目の前に空が迫ってくる。
そうして私は、空に軌跡を描き出す。
SSWiki :
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2
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 21:44:43.32 ID:ark0cRN00
天空を駈け、敵機を見つけ、ただ撃墜しろ。あとはくだらないことだ
───マンフレート・フォン・リヒトホーフェン
3
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 21:45:17.50 ID:ark0cRN00
〜|w´‐ _‐ノv空に軌跡を描くようです〜
4
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 21:46:02.28 ID:ark0cRN00
「皆違って、皆いい」という言葉が表すとおり、元々人間は各々が個性的な生物種族だ。
その中でも私は筋金入りの変わり種だったらしく、同年代の少年少女と話が合った記憶はほとんどない。
社交的で頭の回転が速い昔馴染みが傍にいてくれたおかげで、幸い孤立したりいじめられたりはしていない。自身の率直な感想や思考を口に出した結果周囲の人間から苦笑いされるという、特にありがたくもない経験を無駄に豊富に積む羽目になったが。
以下略
5
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 21:47:13.73 ID:ark0cRN00
空を飛びたい。
それは例えば幼子がよく抱く、鳥のように飛びたい等の憧憬の念ではない。
私は自身が母の胎内から放出され呼吸を始めてからの経過年数が片手で足りる時分より、「戦闘機であれ旅客機であれ、空を飛ぶ職に就き空を駆けてみたい」という明確な目標意識とそれを達成するための計画を既に胸中に抱いていた。
以下略
6
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 21:48:32.67 ID:ark0cRN00
|w´‐ ‐ノv「……」
風防ガラス越しに、私は眼下の海を見下ろす。今し方飛び立った防空指揮艦【かが】の横には、大洗女子学園の巨躯が横たわっている。
私は挨拶するように学園艦に向けて軽く左手を挙げてから、隊長機に続いてその場を飛び去る。
以下略
7
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 21:50:24.06 ID:ark0cRN00
退役済の型落ち機体を急遽下請け・改装した代物とはいえ、巡航速度の時点でマッハに近い速度を叩き出せる第4世代ジェット戦闘機。
大洗港から青ヶ島までというなかなか途方もない距離であっても、到着にかかる時刻は14、5分に過ぎない。
だが、時の流れは状況によって速く感じることも遅く感じることもある。今の私たちにとって、音速を超えての飛行すらまるで亀の歩みだ。
以下略
8
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 21:52:50.92 ID:ark0cRN00
《旗艦龍驤より青ヶ島鎮守府全域に通達!!増援来る、増援来る!!!》
反響はすぐだった。無線からきこえてきた龍驤の声は、恋い焦がれた相手に告白された乙女もかくやの華やぎぶり。さっき富佐隊長が通信を繋いだときの、ドドメ色一色といった具合の声色からえらい変わり様だ。
しかし、無理もないか。私が同じ状況だとしたら、例えそれが役割だと解っていても最低生米一俵は積んで貰わなければ間違いなく敵前逃亡しているね。
以下略
9
:
名無しNIPPER
[sage]
2017/03/26(日) 21:55:44.76 ID:hS0NJ1erP
支援
いいね、ミリタリー
10
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 21:58:07.69 ID:ark0cRN00
「Hit Hit Hit!!」
より深く、より長く、私たちは群れの中に槍を突き入れ続ける。M61バルカンの六連装銃身が唸りを上げ、貪欲かつ愚直に進路上の敵機を薙ぎ払っていく。
今度は、深海棲艦たちも無視しなかった。
以下略
11
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 21:59:07.48 ID:ark0cRN00
戦いは相手次第。生き様は自分次第
────小野田寛郎
12
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 22:07:36.99 ID:ark0cRN00
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13
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 22:08:46.31 ID:ark0cRN00
(;´Д`)「─────よぉおおお〜〜〜〜〜かっっっっったぁああああーーーーー………」
その報告を聞いて僕────青ヶ島鎮守府提督、八頭進(はっとう・すすむ)一等海佐相当官は、ようやく安堵の息をついて椅子に座り込んだ。
小躍りどころの話じゃない。ずっと早鐘のように鼓動していた心臓が、今の報告を聞くや肋骨の中で跳ね回り始めている。
以下略
14
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 22:11:24.08 ID:ark0cRN00
(´Д`)「各艦隊で現在損耗を受けている艦は中破以上は艦種を問わず全艦鎮守府正面海域から退却!
それと、龍驤さんと瑞鶴さんも下がって!艦載機の予備を其方に回す、沿岸で悪いけど受け取って!」
《解ったで!》
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15
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 22:14:48.46 ID:ark0cRN00
「お疲れ様なのね〜♪」
(;´Д`)「あ、ありがとう……っふぅ」
矢継ぎ早に指示を出し終えて一息ついた僕の眼前に、湯飲みに入ったお茶が置かれる。龍驤さんが前線に出ているため代理秘書艦となっている、伊19さんの入れたものだ。
以下略
16
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 22:19:13.92 ID:ark0cRN00
(´Д`)「“危険思想の持ち主で自衛隊を蝕みかねない”って」
17
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 22:31:25.21 ID:ark0cRN00
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18
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 22:33:04.81 ID:ark0cRN00
《青ヶ島鎮守府高射部隊、Gun Tank-01より周辺空域各員に伝達。対空掃射を開始する、注意されたし!》
《Jaguar-01よりGun Tank-01、自衛隊に味方の弾に当たる間抜けはいない。存分にばらまかれたし!》
────戦況は急速に動き出していた。
以下略
19
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 22:37:24.17 ID:ark0cRN00
|w´‐ ‐ノv「おーい観測士君、敵艦載機隊の数はどうかね」
「まだめちゃんこいますよ」
|w´‐ ‐ノv「うげぇ……」
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20
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 22:40:08.97 ID:ark0cRN00
本日十何度目かの旋回で再び青ヶ島へと向き直ったところで、私の視界内で群体が唐突に大きく揺らぐ。
一瞬大規模散開の前兆かと身構えたが、それが違うということは群れの内部から機銃を放ちつつ出てきた小さな零戦の編隊によって示される。
《補給完了や!軽空母龍驤、これより戦線に復帰するで!!
以下略
21
:
◆vVnRDWXUNzh3
[saga]
2017/03/26(日) 22:58:58.34 ID:ark0cRN00
そして、この戦いぶりを目の当たりにしたからこそ、思う。
ミ ゚ ゚彡《見とれている場合じゃないぞ。俺たちも撃ち続けろ!
西から那覇鎮守府の龍驤-02、東から横須賀第5警備府の蒼龍が新たに戦爆連合を発艦させている!これの突入を援護しろ!》
以下略
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