提督「臆病で愚図」

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302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 09:18:19.87 ID:VFUJpyeIo
>>301
榛名おちつけ
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/30(水) 00:59:50.21 ID:Hv0jgYnY0
まだか
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/31(木) 20:05:36.58 ID:Bd7QtOG60

榛名は扉から手を離し、扉に細い隙間を残して更衣室へと消え、曇りガラスに人影を写す。

榛名が見えなくなってからすぐに夕立を体から引き剥がそうと、肩を掴んで腕で身体を押す。

しかし、私が引き剥がそうとするのに気付いたのか、夕立は頬を膨らませて不満を表明し、背中に腕を回して離れるのを拒否する。こいつ、さっきの榛名の言葉が聞こえていなかったのか。

何とか夕立を引き剥がそうと悪戦苦闘している内に、扉の隙間越しから衣擦れの音が鼓膜を揺らし、そのたびにガラスの人影が動いて白と赤の色彩が乳白色へと変わっていく。

扉の隙間が大きく開く。

榛名「……失礼致します」

タオルを右手に掛け、夕立と同様に肌を晒した榛名が浴室に入ってきた。

夕立と比べてみると重みのある乳房や少し大きめの乳輪、はっきりとした膨らみを魅せる臀部、色の濃くなった陰部など、成長期と成熟期の違いが見て取れる。

……局部や胸に目が行くのは“さが”というものか。というかタオルがあるのになぜ隠さないのか。

断りの一言を述べた後、鈍色の髪を揺らして浴室の床に足を着け、無言のまま私の後ろについた。

そして腰をゆっくりと曲げ、上から私の前を覗き込む。

浴室内ではあるものの榛名は髪をまとめていないため、覗き込んだ際に髪が垂れて鈍色の帳が表情を隠す。

榛名「へえ……『洗ってあげた』ですか……」

私に抱きついている夕立に顔を向けると、抑揚のない声で呟いた。

榛名「提督はそうやって駆逐艦の娘たち洗ってあげるのですね。榛名、知りませんでした」

左手が私の肩にそっと置かれ、顔が私の方を向く。

榛名「提督、夕立を、どう、洗ってあげたのか教えていただけませんか? ……榛名、気になります」

髪の間から見える橙色の瞳が、炭に燻る炎を連想させた。

夕立「知りたいの?」

夕立が榛名を見上げて、不思議そうな声を掛ける。

榛名「ええ、とっても」

榛名は夕立に答えながら顔を向ける。表情が再び髪で隠れる。

夕立「じゃあ、教えてあげる」

榛名を見上げたまま、私の右肩を掴んで夕立は身体を離す。

夕立「提督さんのおっきな手でね、おっぱいの隅々まで綺麗にしてもらったの。そのあと、こうやって身体をピッタリくっつけて、逞しい胸板で夕立のお腹やおへそやお股を洗ってくれたの」

夕立は説明をしながら、自分の乳房を下から持ち上げ、揉みしごく。その後、再び私に身体をくっ付けてゆっくり上下に動かす。やめろ。

夕立「榛名さんがこなければ、今度は逞しいこれでお腹の中もゴシゴシしてもらうつもりだったの。榛名さんが来なければ」

そういって夕立はお尻に当たっている私の陰茎を、榛名に見せつけるように割れ目で擦る。勃ったままの自分の息子が憎い。

榛名「そう」

そういって髪を掻き上げた瞬間、熱した泥のような瞳が見えた。

榛名「ありがとう。じゃあ、今度は私が夕立の身体を洗ってあげるわ。汚れを全部削り落としてあげる」

榛名はタオルで隠していた右手を出した。

その右手に持っていたのは ━━━━━ 鑢(やすり)。

しかも踵などの角質を落とすものではなく、金属を削るための鉄工ヤスリ。どこから持ってきやがった。
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/12/31(木) 20:10:59.81 ID:Bd7QtOG60
・今年は ここまで

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/31(木) 20:25:35.56 ID:sKpkVNtao
こわーい
307 :以下、2016年まであと4397秒。。。 [sage]:2015/12/31(木) 22:46:43.44 ID:JBTLiNRxo
ヒェェ…乙
308 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/01(金) 01:11:09.99 ID:cLryteq00
あけおめ
今年も更新期待しております
309 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 22:03:59.72 ID:cnSUPGj6o
遅ればせながらあけおめ
長編物は大変でしょうが頑張ってください
310 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/12(火) 22:40:57.98 ID:5euoTgLP0



夕立「プッ」



榛名がヤスリを見せてすぐ、気が抜けるような音が漏れる。

夕立「プッ、ププッ、そんなので夕立の肌をキレイにできるっぽい?」

歪んだ笑顔で馬鹿にするように笑う。

確かに、ただのヤスリなら艦娘の肌に傷一つ付けることはできないだろう。

榛名「ええ、できるわ」

嘲笑を圧殺するように、静かに断言する。

榛名「妖精さんたちが艤装の錆を落とすために使っている自慢の一品だもの。艦娘の肌でもしっかり削り落とせるわ」

その言葉で、夕立の歪んだ笑顔が一転して険しく引き攣る。本当にどっから持ってきた。

榛名「さあ、キレイにしてあげるわ」

榛名はタオルを離し、腕を上げてヤスリを眼前に構え、夕立を見下ろす。

ヤスリには多数の突起が備えつけられており、まるで鬼の金棒が如く凶暴な雰囲気を醸し出している。

もはや凶器にしか見えないそれを構え、瞳に強烈な輝きを宿して頭上にそびえるその様は、地獄の獄卒鬼に見えた。

提督「待て、榛名」

右手で引き留める。いくらなんでも猟奇沙汰は勘弁願いたい。

榛名は私に振り向いて微笑む。

榛名「大丈夫です、提督。榛名はただ、汚れを、削るだけです。きたないきたないきたない汚れを」

榛名の左手が私の右手を掴んで引っ張り、力ずくで体を振り向かせる。風呂椅子の床をこする音と共に体を半回転させられ、抱きついていた夕立が榛名の正面に姿をさらす。

榛名「ご存知ないかもしれませんが、ヤスリで角質を落とすと肌がつるつるになるんですよ。このヤスリはそのための物です。だから、そう、決して提督が思っているようなものではありません」

嘘つけ榛名。私が足柄に見せてもらったヤスリはまかり間違ってもそんな禍々しいものではなかったぞ。そもそもさっき錆落とし用と言ってなかったか。

榛名「さあ、いつまでも提督にくっついていないでこっちに来なさい薄汚いフケ犬女。その不清潔な肌を削げないでしょう?」

普段の榛名からは考えられないような残虐な感情と醜悪な言葉をむき出しにし、悪鬼羅刹がごとくおどろおどろしい左手が夕立に肉薄する。

夕立は私から降りるとそのまま背面に素早く隠れる。

夕立「やだ……提督さん!」

助けを求めるように私に抱きつく夕立に対し、榛名はヤスリを逆手にもち、私の体を支えに背部を覗き込む。

榛名「……」

ヤスリを振りかざす。

提督(ああ、もう)

正面に垂れるたわわな果実、そこにぶら下がる生ハム色をした滴。

その滴を摘む。



そして一気に引っ張った。



榛名「ぴゃうっ♡!?」

夕立「ぴょいっ!?」

榛名の敏感乳首は私が育てた。
311 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/13(水) 02:53:48.35 ID:qb7CmnZF0
きたか?きたのか?
312 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/13(水) 02:53:48.29 ID:qb7CmnZF0
きたか?きたのか?
313 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/13(水) 02:53:48.41 ID:qb7CmnZF0
きたか?きたのか?
314 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/13(水) 02:54:20.16 ID:qb7CmnZF0
きたか?きたのか?
315 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/13(水) 03:39:14.85 ID:fHknyH0h0
荒ぶり過ぎ
316 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/14(木) 05:33:43.53 ID:JAoqXiEu0
更新きてんじゃーん生ハム喰いたくなった
317 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/14(木) 23:24:06.34 ID:3xX/ky8Ho
堕ち済みでしたか
318 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/16(土) 13:12:55.88 ID:bwAnc/oO0

情けない声が聞こえた瞬間、腰が抜けたのか榛名がのしかかってきた。

すかさず、榛名の尻を指が食い込むほど鷲掴みにし、腰を引きずり落とす。

そして前戯もなにもなしに秘部に肉棒を押し込む。


榛名「ひぅっ!?」

夕立「え?」

滾り付いた陰茎が秘所を守る二つの花弁を押しのけた瞬間、榛名の喉から声が漏れた。


榛名「おっ? お゛ぉお゛おおおっ?! お゛ほおぉっ!」

夕立「ぁっ、あああ……」

にゅプッ、と亀頭が挿入し、ヌプププププゥッ、とひだ肉を押しのけ膣道を陰茎の形に整えながら突き進み、ズンッ、と肉塊を膣奥に叩き付けた。


榛名「あ……? う? あっ……! ああっ! て、提督、挿入って……ますっ……提督のが、挿入って、挿入っちゃってますぅ!」

提督「そうだな……で、なにか問題でもあるのか?」

肉棒が膣内に入ったのに気付いた榛名に対し、膣内をカリでほじり、奥をえぐる。ついでに乳首も弄っておこう。

榛名「んんっ! だ、だって、こんな、いきなりぃ」

抗議の声を上げている割に、榛名の中は溶けそうなほど熱く濡れており、ひだ一枚一枚が肉棒に絡みついてくる。

提督「なんだ、したくないのか?」

榛名「したいですぅ♡♡♡♡♡」

一気に蕩けた顔になった榛名が抱きついてきた。そのまま情欲任せの口づけをされる。ヤスリの刃が背中にちょっと当たって痛い。

舌が絡み合うのと同時に、生殖器も絡み合う。

妙高が羽毛布団のように柔らくてほじくり回したくなる膣内なのに対し、榛名は入口付近が柔らく、中程と奥がキツい。そして一旦陰茎を奥まで挿入れると今度は入口付近もしまりが良くなり、食虫植物が如く獲物を逃さまいと絡みついてくる。

何度か腰を揺すって中を味わっていると、榛名の身体が突如として小刻みに震え、唇が強く押し付けられる。

榛名の手からヤスリが離れ、硬く鈍い音が響く。

震えが止まり、その余韻を十分に堪能した後、唇が名残惜しげに離れる。

唇に糸を残し伏し目がちにほほ笑む様はなんとも淫靡だ。



━━━━━その顔が一転して歪み嗤い、榛名の手が私の背後に伸びる。



夕立「がっ! ぅ……ぁあっ」

榛名「だめよぉ夕立ぃ、今提督が楽しんでるんだからぁ♡」

榛名の手が夕立の頭蓋を掴み、指の力で締め上げる。
319 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/16(土) 13:13:44.35 ID:bwAnc/oO0

夕立の手からヤスリが落ち、再び鈍い音が床に響く。

提督「榛名」

榛名「はいぃ♡ はるなぁ、わかっていますぅ♡」

榛名は夕立から手を放すと、腰を激しく動かし打ち付ける。

榛名「いひひひひひひひひひひひ♡ 夕立よりもお姉様よりも先に、あっ♡ 提督にぃ♡ ひひっ、ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ♡」

榛名の腰の動きで陰茎がしごかれ、睾丸から精液がポンプのように汲み上げられていく。

榛名「ひんっ♡ くるっ、きちゃうっ♡♡ すごいのくるうぅ♡♡♡」

喘ぎ声と笑い声をあげながら、別の生き物のようにうねる膣がさらに搾り上げてくる。膣内に蛸でも飼ってんのか。

榛名「あっ♡ くるっ♡ 提督の主砲から三式弾がぁきてぇ♡ 榛名ぁ、大破しちゃますぅ♡」

なに言ってんだこいつ。

提督(むっ)

睾丸から精液が精管を伝い、尿道を押し広げながら陰茎を膨らませ、膣道と押し合い擦りあいながら亀頭へとせり上がっていく。

榛名「あっ」

榛名の身体が再び震えると、入口から奥へと順に締りつけていく。

提督(つっ……)

膣壁に押し出されるかたちで鈴口から精液が噴射し、溢れ零れるように膣内へと飛び出す。

榛名「あっ♡」

膣内が精液で段々と満たされていくごとに、榛名の顔がふたたびとろけていく。

榛名「あはぁっ……♡ ちゃくだぁん……♡♡ ちょくげき、ですぅ……♡♡♡」

身体をビクッ……ビクッ……と震わせ、脳髄まで溶けきった榛名が力なくのしかかってくる。

射精の余韻に浸りながら、榛名の濡れた生暖かい肌を抱き、浴室内を見渡す。



夕立が、浴室内からいなくなっていた。



浴室の扉が揺れている。

耳障りな金属音を立てながら。


320 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 13:46:03.50 ID:cMsQPuaZo
盛り上がって参りました
321 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 14:24:19.42 ID:XNjw6iwJo
こんな食虫植物が家にもほしい
322 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/19(火) 00:47:44.25 ID:1XT2mMEB0
素晴らしい。
323 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 11:11:39.47 ID:4N4DM6ma0
>>1の前作とかあるのかしら...
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 13:57:29.77 ID:qWxgowOG0

提督「……榛名、起きろ」

榛名「ぁんっ♡」


一通り浴室内を見回し、夕立がいないのを再確認した後、榛名の下腹部を突き上げて起こす。


提督「出るぞ」

榛名「……あっ、ぃやぁっ、んっ♡」


未だに締め付けてくる膣内からヒダがめくり上がるのもお構いなしに強引に陰茎を引き抜く。

引き抜いた後も塞がりきらないままの膣口から白濁した精液が粘りつきながら垂れていき、浴室の床に白いシミを一つ二つと作っていく。

シャワーで陰茎についた精液と膣液を洗い流し、同時に榛名の膣内の精液を指で掻き出す。


榛名「あっ♡ ひっ♡ そんなっ♡ 乱ぼっ、うぅん♡ お゛あぁっ、ひゅっ♡」


シャワーを掛けながら、卵白を泡立てるように中指と薬指の二本の指で膣内を掻き回す。

精液が出てこれるように膣内をほじくり回し、膣道を広げながら精液の溜まり場へ指を進める。


榛名「あっ♡ おっ♡ んんっ♡ おっ!♡ イクっ!!♡♡ イくぅぅぅぅぅっ!!!♡♡♡」


精液が一通り掻き出され排水溝へ吸い込まれた瞬間、突如腰を浮かせて濁声を上げ、陸に上がった魚のように痙攣した。

榛名は再び放心状態になり、壁にもたれかかる。

私はシャワーを手に取って、口を半開きに明けて虚ろな目をしている榛名の身体を洗い流す。


提督「榛名、ほら」

榛名「提督……んっ」

提督「んっ」


榛名の身体を引き上がらせようとした近寄った途端、寄りかかってきた榛名に唇を奪われた。

舌を絡ませる情熱的なものではなく、柔らかく優しい口付けが唇を覆い、そして離れる。


榛名「提督、榛名、幸せです……」

提督「……行くぞ」

榛名「はい♡」


結局まともに身体は洗えなかったが、まあいい。


提督(夕立はどこへ行った?)


そう思って扉に手を掛けようとした時、更衣室からガラスが割れる音がした。
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 13:58:41.63 ID:qWxgowOG0

すぐさま扉を開けて更衣室に入ると、床に透明な液体とガラス瓶の破片が散らばり、そこから柑橘類の匂いが発せられていた。

あの瓶は確か━━━━━


榛名「あ……?」


何かを奪われたような声を漏らし、床に散らばった破片へと榛名が近寄る。


榛名「あ? なん……で?」

夕立「それ、臭い」


床に膝を着き項垂れる榛名の前に、赤と白の布切れが降り注ぐ。


夕立「それも、臭い」


夕立の持っているヤスリには榛名の装束の切れ端が残っていた。


夕立「おまえも、臭い」


ヤスリを榛名に目掛けて振り下ろす。


提督「夕だ」

金剛「HEEEY!! テイトクーッ!! 着替え持ってきたヨーッ! Let’s change clothes!」

夕立「うるさいっ!」

金剛「ッ!?」


矛先を変えたヤスリが更衣室に入ってきた金剛に狙いを定める。

金剛が持っていた私の着替えが引き裂かれ、ヤスリにかすったのか金剛の指から血が跳ねる。


夕立「臭い、みんな臭い、臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭いっ!!」


噴き出すような声を上げ、振り払うようにヤスリ振り回す。


夕立「こんなに臭いと、提督さんが汚「いい加減にしろ、クソガキ」がっ?!」


夕立の首根っこを掴み、壁に叩き付ける。
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 13:59:10.68 ID:qWxgowOG0

夕立「えっ? 提督さん、なんで……?」

提督「なんでじゃねえよ。こんなことしといてよ。てめえ、脳ミソ腐ってんのか?」


夕立は頭を振って訴える。


夕立「だ、だって、だってっ! あいつの香水をつけたら、提督さん臭くなっちゃうっ! こいつが触れた服なんて着たら、提督さん汚くなっちゃうっ!
提督さんが汚いなんてやだっ! 提督さんが臭いなんてやだっ! 綺麗じゃないとだめっ! 提督さんはキレイじゃないとだめなのっ!」

提督「……」


夕立は涙目で訴える。


夕立「だから、ねっ? 提督さん、この手、放して? お掃除するから、お部屋のゴミ、夕立、お掃除するから、ね?」

提督「……なんのために?」


夕立は不思議そうな顔を浮かべて訴える。


夕立「ここは夕立と提督さんのお部屋だよ? お部屋にゴミと虫がいたらお掃除するでしょ? 提督さんと夕立の二人だけのお部屋を、提督さんが快適に過ごせるように、提督さんのために、キレイにするの」

提督「私のために、ね……」


夕立は笑みを浮かべる。


夕立「うん、大好きな提督さんのために」

提督「『私のことが好き』か」

夕立「うん、好き、大好き」

提督「その好きな人のモノを壊すのが、お前の愛情の示し方か」


夕立の表情が、止まった。

327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 13:59:43.91 ID:qWxgowOG0

提督「その服も、その香水も、私のものだ。香水は、気に入っていた。その好きな人の、好きなモノを、それを壊すのが、お前の好きな人への愛情の示し方か」

夕立「あ……あっ、えっ、あ……」


夕立の顔が怖れ色に染まる。


提督「好きな人の前で、約束を破って。好きな人の前で、平気で人を傷つけて。好きな人の前で、仲間をゴミや虫扱いする。それがお前の愛情の示し方なんだな?」

夕立「あっ、や、いやっ、いやっ!」


夕立が、怯える。


提督「そんな愛情、私には必要ない」

夕立「やだっ、やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだっ!」





























提督「お前も、いらない」














夕立「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!」


何もかもを振り払うような慟哭が、部屋に響いた。

328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 17:37:36.99 ID:ft1yEzSl0
もうやだこの鎮守府・・・
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 20:13:28.48 ID:WhbUrLRKo
どうあがいても絶望
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 00:36:08.84 ID:WglZN5RTo
この提督がなんとか支配できてるのは全員がヤンデレなのだからか……

エロエロ改造の結果もあるだろうけど、こうしないと死ぬんだろうな。
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 00:37:06.74 ID:sDT+Ah3Lo
実のところ深海の子たちからもエンガチョ扱いされてるだろ、これ
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 00:41:07.29 ID:WglZN5RTo
鎮守府自体がエロゲの館と化しているな。
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 14:21:54.93 ID:4FDVpR7po
首輪でもつけて縛り付けておかないと何をしだすかわからんなあ
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 18:51:20.19 ID:PnQF2Oza0
もはや場当たり的に飴と鞭を振り回して一時しのぎを繰り返すしかない末期感
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 22:50:52.22 ID:lCwpyEd2o
しかも、あちらを立てればこちらがのエンドレスと言う
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/26(火) 09:08:21.02 ID:zzb2xiWh0
あちらを立てずに解体すればエンドレスじゃないよ(錯乱)
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/05(金) 00:21:56.75 ID:iXdTJxh10
まだか
冬場に全裸はキツいんだが
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/05(金) 02:03:41.74 ID:+AO6oXtYo
せめて靴下くらい履けばいいのに
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/05(金) 16:52:40.72 ID:8B+tlXJg0
息子に靴下被せてやれば寒くないよ
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/05(金) 16:55:16.59 ID:mlnoyY+7o
まだ被膜がついてるだろ…、お前らの主砲には
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/05(金) 21:42:01.97 ID:91aZfYaE0

崩れかけの瓦礫のように震え、両手で耳を塞ぎ、紙屑のように蹲る夕立。

夕立の傍に落ちていたヤスリを拾い、離れた場所へ投げ捨てる。

静けさで凍りついた部屋に、鈍い金属音が響く。


金剛「テートク」

提督「金剛、怪我は?」

金剛「I’m Okay. それより榛名ガ……」

提督「ああ……夕立を見ていてくれ」

金剛「Aye, aye, sir」


金剛に夕立の監視を指示した後、項垂れる榛名の横に座る。


提督「榛名、怪我はないか?」

榛名「……」

提督「榛名?」


榛名は私の言葉に反応せず、項垂れたまま割れたガラス瓶に視線を固定している。

微動だにしない榛名に不安を覚えるが、よくよく顔を見ると口元をもぞもぞと動かしている。

顔を少し近付けて、榛名の口元に耳を寄せる。


榛名「━━━━━なんでなんでなんで? なんでなくなっちゃたの? なんでわれているの? なんでこんなふうになっているの? どうしようどうしようどうしようなにか別のモノをお渡ししないと、でも提督はこれがお気に入りだと仰ってましたもしお気に召さないものをお渡ししたら怒られる軽蔑される嫌わる捨てられる嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ━━━━━」

提督「……」

榛名「━━━━━大丈夫です大丈夫です大丈夫です大丈夫です大丈夫です大丈夫です大丈夫です。これを直してお渡しすれば嫌われない怒られない捨てられないきっと大丈夫です大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫━━━━━」


榛名が割れたガラスの破片に手を伸ばす。

それを掴んで止める。
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/05(金) 21:43:01.24 ID:91aZfYaE0

榛名「提と……!?」


掴んだ手と反対の手で、破片と液体が飛び散る場所に手を乗せる。

驚愕する榛名を尻目に、液体と破片を手に塗りつける。破片が皮膚を傷つけ滅茶苦茶痛い。

手についた液体の匂いを嗅ぐ。柑橘類と鉄錆の匂いが混じって痛みをさらに刺激する。


提督「これはいいモノだな、榛名。体臭なんて自分では気付かないものなんだが、お前はいつも細かいところまで気遣ってくれる。本当に良い娘だ、榛名は」

榛名「提「怪我はないようだな、榛名」


榛名の言葉を遮り、掴んでいた手で榛名の頬を撫でる。


提督「良かった。お前の綺麗な顔に傷がついたらどうしようかと思ったんだ。本当に良かった」

榛名「……おケガ、を……」

提督「ん? ああ、そうだな、怪我をしてしまったな。綺麗にしてくれるか、榛名?」


傷口から血が垂れる人差し指を榛名の前に差し出す。


提督「さあ、口を開いて。綺麗にしてくれ、榛名」


榛名は驚いた顔をしていたが、赤い糸が絡み伸びる手をしばらく見つめると、段々と息を荒げ始める。

息を荒げながら、見開いた眼を指に注ぎ、舌を差し出してきた。

指から落ちた血の滴を舌で受け止めた後、指にしゃぶりつき、傷ついた手を舐め回してくる。


提督「本当に良い娘だな、榛名は。とても良い娘だ。榛名は良い娘。良い娘、良い娘、良い娘、良い娘、良い娘、良い娘、良い娘、良い娘━━━━━」


「良い娘」と褒めながら、榛名を優しくやさしく撫でる。

一滴一滴体内に入るごとに、一回一回撫でるごとに榛名の身体が震える。

私の声と、榛名が指をしゃぶる音が部屋の中で不気味に木霊する。
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/02/05(金) 22:19:12.46 ID:91aZfYaE0
・本日は ターンエンド

・前作……? そんなもの ウチにはないよ……_onz

・res ありがとうございます 返信をあまりできなくて 申し訳ありません

・この スレタイで 中身がわかったひとは いるかな?

・見直すと 書き直したいところが ちらほら orz

・えろシーンをもう少し……

・台詞と 地の文の 行間を 少し広くしました 読みやすくなったかな?

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/05(金) 23:39:21.09 ID:YF51HZTBo
>>342は本番よりえろいよ
すばらしい
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/06(土) 01:53:05.54 ID:hEW8GbS0o
乙。
ヤンデレ描写うまいっす。
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/06(土) 06:25:11.45 ID:BZO7j8yD0
今一番楽しみにしてる
頑張ってくれー!
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/14(日) 13:03:40.96 ID:14o8ftDh0

指から滴る血液が唾液へと変わるころなって、榛名も舐めるのを止め、繋がりを残すかのように糸を引きながら舌を離す。

息を荒げながら呆けた顔をし、次の私の言葉を期待の眼差しを向けながら待っている。


提督「よくできたな、榛名。とてもキレイになったぞ、ほら」

榛名「あ……あっ、あっあっあっあっ」


榛名は、私が声を掛けて手のひらを見せると、目を見開きながら口を震わた。

そして突如として両の手のひらを床につけ、額を擦りつけるように床に当てる。


榛名「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます━━━━━」

提督「なに、気にすることはない。今日は少し残念なことがあったが、せっかくだ、今度一緒に新しいものを買いに行こうか」

榛名「一緒……?」


榛名の顔が上がる。そうであって欲しいという希望と聞き間違いではないかという疑惑、そんな感情が混じった表情と瞳が顔に宿る。


提督「そうだよ榛名。二人で一緒に選んで、二人で一緒に買って、同じものを二人で一緒につけよう」

榛名「榛名と提督が、一緒……ふたり……」

提督「ああ、そうだよ」


榛名は頬を、夢か現かを確かめるように、両手で覆う。


榛名「━━━━━へっ♪」


榛名の喉から声が漏れる。


榛名「へっ、へへっ、へへへっ♪ へへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへっ♪ へへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ♪♪♪♪♪」


端を吊り上げた唇から壊れた口琴のような音が鳴る。


提督「榛名、私は夕立と少し話があるから、外で待っていてくれるか?」

榛名「へっ、へへっ♪ はぁい♡ へへっ、へへへっ♪」


榛名はそのまま泥水のようにゆったりと更衣室から出て行った。
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/14(日) 13:04:11.79 ID:14o8ftDh0

榛名が出て行ったのを確認したのち、金剛に声をかける。


提督「金剛、夕立と話があるから、榛名と外で待っていてくれるか?」

金剛「Do you want me to take care of Yuudachi?」

提督「必要ない」


背を向けてタオルで水気を取りながら、金剛の提案を、どっちの意味で言ったのかわからないが、断る。


金剛「I’m understand. My L……テートク」

提督「ん?」


金剛の呼びかけで背後に振り向くと、光のない灰色の瞳が呑み込むようにこちらを覗きこんでいた。


金剛「榛名と何をしていたか、後で全て話して下サイネ?」

提督「……ああ」


底なし沼のような雰囲気を放ちながら、金剛は出て行った。

……さて、問題はここからだ。夕立を説得して榛名との溝を少しでも埋めなければ。

本当なら、当人同士が話し合うのが一番良い気がするが、この状態の夕立とあの状態の榛名を引き合わせても改善には至らないだろう。

個人的な意見としては、今回のことは夕立が全面的に悪い。約束事は破るし、娘を傷つけるし、罵詈雑言は吐くし。

いつもの夕立なら……

まて


提督(焦り、か?)


そうだ、なにか見落としていると思ったが、それだ。

足柄の時も、大鯨の時もそうだった。なぜそこまで他の娘を拒絶する? 引き離されることを嫌がったからか?

だとしたら、浴室に入る前、素直に言うことを聞いたのはなぜだ? いやしかし、結局直ぐに浴室に入ってきたしな。

私の勘違いか?

……考えても仕方ない。思考に時間を取られている暇はそれほどないのだ。


提督「夕立」


声を掛けた瞬間、夕立がびくりと身体を震わせた。

恐る恐る顔を上げ、声を掛けたのが私だとわかると、飛び付いて必死に抱き着いた。


夕立「やだ、やだやだやだ、捨てられるのはやだっ! あなたに捨てられたら、あたし、どうすればいいかわかんないっ!」


怯えた声をあげる夕立は、身体を擦りつけ、私の体を掻き毟り、鉤爪のように私を捕える。

その動きが一瞬止まる。

夕立の視線が、割れた瓶と散らばった布切れに集まる。


夕立「部屋、汚れてる……お掃除……お掃除しないと、綺麗にしないと……!」


突如として、なにかに突き動かされるように、自分が汚した場所を掃除しようとし始める。

349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/14(日) 13:04:48.68 ID:14o8ftDh0

私は夕立の腕を掴み、その行動を止める。


提督「夕立、待て」

夕立「あっ、ち、違う、違うんです! これは『あの時』にみたいに、あなたを追い出そうとしたわけじゃないんです!」


腕を掴んで動きを止めた瞬間、夕立が訴えるように叫んだ。


夕立「あの時だって、本当は、ただ……ただ怖かっただけなんです! また『あいつ』みたいな人間があたしたちを虐めに来たんだって! 本土の人間も、海軍も、もうあたしたちを助けてくれない! だから、自分たちを守るにはそうするしかなくて……」


声をあげ、息を荒げ、目を見開き、瞳孔を震わせ、懺悔するように過去を吐露していく。


夕立「だけどあなたは優しくて……ずっと、優しくて……とても、暖かい匂いのする人だって……」


私に手を掴まれたまま、項垂れ、か細い声で呟く。


夕立「あなたが、あいつに撃たれて……ベッドで目が覚めなくて……色んなことを謝らなきゃいけないのに……声なんて届かなくて。あなたの目が覚めた後、言おうと思っても、どう言えばいいかわからなくて」


床に膝を着き、顔を逸らし、髪で表情を隠し、もう片方の手は潰れるほど強く握られていて。


夕立「ずっとここにいて欲しいと思ったときには、もう、取り返しがつかないところにまで来てしまって……黒ずんでいくあなたから、もう、冷たい臭いしかしなくて」


涙声で震える唇の上から、透明な滴が流れていく。


夕立「ここに戻ってきてからも、あなたはずっと冷たい臭いをしてて、でも、すぐに明石さんたちが、あなたを直してくれて。暖かい匂いがして」


震える声から、優しい声音に変わる。

だがすぐに、それは嘆きを含んだ声音に取って替わる。


夕立「でも、今朝は感じられなかったの! あなたの暖かい匂いがっ! いつもだったら『ある』のにっ! どこにもないのっ! 冷たい臭いしかしないのっ! あたし、また、あの時みたいにあなたが黒ずんでいってしまうんじゃないかって!」


顔を上げて私を見上げる夕立。その瞳には涙が溢れている。


夕立「こわい……こわいよ……」


夕立は、再び私を抱きしめる。
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/14(日) 13:05:20.02 ID:14o8ftDh0

提督「……『冷たい臭い』?」

夕立「……海の底みたいな、怖くて寂しい臭いなの」

提督(海の底……)

夕立「間宮さんが『もし冷たい臭いを感じたら、抱きしめてあげなさない』って、そう言ってたの。『冷たい臭いは情動が関係するから』って、『傍にいて抱きしめてあげれば抑えられるから』って」


離さないように強く、抱きしめられる。


夕立「言うとおりにしたら、暖かいに匂いが戻ってきたの。あなたの匂いと暖かさが、日向ぼっこしてるみたいに、とても心地よくて」


夕立が埋まる胸元から、冷たい滴が流れていく。


夕立「だけど、霞を怒っているとき、愛宕さんとキスをしているとき、またあなたから冷たい臭いがしたの……あたしたちと一緒にいるのがいけないのかな、って思って。でも一人にしておけなくて」


掴んでいた夕立の腕を離し、抱きしめ返す。


夕立「二人きりになったら、いけないってわかっているのに我慢できなくなって……そしたら、榛名さんが入ってきて、あなたが榛名さんと一つになって」


冷えていく夕立の身体を、抱きしめて暖める。


夕立「また、あなたから冷たい臭いがしたの」


冷えていく身体が暖められない。


夕立「引き剥がさなきゃって思った。そうしないとまたあなたが黒ずんで汚れちゃうかもしれないから」

夕立「でも、あなたは、あたしを、こばむの」

夕立「失いたくないのに、傷ついて欲しくないのに、できることをできるかぎりやっても、なにも届かない」


届かないとわかっていても諦めずに、優しさを、弱々しく、喉元から撃ちだしていく。


夕立「もう、どうすればいいの……?」


それが、止んだ。


提督「……」


……そうだ、この娘はこういう娘だった。時雨のときもそうだったじゃないか。

戦いは勇猛果敢、仲間のことになると一直線、自分の身を顧みずに突き進む娘。

だけど、とても不器用な娘。
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/14(日) 13:06:13.84 ID:14o8ftDh0

提督「夕立、大丈夫だ」


夕立の頭を撫でる。

夕立が顔を上げる。


提督「お前の言う『冷たい臭い』は、決して悪いものではない」

夕立「でも……でも!」

提督「確かに、これは病気による臭いと同じだ。だが、明石たちから受けた改造はな、逆にその病気を利用して、傷ついた内蔵を補完しているんだ」


ゆっくりと、言い聞かせる。優しく。

夕立に感じていた怒りは、もう無くなってしまった。


提督「お前たちで喩えるなら『改修』が近いか? あれと同じように特殊な素材を使って身体を治療しているんだ。それを行った上で、ゆっくりと時間をかけて素材が私の身体を改造していくんだ。
お前たちと違って、私の改造はとても時間が掛かるから、今朝お前が感じた『冷たい臭い』はそれだけ治療が進んだということなんだよ。
だから、決して悪いことじゃないんだ」


思い出してみれば、妙高をベンチに叩き付けた時、頬が少し腫れていた。

人間の攻撃ではほとんど傷を付けられないはずの娘たちに、傷をつけた。

それはつまり


夕立「病気じゃないの……?」

提督「……ああ」

夕立「死んじゃったりしない?」

提督「ああ」

夕立「いなくならない?」

提督「ああ」

夕立「提督さん」

提督「なんだ、夕立」



























夕立「ここに、いてくれますか」

提督「ああ……もちろんだ」





情けないな、私は。
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 13:18:43.26 ID:hB4+q48eo
おお、きてたのか
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 01:09:18.42 ID:c4VnL1rl0
提督はゾンビですか?
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 01:11:42.13 ID:a/XmMA94o
『あの時』が気になる
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 03:40:35.97 ID:5GTr0e6to
ゾンビで房中術によるエロをしないと死んでしまう身体かな。

たぶん鎮守府が隔離されてるのもそのせいか?
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/26(金) 22:38:37.34 ID:E/1DD7ujO
おっもしれぇ
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/27(土) 23:55:13.09 ID:Bbs5cMEL0

夕立の白い肌を抱きしめて、夕立の綺麗な髪を撫で続ける。


提督(優しい、か)


娘たちはただ、今まで私以上に優しい人に出会ったことがなかった。

ただ、それだけ。

私が優しいわけじゃない。私より優しい人はいくらでもいる。

だから━━━━━


『━━━━━『次』は……?』


突如として甦る記憶、鮮明な映像。

映るのは、雲一つない蒼い空、濁りなき青い海、穏やかな波の音、埠頭、車椅子、包帯、点滴、黒ずんだ右手、指先には赤錆が噴いている。

目の前に居るのは、青い海によく似合う砂色髪の娘。

頭部両側を菊のような形に纏め、そこから時を刻む砂のように髪が垂れて、風で小さく棚引いた。

左手にあるものを穏やかに強く握りしめる。


『━━━━━『次』っていつよ?』

『━━━━━あんたの言う『次』の優しい人間っていつ来るのよ?』

『━━━━━じゃあ、もし、その『次』の提督が、あのゴミ屑よりも、私たちを捨てた連中よりも、ずっとずっと頭が良くて、残酷で、卑怯で、酷い奴だったらどうすればいいのよ!? また耐えろっていうの!?』

『━━━━━耐えて耐えて耐えて、その『次』の提督がいなくなって、でも、その『次の次』の提督がもっともっと恐ろしい奴だったら?』

『━━━━━その『次の次の次』も、さらに『次の次の次の次』の提督がさらにひどい奴だったら? 私たちを使い捨ての道具程度にしか見ないような奴だったら? 上の連中を騙し通せるような人脈も権力も知恵も力もあるような奴だったら?』

『━━━━━鎮守府以外に身寄りも生きる場所もない私たちは、どう生きろっていうの? 耐え続けろっていうの?』

『━━━━━五年、十年、二十年? もっとかしら?』

『━━━━━そうやって耐え続けて、今までのように誰も沈まない保証があるの? だれも壊れない保証があるの?』

『━━━━━それでも、あんたは、その『いつかくる優しい提督』のために、私たちに『待て』っていうの?』

『━━━━━私たちは、もう、一日だって耐えられないのに?』


不機嫌と強さに彩られていた表情が崩れる。

我慢していたものが溢れて、大粒の雨が頬から降ってくる。


『━━━━━たしかにあんたは、普通の人から見れば薄情で臆病で愚図なのかもしれない』

『━━━━━ただ私たちが、世間知らずの箱入り娘なのかもしれない』

『━━━━━ずっとずっとあんたに酷いことをしてきた私たちが、こんなことを言うのは我儘で狡くて卑怯なことだってわかってる』

『━━━━━あんたが、私たちを忌避する理由だって理解してる』

『━━━━━それでも、私たちにとって』

満潮『あんたは━━━━━』


こんな空っぽで、軽薄で、後も先もなにも考えていない、将来すら期待されない、こんな私を、なぜ。


夕立「提督さん」

358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/28(日) 03:15:31.74 ID:Z4oslFTs0
きたか…
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 13:54:19.89 ID:L664tzL9o
続きが来た。
すこしづつ明かされる提督。
サイボーグかゾンビ かロボか悩ましいなあ。
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/29(月) 00:27:52.19 ID:q9HylSWF0

夕立の呼びかけに意識を戻され、視線を向ける。

膝立ちのまま抱き締め合い、胸板に頬ずりをしていた夕立は涙の跡を残しまま、私を見上げる。


提督「もう大丈夫か、夕立」

夕立「うん……それでね、その……」

提督「ん?」


口を一文字に結び、目を細め、少し俯いて不安そうな表情になる。


夕立「榛名さんに、謝らないといけないな、って思って……」

提督「……ああ」


そうだったな。

あの状態の榛名がどんな反応をするのかは未知数だが、夕立が歩み寄ろうとしている、というのは大きな一歩だ。


夕立「それでね、その……提督さんに……その……」

提督「わかった、手伝おう」


私の言葉で夕立は顔を上げ、拍子抜けしたような表情を向ける。


夕立「……いいの?」

提督「もちろんだ」

夕立「でも、夕立、提督さんに、酷いこと、いっぱいしちゃった、よ?」

提督「あれは、ただの不幸な勘違いだった、それだけだ。それに、反省しているんだろう?」

夕立「うん」

提督「人のモノ、もう勝手に壊したりしないな?」

夕立「うん」

提督「約束やみんなで決めた事も、破ったりしないな?」

夕立「うん」

提督「仲間を傷つけたりしないな?」

夕立「うん」

提督「……夕立の気持ちに気づかず、酷いことを言ってすまなかった。もう、気付かない、なんてことがないようにするからな」

夕立「……うん」

提督「夕立はいつも、皆のことを気遣ってくれるな。不器用なせいで誤解されることも多いかもしれないが、きっと皆もお前の気持ちに気づいてくれるはずだ」

夕立「う゛ん」

提督「怖いことや、不安なことがあったら、ちゃんと言うんだぞ」

夕立「う゛ん゛っ」

提督「……ありがとう、夕立。お前の気持ち、とても嬉しかったよ……」


夕立は私の胸元に顔を埋め、力強く抱き締める。

そして、静かに泣いた。

361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/29(月) 00:28:31.49 ID:q9HylSWF0

咽び泣く夕立を抱き締め、数分。

泣き止んだ夕立の涙を拭き取り、顔を洗わせる。

お互い裸のまま、着替えるのは後にして、更衣室を離れる。

榛名に会うため、夕立と共に居間へと向かおうとすると……


提督「ん?」


通り過ぎようとした寝室から音がする。もしかしてこちらにいるのだろうか。


夕立「提督さん?」

提督「こっちに居るかもな。ちょっと見てもいいか?」

夕立「うん」


夕立が同意したところで寝室の扉を開いた。

そこには、


榛名「あっ♥ 提督♥ 提督♥ こんなエッチな匂いを残しているなんて♥ こんなの、榛名、我慢できません♥ アッ♥ アンッ♥ 提督♥ 提督♥♥ 提督♥♥♥ おちんちん♥ 提督のおちんちん欲しいですぅ♥ あの太くてごつごつしたおちんちんで榛名のおまんこをミチミチ虐めて欲しいですぅ♥ あの長くてピンと張ったビンビンおちんちんで子宮の奥までズンズン突いて、赤ちゃんのお部屋にパパちんぽ紹介してくださいっ♥ それでそれであのカリ高エラ張りおちんちんで榛名の膣内をジュボジュボ掻き回して、おちんぽ快楽刻んで欲しいですぅ♥ それで最後にはザーメンミルクをビュービュー出してぇ♥ 榛名の奥に提督パパザーメンの匂いをこびり付けて榛名を孕ませてくださいぃぃぃっ♥」

金剛「んっ♡ あっ♡ テート、テートクゥ♡」


そこにはベッドでうつ伏せになり、シーツに顔を埋めながら腰を浮かしてオナニーをしている榛名と、ベッドに腰掛け、私のパンツを嗅ぎながらこっちも同様にオナニーをしている金剛が寝室にいた。

ひでえ光景だ。
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 00:49:08.98 ID:gyBKO8Gs0
ほんとにひでぇな
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 00:52:29.25 ID:/Ace5ERF0
唖然とする光景やろな
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 12:20:56.96 ID:g+quEIR1o
うーん。
この鎮守府で提督の下着売り出したらどんぐらいになるんだろう?
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 22:21:09.48 ID:4Qdf+9f1o
こんな場面に遭遇したらそっと扉閉めるほかない
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 05:35:26.60 ID:JG3VH6x8o
いま気づいたけど、そういえば出撃ってこの鎮守府はしていたっけ?

外に目的がなければ提督の
寵愛以外しか目的がないから艦娘も病むだろう。
そもそもここは本当に鎮守府なのだろうか?どう賄っているか気になる。
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/04(金) 08:51:32.08 ID:dT/HKhJ0o
はよはよ
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/04(金) 23:27:09.19 ID:fuJB7yVIo
なにがどう転んでもアカン修羅場の連続から一転この金剛型姉妹である
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/05(土) 10:57:54.48 ID:JroVkxnH0

榛名と金剛は、寝室に入った私と夕立に気づかないまま、自分たちを慰み続ける。

こっちが腹をくくってこれから話をしようとしたところでこの状況である。ふざけてんのか。

こいつらのことは放って、夕立と散歩に行くべきだろうか。

そう思っていると、左手薬指を啄むように引っ張られる。


夕立「提督さん」


引っ張られた方向を見ると、淫行に耽る榛名と金剛を見ながら夕立が佇んでいた。


提督「すまない、夕立。榛名たちがこういう状況でな」

夕立「ああいうの、提督さん、嫌い?」


他の音が立ち止まるような静かな声音で、夕立が私に尋ねる。

薬指を掴む力が少しだけ強くなる。

無我夢中で秘所を掻き回す榛名と金剛の、私を呼ぶ声がさらに大きくなる。


夕立「夕立もね、寂しい時とかに提督さんのことを考えたりすると、ああいうことしちゃうの」


憐れんだ視線を榛名と金剛に向けながら、喉から錆を吐くような、自虐めいた言葉を綴る。

榛名は騎乗位で下から突き上げらたことでも思い出しているのか、うつ伏せのまま足を三角形に開き、三角形の頂点にある扁桃状に開いた秘部に人差し指、中指、薬指を重ねて挿入すると、桃尻を小刻みに上下に振り回す。桃尻が上下に動かされるたびに、桜色をした縦長の唇に指が根元まで呑み込まれていき、溢れた粘液で秘部周辺が卵黄を掻き混ぜて塗りたくったように電灯の光を反射する。

金剛は左手で顔を覆うように私の下着を押し当てると、それと同時に黒いスカートをめくり上がらせた右手で良く手入れをされた無地の三角州を荒らし、右手上腕にずり落ちた白地の振袖から汗ばんだ肩が光に照らされながら肢体を揺らす。声を押し殺して無我夢中に快楽を貪るさまは、普段の金剛からは考えられないような姿で、明るい性格や海上での勇ましさはこちらを隠すための演技ではないかと疑うぐらいだ。


夕立「終わったあとは惨めな気持ちになるだけなのに、どうしても止まらくて、提督さんに優しい言葉を掛けてもらった時とか、提督さんに暖かく触れてもらった時とか、提督さんに熱く抱いてもらった時とか、そういうことを思い出して、ああやって脇目も振らずに、浅ましく自分を慰めるの。
気持ち悪いし、見っともないし、アホ面晒しちゃうし、耳障りだし、いい歳した連中が何しているんだって、そう思うかもしれないけど、でも」


へそより下の丹田の部分を鎮めるように優しく撫でると、未だ艶めく白麦色の髪を揺らして、火の粉揺らめく瞳を私に向ける。


夕立「それでも、榛名さんと金剛さんのこと、嫌いにならないであげて……っぽい」


夕立の言葉と共に、榛名が濁流のような雄叫びをあげ、金剛が引き裂き耐える糸のように声を押し殺した。

やれやれ。
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/05(土) 17:06:29.18 ID:NTHp/aY8o
おお、きてたのか
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/05(土) 21:11:17.80 ID:9G0qTwYMo
おお。来てたか。
夕立はいい子だなあ。(内容はさておく)
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/06(日) 16:02:03.75 ID:d6k7vztZO
うわぁへんたいだぁ
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/18(金) 02:54:01.54 ID:n6YePqv+O
どうした?
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/19(土) 21:50:34.69 ID:6rBv0VJn0

混濁し固まった思考を鞣すように頭髪を搔きながら、余韻に浸っている金剛と榛名を一瞥する。


提督「……」


別段私は自慰に耽っていることを責めているわけではないんだがな。

早朝の陽炎の一件でなんというか……あれだ、慣れた。

今回はなんというか……金剛たちが間の悪いことをした、というその一点に尽きる。

まあ、夕立が気にしていないようだからいいだろう。


提督「一回外に出ようか、夕立」

夕立「うん」


自分の思考が一段落したころ、金剛たちが気付く前に寝室を出る。

気付かれないようにそっと扉を閉め、一息間を置く。

そして呼び起こすように拳で扉を叩いた。


提督「金剛、榛名、いるか?」


少々強めの語気で室内にいる金剛と榛名を呼ぶ。

私の呼び声を合図にして、室内が騒ぎ出す。

太鼓を乱打するような足音に木材が波のように擦れる音、そしてベッドの軋み音に……

……今なんかすごい音がしたぞ。どっちかが転んだか?

転倒したと思われるその音が鳴った後、室内が静まり返る。


「はっ、はいっ!」


そして室内から返答が来た。

正直どういう意味の「はい」なのかは知らないが、とりあえず寝室に入ろう。

扉を開ける。

375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/19(土) 21:55:31.68 ID:6rBv0VJn0

部屋に入ってまず目にしたのはベッドにいる榛名。顔を朱に染めながらシーツで上体を隠し、シーツに収まらなかった生足が人魚のように横たわっている。

……よくよく見ると榛名の額が赤く腫れているように見える。先ほどのは榛名がベッドから落ちた音かもしれない。大丈夫か?

次に視線を動かして窓際を見ると、肘掛椅子にお行儀よく座っている金剛が見えた。


榛名「てっ、提督、なぜ裸のままなのですか……♥」


お前が言うな。

言っておくが、裸といっても下はバスタオルで隠しているからな。夕立だって肩からバスタオルを掛けて胸を隠しているんだし。

着替えを滅茶苦茶にされたからといって、丸裸で部屋を歩く趣味はない。那智じゃあるまいし。

そう思いながら金剛に視線を送っていると、金剛は頬を淡く染めながら露骨に目を逸らした。

先程の状況を知らなければ、異性に恥じらうお淑やかな大和撫子なのに、今はパンツを嗅いで自慰したことがバレないか不安になっている変態淑女にしか見えない。

窓から差し込む光を背景に、その光がそっぽを向いて桃色に染まった表情を際立たせ、金剛の身体と椅子が光の繭に包まれている。というまるで絵画のような美しい情景なだけに残念極まりない。

視線を榛名に戻す。


提督「榛名」

榛名「はっ、はいっ! 榛名はいつでも大丈夫ですっ!」


まだ何も言っていないぞ。


榛名「大丈夫ですっ!!♥」


何故二回言った。

……時々榛名は会話が通じなくなるな。明石に脳の診察でも頼むか。

閑話休題。


提督「夕立から話があるそうなんでな。聞いてもらえるか?」


夕立の話を振った途端、期待を含んだ照れ臭そうな顔が一転、無関心しか感じられない希薄な表情に変化する。


榛名「……提督はもうよろしいのですか」

提督「ああ、話はついた」

榛名「そうですか」


榛名は私の横にいる夕立を横目で一瞥する。


榛名「それで、どうするおつもりですか?」

提督「私か?」

榛名「はい」


金剛と榛名が目を据えて見る中、私は夕立の髪を指で一舐めする。


提督「夕立も反省しているようなんでな。許すことにしたよ」

榛名「そうですか」

夕立「……あの……榛名さん」

榛名「……夕立、こちらに来なさい」


榛名に呼ばれ、夕立はベッドの上に乗る。
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/19(土) 21:59:44.13 ID:6rBv0VJn0

榛名と夕立はお互いにシーツとタオルを外し向き合う。

裸の娘二人が正座して対面する姿は中々に面妖である。

……ふむ、やはり榛名のほうが大きいな。どこがとは言わんが。


提督「……席を外そうか?」


肌丸晒しのべっぴん二人のうなじとか向き合う乳首とか腰の括れとか揉みたくなる尻とか艶のある太ももとか擽りたくなる足の裏とかを見ていたいが、真面目な話をするなら二人きりがいいだろう。


夕立「えっ……?」


そう言った途端、夕立が親を見失った子犬のような顔をした。


榛名「……提督も立ち会っていただけると」

提督「……そうか、わかった」


夕立の様子を察したか否か、榛名が私を引き留める。

その言葉で夕立も安堵したのか、再び榛名と対面する。

私と金剛が見守る中、まず榛名が口を開いた。


榛名「夕立、私は怒っています。理由がわかりますか?」

夕立「……夕立がみんなとの約束事を破ったから」

榛名「そうです」


榛名が少し強めの視線で夕立を睨む。


榛名「約束事は皆に不満が出ないようにするため、皆で決めたことです。夕立がそれを破っては約束事の意味がありません。
 今回は“たまたま”体調がよくないとのことでしたが、結果として提督は他の娘から責められることになりました。夕立だけならまだしも、提督にも迷惑を掛けたのです。ここまではわかりますね?」

夕立「はい」

榛名「次にお風呂の件ですが……その前に、夕立、福祉係の役割は何かわかりますか?」

夕立「提督さんと昼間からエッチし放題できる係っぽい」

榛名「半分正解です」

提督「……」

榛名「ですが、もう少し詳しい説明があったはずですが、わかりますか?」

夕立「……えっと、綾波から聞いた話だと、提督さんの性処理で周りの娘が一々エッチしてると課業が進まないから、性処理専用の娘を用意して、一日二十四時間いつでもどこでもヤリ放題ハメ放題できるようにしたって言ってたっぽい」

榛名「そうです。さらに付け加えると提督は福祉係に対し罵倒、虐待、暴行、強姦、凌辱、拷問、切断、解体、撃沈、轟沈、殺害など鬱憤を晴らすためのありとあらゆる行為が認められています。
 福祉係は、提督から優先的に愛していただけるのです」


馬鹿な話だ。

377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/20(日) 04:30:43.39 ID:qrr6KhYc0
やっときたな!!
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/20(日) 19:00:10.48 ID:ZMg/8WnO0

榛名は言葉を続ける。

榛名「本来ならば、お風呂場のようなお互いに肌を晒す場所は福祉係が担当することになっています。
そのことを無視して提督と裸のお突き合いなどをしたら、福祉係の役得……役割の意味がありません。
この係は人気があるから、就くのが大変なんですよ? 夕立だって知っているでしょう?」


榛名の言葉に夕立は同意するように頷く。


夕立「夕立も、時雨と係の奪い合いしたときは大変だったっぽい」

榛名「でしょう?」


なんか話し合いからズレてきてないか?


榛名「セックスしたくてやっと手に入れた役割なのに、それを他の娘に奪われたら嫌でしょ?」

夕立「うん」


そういう判断で仕事を選ばないでくれないか。ついでにそういうことを上司の前で堂々と言わないでくれるか。


榛名「今回のお風呂の件は提督が私に中出しセックスしてくれたから大目に見ますが、次からは勝手なことはしないように。いいですね?」

夕立「うん。夕立、次からはちゃんと順番を守るっぽい」


夕立の言葉に、榛名は満足げにウンウンと頷く。


金剛「へぇ…… Bathroom で MAKE LOVE ですか……」


いつの間にか傍に来ていた金剛が、棘を含んだ声音で黒煙でも吐くように呟いた。

油が撒かれた火薬庫のような雰囲気を纏いながら、金剛は私の隣に仁王の如く佇む。誰か助けてくれ。
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/21(月) 00:06:23.88 ID:jjoOCPvGo
火薬庫にガソリンをぶちまけていくスタイル
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/21(月) 01:46:33.64 ID:hd6rNXwpo
なんつうかもうなんだこの鎮守府全戸火薬庫なにかなの(歓喜
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/21(月) 20:53:22.49 ID:9xm2VfvXo
火薬庫って言っても大したことないな
中出しセックスすれば湿気るんだから
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/21(月) 20:55:38.24 ID:ZB63ODJYo
触手が生やせるようになれば一人一本の肉バ○ブ性活に突入だね!
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/22(火) 02:57:42.73 ID:kHNAkFOTo
この提督の防火能力高そうだしヘーキ


しかしスナッフもオッケーな福祉って
愛されるまま死にたい願望持ちも多そうね。
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/22(火) 09:37:26.48 ID:JO9eRHp/o
メンタルがほぼまともなのに夏の夕暮れになると大変だな(小並)
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/23(水) 20:14:32.94 ID:a6x/yeDX0
みなさん、なかがよろしいのですね()
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/26(土) 18:06:56.21 ID:bcZBk/zvO
虐待やら殺害やらされる事を「愛していただける」とは……
いやーこれぞまさに真実の愛だね(白目)
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/28(月) 00:12:00.83 ID:P78/44Nu0

私が金剛から微妙に距離をとっていると、榛名が気持ちを入れ替えるように一度咳払いをした。

それに合わせて夕立が背筋をゆっくりと正し、榛名に再び向き合う。


榛名「さてと……これで私から夕立に言うことはもうないわ。辛気臭い説教は、ここで終わりっ」

夕立「……え」


説教、っぽい何か、が終わり、少しばかり堅苦しかった口調を改めて、榛名がさっぱりとした声で話に切りを付ける。

想定外のことに呆気にとられた夕立をそっちのけに、榛名は豊満な乳房を揺らしながら私のほうを向いて口を開く。


榛名「提督、榛名も終わりました」

提督「ん? ああ」


不発弾状態の金剛に気を取られて榛名に生返事をしてしまった。だって不発弾が離れた分だけ距離を詰めてくるんだもの。ナメクジみたいに。


夕立「あの、榛名さん」

榛名「ん? どうしたの、夕立」


不安げな夕立の言葉に応じて、不思議そうな顔を向ける榛名。


夕立「夕立、まだ言わないといけないことが……」

榛名「……わかったわ。なにかしら」


そう言って榛名が夕立と再び向き合う。

不安そうな夕立は、言い出す勇気がまだないのか、口を開こうとしてはまた閉じ、視線を少しさ迷わせる。

その視線の中に私の姿が映ったのか、視線を向けたままゆっくり顔を上げて私の表情を見た。

不安そうな夕立の表情に、勇気づけてあげられるように私はゆっくりと頷いた。金剛に怯えている場合じゃないぞ、私。

夕立は一度俯いて目を瞑り、目を開けて榛名を見る。

いい顔つきだ。


夕立「榛名さんの香水と服、滅茶苦茶にしちゃったこと、色々酷いこと言ったこと、約束を破ったこと、謝ります。本当にごめんなさい」


夕立はしっかりと、頭を下げた。

その姿を、榛名は目を細め、しばらく見つめる。


榛名「夕立」

夕立「はい」

榛名「さっきも言ったけど、約束を破ったことに関しては、もうお終い。反省して、さっきのことを守ってくれればいいわ」


母親のような口調で、はっきりと伝える。


榛名「酷いことに言ったってことに関しては、私もお風呂場でけっこうきついことを言ったから、これはお互いさま。
服は……たぶん、あとで弁償してもらうことになるのかしら? それでいいわね?」

夕立「はい」

榛名「なら服の件もそれでお終い」

夕立「香水は……」

榛名「香水は提督の物よ。そして提督は夕立を許した。だからその件もお終い。はいっ、私の件はもう終わり。それより夕立、謝るというのなら、もう一人いるでしょう?」

夕立「? あっ」
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/28(月) 00:46:50.54 ID:THH9RITCo
やさしく諭す榛名と素直に謝る夕立
なんと微笑ましい光景だろう(棒)
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagasage]:2016/03/28(月) 03:59:49.91 ID:ArEp+EOHO
(二人は全裸正座で向き合っています)
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/04(月) 05:36:00.90 ID:cHiC/cQE0
あったかくなってきたとはいえ、まだまだ寒いな
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/04(月) 23:44:17.37 ID:jSGy+gya0

榛名の言葉で何かに気づいた夕立は、体の向きを変える。

正面にいるのは、金剛。

……いや、待て、今の金剛に話しかけて大丈夫か。


夕立「金剛さん、さっきは怪我をさせてごめんなさい」

金剛「Huh? Me?」

夕立「はい」


予想外のことだったのか、金剛が拍子抜けした声を挙げる。

金剛は少しばかり唸った後、毒を抜くように息を吐き、そして一転、夕立に明るい顔を見せた。


金剛「It’s O.K.!! この程度の傷、ワタシにはかすり傷にもならないデース! 傷だってもう塞がっているからネ! 恋する乙女は Very Strong!」


そう言うと金剛は夕立に傷つけられた部分を見せる。見てみると確かに傷が消えている。自己再生機能の範囲内だったか。


金剛「だから、夕立、No need to worry」


夕立のどこか澄んだ態度に中てられたのか、臨界点突破間近のような態度が薄れ、いつもの明るい雰囲気に戻る。


榛名「よかったわね、夕立」

夕立「うん」


助かった……
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/05(火) 04:17:25.48 ID:n/mxtCwN0
ずっと面白いよ
少しずつでええんやで
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/09(土) 00:55:21.43 ID:xZKwnW7q0

その後、金剛に榛名の服を取りに行ってもらい、その間に私は夕立とともに更衣室で着替えることとした。


提督「……榛名、なぜここにいる」

榛名「?」


可愛らしく首を傾げないでくれるか。

金剛が着替えを持ってくるまで寝室で待たせていたはずの榛名が、やることなど何もないにもかかわらず、なぜか更衣室に付いてきた。

もちろん真っ裸である。


榛名「♪」


榛名はゆっくりと床に座ると、にこやかな表情で私のパンツを極めて自然な動作で掴み、腰回り部分を輪っか状に広げて私の前に差し出した。


榛名「さあどうぞ、提督」


何がだ。

慈しみの表情を浮かべる榛名に戸惑いを感じざる得ない。

おまけに、パンツを履こうとしていた夕立が動きを止め、こちらをじっと見ていることがなおのこと戸惑いを加速させる。


提督「榛名、着替えは一人でやるから、お前は寝室で待っていなさい」


私がそう忠告すると、榛名はパンツの前部分、履くと陰茎で膨らむ箇所、に鼻をあて臭いを嗅ぎ始めた。


榛名「洗い立てですよ、提督。さあどうぞ」


股部分から鼻を話した榛名は嬉しそうにそう言うと、今嗅いだばかりのパンツを再び広げ、差し出す。話聞けよ。

正直ここまでお世話されたくないが、榛名は聞く耳を持たないし、それにこのままじっとしていては着替えが進まない。

仕方なく、バスタオルで陰部を隠したまま、広げた輪っかの中に両足をいれることにする。


榛名「動かしますね」

提督「ああ」


私が両足を入れ終わると、榛名はパンツをあげて股間部分にパンツを合わせる。

履かせ終わると、榛名は立ち上がって私に身体を密着させて腰に巻いていたバスタオルと外すと、腰部の開口部から手を入れ陰茎と陰嚢を掴んだ。


提督「榛名」

榛名「ご安心ください、位置を整えるだけですから」


そうは言うが、身体全体をくねらせながら誘うような視線で言われてもまったく説得力がない。

394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/09(土) 00:59:24.12 ID:xZKwnW7q0

榛名「提督の、やっぱり大きいです……♥」


やめろ。夕立が怖い顔をしているだろ。

榛名は熱を帯びた視線を真下に向けると、荒い息継ぎと共に陰嚢を左手で包んでほぐすようにやさしく揉み始め、右手で陰茎を扱き始める。


提督「榛名」

榛名「提督……早くっ、早くおちんちんを硬くして、榛名の生マンコの中にぶち込んでくださいっ♥ 一回だけなんて物足りないです♥ 今日の榛名は提督専用の肉便器なんですから、おちんぽ汁をいつでもどこでも榛名のおまんこ便所に出していいんですよ♥」


正気の失せた表情を顔に浮かべながら、開いた瞳孔を向けて獣のように迫ってくる。硬くなった乳首が胸板に当たり、陰茎に触れる手のひらの温度が少しづつ下腹部を熱くしていく。


榛名「早く♥ 早く♥ 早く♥ 早く♥ 早く♥ 早く♥ 早く♥ 早く♥ 早く♥ 早く♥ 榛名、もう我慢でき「HEEEY! 榛名ぁーッ! 着替え持ってきたヨーッ! Hurry up and get changed!」


榛名が欲望の限界を超え、夕立が殺意の向こう側を突破しようとしたとき、更衣室の扉をぶち破って金剛が出現した。


榛名「……随分とお早い帰還ですね、お姉さま」

金剛「榛名が風邪をひいてはいけませんからネー。最大戦速で戻ってきたヨー」


動きを止めた榛名は氷点下まで下がった視線で金剛を見ると、つららでも投げつけるような声音で金剛を迎えた。

対する金剛は榛名の言葉を屁とも思わず、悠然と言葉を返す。


金剛「榛名、テートクはこの後も用が控えているんだから、早く着替えて準備しないとテートクが困っちゃうネー。Do you understand?」

榛名「……提督」

提督「悪いが榛名、金剛の言うとおりだ。早くしないと愛宕にどやされてしまうんでな」

榛名「……」

提督「榛名」


榛名の頬を右手で撫で、左手を背部に回して腰を撫でる。


提督「いい娘で我慢した分だけ、その分後で可愛がってやるぞ。二人っきりになったときにたっぷりと、な」


私の言葉に榛名は頬を染めると、湿り気のある視線で私を睨みつける。


榛名「……提督はいつもそれです」


馬鹿の一つ覚えを非難すると、陰嚢と陰茎から手を放し、代わりの私の肩を掴んだ。

力ずくで肩を引っ張られ、上体が前に揺れるのと同時に榛名の顔が眼前に近づく。

唇に柔らかい感触が触れ、口内に生暖かい湿った空気が入る。


榛名「んっ……それでは着替えてきますね」

提督「……ああ」


唇を離した榛名は金剛と共に寝室へと向かった。


夕立「……卑しい女ぽい」


なんだその台詞。
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/09(土) 01:07:30.75 ID:6z+w7C9zo
卑しい女ずい…
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/09(土) 07:07:10.69 ID:mIV2T0I+0
面白い
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/09(土) 10:20:49.71 ID:ZuMz9hAfo
いやらしい女ぽい……
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/09(土) 10:52:31.48 ID:VgVSmE13O
ぐう興奮する
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/09(土) 10:54:55.23 ID:nHlqESEAo
みんないやらしい・・・
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/10(日) 05:36:13.08 ID:Fn2Voywj0
卑しい女達なのです
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/10(日) 21:58:05.11 ID:COcCyVQk0

提督(よし)


あの後、榛名が再び更衣室に突撃してくる前になんとか着替えを済ませることができた。

といっても、ものの数分のことなので気合を入れるほどのことではないのだが。


提督(さて……ん?)


夕立も着替えが終わっただろうと思い、声を掛けようとおもむろに振り向いた瞬間、頭に疑問符が浮かんだ。

なにせ視線の先には、黒を基調とした制服姿ではなく、未だに素肌を晒したままの夕立がいたのだ。

夕立は自分の下着に視線を落とし、神妙な顔立ちをしていた。


提督「どうした、夕立」


そう声を掛けると、夕立はゆっくりと顔を私に向け、そして突如両腕を伸ばして持っていた下着を見せつける。


夕立「提督さん、着せて」

提督「?」

夕立「 き せ て 」

提督「……」


なんかいきなり子供っぽいことを言い始めた。いや子供か。

先程までいた榛名への対抗心というやつだろうか。


夕立「んっー」


パンツを押し付けるのはやめなさい。私の着替えと違って、脱いだものをもう一度使っているから匂いが残っているんだよ。

このままいくとなにか悪いことが起きかねない。というかナニが起きてイキかねない。なにをいっているんだ私は。
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/11(月) 00:05:17.07 ID:q09vrUTc0

思考が明後日の方向へ行くのを何とか押し留め、このまま行くと夕立とニャンニャンしかねない下半身の野性を上半身の理性で抑えつける。

……イヌっぽい夕立とニャンニャンとはこれいかに。いかん、また思考がおかしなことになっている。時雨もそうだがこの娘たちの匂いはどうもダメだ。

そんな私の気も知らず、未だ夕立はパンツを押し付けながら頬を膨らませて駄々をこねる。まったく……

一度溜息をつき、口で息をしながら夕立のパンツを掴む。


提督「ほれ」


掴んだパンツを、先程榛名がしたように、輪っか状に広げ、夕立の前に差し出す。

そうすると夕立は花が咲いたような明るい笑顔を見せ、艶めいた白い生足を私の両手の間に入れる。

それと同時に目の前に鼠蹊部と下腹部が現れ、下腹部の最下部にある丸みを帯びた二つ桃色の花弁が晒される。もし花弁で守られたこの谷筋を下卑たな感情で荒せば、目の前の無垢な娘から雌の啼き声が聞こえることだろう。


提督「動かすぞ」

夕立「ん」


両側に黒いリボンがあしらわれ、縁を黒で囲っているパンツを上げ、夕立の下腹部を隠す。


夕立「提督さん、次、これ」


夕立は先程のパンツと同じような装飾のブラジャーを差し出す。

私はブラジャーを手に取ると、夕立の後ろに回って肩ひもつけていき、最後にホックで留める。


夕立「提督さん、これじゃブカブカっぽい」


私に調整をしろと。無茶言うな。最上や鈴谷に何度やり直しをくらったと思ってやがる。


夕立「ぶ〜か〜ぶ〜か〜っぽ〜いー」


夕立は再び駄々をこね始める。このままだんまりを決め込んでも仕方ないか。

あきらめた私は夕立のブラジャーと乳房の間に手を入れ、バストの調整を始めた。
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/11(月) 00:53:38.44 ID:q09vrUTc0

提督「そうだ、夕立。この後の散策だが、どこか行きたいところはあるか?」


バストの調整を行いながら、乳房の柔らかさに意識が向かないように、夕立にこの後の予定を尋ねる。

といっても、散策できるところなど限られてはいるが。

そう思いながら夕立の返答を待つ。






返答が、こない。


提督「夕立?」

夕立「おさんぽは、もういいの」


突如振り向いた夕立が私に抱き着く。まだ調整できていない左の肩ひもが肩からずれ落ちる。


夕立「提督さんが、元気だってわかったから。だから、もういいの」


胸元に顔と声を押し付けて、表情と声音を隠すように語り出す。


夕立「生きてるってわかったから。置いて行かれないってわかったから」




夕立「だから、いいの」




強く強く抱きしめられる。


提督「……本当に、いいのか」

夕立「うん」


私の問いかけに、迷いなく答える。


夕立「それにね」


顔を上げた夕立は、とてもとても、やさしい笑顔を見せる。


夕立「これ以上夕立が傍にいたら、きっと提督さんに迷惑を掛けちゃうから」


振り返り、私に背中を預ける。


夕立「だから、いいっぽい」


どこか憑き物が落ちたような声で、穏やかにそう答えた。


提督「そうか」

夕立「うん。だから」

提督「ん?」


ほんの少しだけ声が小さくなる。恥ずかしそうに、弱そうに。


夕立「だから、もう少しだけ……甘えさせて、ください……っぽい」

提督「……ああ」
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/11(月) 09:52:15.97 ID:vCS+BhclO
うおおおおおおおおお夕立ィィイイイイイイイイイイ!!!!!


天使だな
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/11(月) 23:23:25.75 ID:k5r56y4X0

提督「━━━━━マフラー、きつくないか?」


着替えを手伝い始めて数分後、最後の襟巻きを首周りに巻き終わった。

私は夕立の正面に立ち、片膝を床につけてつけ心地を尋ねる。

夕立は襟巻きに意識を向けると、首周りで回したり、少し引っ張ったりしてつけ心地を確かめる。


夕立「ちょうどいいっぽい」

提督「そうか……この後はどうするんだ?」

夕立「部屋に戻るっぽい」

提督「送ろうか?」

夕立「一人で大丈夫っぽい」

提督「……もう、寂しくないか?」


夕立が顔を向け、飛びつく。

唇を唇で塞がれ、ぬくもりと共に抱きしめ合う。


夕立「……その言い方は、ずるいっぽい」


名残惜し気に離した唇が、いじわるを咎めるように、苦く微笑む。

言葉を終えた後、匂いを遺すように身体を擦り付け、心臓の鼓動が感じ合えるように体を密着させる。

温かさを分け終わり、からだを離す。


夕立「提督さん」


豊穣な麦畑を思わせる髪色に、イヌ科の動物のような癖毛を持つ、紅玉色の瞳の、私の可愛い娘。


夕立「長生きしてね」


この歳でそれを言われるとはな。


提督「生きるさ、夕立たちがいるからな」


夕立は「えへへ」と笑った。
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/04/11(月) 23:29:16.47 ID:k5r56y4X0
・本日は ここまで

・夕立 長かった

・もっと うまく 書けるように したい

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/12(火) 01:31:22.63 ID:Dbu+c+dQ0

卑しい女ぽい……
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/12(火) 09:55:14.75 ID:RDROvo9DO
乙っぽいーーーーーっ!
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/12(火) 23:02:30.99 ID:Y8vCMxct0
おつ
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/13(水) 12:42:03.94 ID:eMvQdq2KO
乙です
何度もやり直しを食らった辺りを詳しく…
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/14(木) 02:03:21.15 ID:3x+rjT7zO

412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/18(月) 22:53:03.46 ID:kuMNK+rC0

部屋の入り口で夕立を見送った後、金剛と榛名を待たせている寝室へと戻る。


提督(……何やってんだこいつら)


その寝室でまた変な光景が広がっている。


金剛「……」


寝室に入ってまず視界に入ったのは狩りをする獣のように構えている金剛。

金剛は今にも飛び掛からんと身体を前傾にして低く構え、獲物を逃がさんとばかりに両手が猛禽類のような形で添えられている。

ちなみに金剛の左後ろの帯になぜか私のパンツが挟まっている。せめて隠せ。


榛名「……」


次に視界に入ったのは金剛と対面に、これもまた構えている榛名。

下半身は前屈立ち、上体は正拳突きの構えで『寄らば撃つ』と言わんばかりの迎撃態勢である。

ちなみに榛名の胸元には私が先程脱いだ半袖の下着がなぜか挟まっている。だからせめて隠せよ。


金剛・榛名「「……」」


よほど集中しているのだろう、金剛と榛名は私が寝室に入ったことにも気づかず、構えを維持したまま睨み合う。
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/18(月) 22:53:36.77 ID:kuMNK+rC0

提督「……」


しばらくして、静寂を破り金剛が口を開く。


金剛「……榛名ぁ〜、いい加減それをこっちに明け渡すネ〜」

榛名「……たとえお姉様の頼みであろうとも、これはお渡しできません」

金剛「そんな聞き分けのない娘に育てた覚えはありまセーン。いい娘だから渡すネー。そんな汚れた下着を持っていても衛生上よくないデース。ワタシは榛名のことを心配して言っているですヨ?」

榛名「汚くなどありませんっ!」


(パンツさえ持っていなければ)比較的まともな金剛の意見に、榛名は大声で異議を唱える。


榛名「この下着っ! この下着にはっ! 提督の芳しいオス(♂)の匂いが熟成されて染み込んでいますっ! 榛名はっ、この匂いだけでっ、ご飯三杯はいけますっ! それだけじゃありません。この匂いを嗅ぐと、辛くても苦しくても寂しくても、また頑張ろうって気持ちになれるんですっ! だからっ!」


世界を敵に回してでも守り抜く、そんな決意を秘めた魂の叫びが部屋に木霊する。


榛名「提督のっ! 汗がっ! スメルがっ! 染み込んだこの下着はっ! 榛名のっ! 宝物にっ! しますっっっ!!!」


「しますっっっ!!!」じゃないぞ榛名。なんでそんな気合入っているんだ。


榛名「なによりお姉様には提督のパンツがあるではありませんか! これ以上欲しがるなんて……欲深いにもほどがありますっ!」

金剛「No No No わかってませんネー、榛名は」


無知な大衆を鼻で笑う政治家のような言葉遣いで、真実を掲示する教祖様のように言葉を紡ぐ。


金剛「ワタシはお願いしているのではないデース。『渡せ』と命令しているんですヨー、My sister」

榛名「お姉様……!」

金剛「なによりそんな素晴らしいものを見つけて食い下がるなんてワタシらしくありまセーン」


忌々しいといわんばかりの榛名の表情に対し、肉食獣のように歪めた表情を見せる金剛。


金剛「このパンツだけでFinish!? な訳ないデショ! ワタシは喰らいついたら離さないワッ!」


離せや。
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/19(火) 13:01:45.70 ID:cbGBN/F+O
うわぁ
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/19(火) 23:54:44.26 ID:4TQbAMyK0

榛名「そんな勝手、榛名が許しません! そもそもお姉様、どうせまたパンツを煮出して提督ティーをお作りになるつもりでしょう?」

金剛「それになにか問題がありマスカー?」

榛名「前々から申し上げたかったのですが……お姉様は提督のパンツの扱いが雑すぎます! たしかに提督のパンツを煮出せば香ばしい最高級の提督ティーができるのはわかります! ですが! 熱湯につけることで次から匂いが堪能できなくなり、繊維を痛めてしまうために形や食感まで失われるのは余りにも軽率! せっかく手に入れた提督のパンツを一回で使い物にならなくさせてしまうのはもったないと言わざるおえません!」

金剛「言ってくれじゃない……! それなら榛名こそ、どうせまた手に入れた下着を味わうこともせず、また飾ったり、話しかけたり、抱き枕にするつもりデスネ?」

榛名「なにかおかしいところでも?」

金剛「はっきり言わせて貰うけど、榛名は提督の下着の扱いがケチくさいネー! 確かにやっとのことで手に入れた下着を大事にしたいのはわかるけど、日が経てば経つほど提督のSmellは薄れていきマース。せっかく手に入れた新鮮な下着を堪能しないでチマチマ使うなんて、あんなの匂いが薄れて段々寂しさが募るだけで逆効果ネー。何度も使った出涸らしの紅茶を飲んでいるようで、正直見ていて痛々しかったワ!」

榛名「あれは提督の下着と日々を共にすることで、提督の下着を榛名の匂いで染め上げるという理由もあるのです!」

金剛「それならワタシみたいに提督ティーにして、自分の身体に提督成分を取り込むほうがずっとマシネー!」

榛名「ぐぬぬぬぬぬぬっ」

金剛「GRRRRRRR」

榛名「なんですか!」

金剛「なにヨ!」



































提督「……お前ら」

金剛・榛名「「あ」」
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/20(水) 08:10:12.98 ID:FH31RGTRO
妙高型ほど殺伐としてないようにみえるのは何でだろ
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/20(水) 20:28:31.11 ID:DFUTAcg5O
ヒェーとメガネを入れて4人でごっちゃ混ぜにしたらどうなんだろ。

妙高型はヤンデレ成分と相性の良い子ばかりだったから、というより戦艦より重巡のほうがヤンデレ似合う娘多いからじゃね。
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/23(土) 22:29:05.51 ID:aTThgWcto
とりあえずこの金剛はきっとダメだ
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/24(日) 05:50:55.48 ID:Xj3PV4eZ0
妙高型は真面目だからガチっぽい
金剛型は元がネタ担当だし
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/24(日) 15:11:39.57 ID:UcnZ0siaO
わけわからん
俺からすれば妙高型のほうがネタだが
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/26(火) 17:35:25.93 ID:8ze/fgQP0

金剛と榛名の変態問答から数分後━━━━━


提督(暑い)


現在、愛宕とすれ違うのを避けるため、私室から少し遠い場所にある直通階段を利用している。


提督(近い)


夕立との予定がなくなったから、その分の空いた時間でバスケットなどを食堂に返却しに行くところだ。


提督(動きにくい)


可能なら、食器返却後に夕張に会いに行きたいところなんだが。


提督(……やわらかい)


右腕と左腕にそれぞれ金剛型の長女と三女(四女か?)が獲物を巻き付ける蜘蛛のようにべったりと絡まっている。

金剛は胸の谷間に挟み込むように両腕で私の右腕を強く抱きしめ、時折嬉しそうな笑顔を私の肩に寄せ、もたれてくる。

榛名は右腕で私の左肘付近を抱き寄せ、まぐわうようにお互いの左指同士を絡み合わせ、陶酔感を湛えた表情で密着している。


提督「金剛、榛名……」

榛名「嫌です」

金剛「No way」


思わず眉間にしわが寄る。


榛名「提督のことですから、どうせ『離れてくれないか』と仰るつもりだったのでしょう?」


なぜわかる。


金剛「You took a pleasure away from us, and beside, are you going to deprive us of this little simple pleasure? How dare you!」

榛名「まったくです。せめて没収された分だけでも堪能させていただけなければ割に合いません」

金剛「Well said」


その言葉で金剛と榛名は抱きしめる力をさらに強め、接着面積をさらに広げる。

金剛が変な閃きさえしなければこうわならなかったのに……

下着没収後、お通夜状態になった寝室で、突如叫んだ金剛の閃きを思い出す。


━━━━━パンツが嗅げなければ、テートクを嗅げばいいじゃない!


その謎の発想により、寝室からここまで延々と引っ付かれることになった。

こんな状態で愛宕とかち合ったら何を言われるかわからないので、わざわざ大鯨から移動経路を聞いて遠回りをしている。

いい迷惑だ。


金剛「……テートクのsmell…… Aah〜That's good〜 (あ^〜いいっすね^〜)」


HA☆NA☆SE!!

422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/26(火) 21:29:57.47 ID:mQd1vhN4O
あぁ^〜
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/26(火) 23:49:40.32 ID:70yx8tQFo
きてたのか
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/27(水) 00:36:04.25 ID:Xl+15rsF0

……やっと一階まで辿り着いた。歩くだけでなぜこんなに疲れるのか。

まあいい、あとはあそこの角を曲がって渡り廊下を行けばすぐそこに食堂だ。

重石のように引っ付く二人を連れ、廊下を進む。


榛名「ところで、ンッ♥ 提督、食堂の後は、ハァ♥ 執務室へ戻られますか?」


左手の甲を股間に押し付けながら、熱い息を掛けてくる榛名が予定を尋ねてきた。湯で濡らした手拭のような感触が首と手の甲に伝わる。

その感触を無視して、角を曲がる。


提督「ああ、それなん「きゃっ」っと」


胸元に衝撃。出会頭にぶつかったようだ。転ぶようなことはなかったが、ぶつかった反動でお互いに一歩分距離ができる。

驚いた声で相手を判断したのか、金剛と榛名が私から離れ、一歩後ろに下がる。


「ご、ごめんなさい……少々考え事をしていて……」

提督「いや、謝るのは私のほうだ、すまない。それより怪我はないか、鳳翔」


額を手で押さえながら謝る鳳翔に対し、私は自分の非を詫びる。左側通行の廊下を右通行していたのは良くなかった。

その鳳翔が、私の声を聴いた途端、身を強張らせた。やはりどこか怪我をしたのか?

鳳翔は顔から手を離すと、目を見開いて凍り付いた表情をこちらに向ける。

なんだこの表情は。


提督「鳳翔?」

鳳翔「あっ」


もう一度声を掛けた瞬間、鳳翔は怯えるかのように胸の前で両腕を合わせる。なんだこの反応は。


鳳翔「あ、だ、大丈夫です」


そう言うと鳳翔は足を一歩後ろに下げ、目を右下へと逸らす。


提督「……」


なんだこれは。なにがあった。いったいなにがどうなったらこんな反応をされるんだ。

思い出せ。考えろ。迂闊な発言は状況を悪化させるだけだ。
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/27(水) 00:37:22.45 ID:Xl+15rsF0

提督(……)


鳳翔は私が解任された後にこの鎮守府に着任した娘だ。だからそれほど面識があるわけではない。

再任時も加賀たちが内情を隠してくれたおかげで、私たちの関係ははっきりとは知らないはずだ。

それからしばらく距離を置かれてはいたが、鳳翔の店の一件で多少は打ち解けられてきた、はずだ。

……店? まさか……


提督(しくじったか……)


昨晩と今日でのこの態度の変わりよう、おそらく開店祝いの酒の席で何かしらの狼藉を鳳翔に働いたに違いない。というより思い当たるのがそれぐらいしかない。

しかもこの態度、かなり酷いことをしでかしたとみえる。

ああっ、クソっ! なぜ酒を飲んだ!


鳳翔「……それでは失礼します」

提督「ま、まってくれ」


この場から去ろうと背中を見せた鳳翔を思わず呼び止める。

鳳翔の身体が再び強張る。小柄で、おっとりとした顔立ちの鳳翔が怯える様に、血液が逆流するような罪悪感を覚える。

しまった。なぜ呼び止めた。ここで謝るか? いや、何をしてしまったのか不明確な場合での謝罪は逆効果だ。

ああっ、クソックソックソッ! 鳳翔から事情を聴けば良いと安易に考えていた自分を殴りたい。まさか鳳翔に手を出していたとは。

とにかく、差し障りのない話でこの場は流して、誰でもいいから事情を確かめなければ。とにかく店や昨晩のことは禁句だ。


鳳翔「……なんでしょうか」


なんてことのない言葉なのに、暗い表情と落ち着き過ぎた声音が心臓を貫き、思考が吹き飛ぶ。和服の紅色が返り血に見える。

……えっと、何を言おうとしたんだったか……そうだ、店のことに、ついて、話せば、いいか……?


提督「ああ、いや、大したことではないのだが、昨ば「あーッ! いたいた!」


横槍で、思考が正常に戻る。


榛名「足柄さん? どうしました?」

足柄「お話の途中ごめんなさいね、ちょっと鳳翔さんに用があって」

鳳翔「……私ですか?」


渡り廊下のほうから足柄がやってきた。

意味深に鳳翔が聞き返す。まさか足柄も関わっているのか?
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/28(木) 23:24:11.04 ID:QSCqcY//0

足柄は鳳翔の背後から両肩を掴み、鳳翔の耳元でなにかを囁く。


鳳翔「……わかりました」


足柄の囁きに目を細めた鳳翔はただただ静かに答えた。


足柄「それじゃ、提督。鳳翔さん、借りてくわね」

提督「……ああ」

足柄「ささっ、行きましょ、鳳翔さん」

鳳翔「……」


軽く会釈をした鳳翔は、ほほ笑む足柄に肩を押されながら私たちとすれ違い、廊下の向こう側へと消えていく。

足柄と鳳翔が消えた廊下を暫く眺めた後、


提督「行くか」


と、意味深な笑みを浮かべながら再び抱き着いてきた金剛と榛名に言い、渡り廊下へ向かう。

鳳翔に関しては、まずは情報収集だ。羽黒あたりからか。


「あっーーー!!」


そう考えながら渡り廊下に出ようとしたところで、先程居た廊下の先から叫び声が聞こえた。

振り向くと、足柄がこちらに向かって走ってきている。

足柄は私たちの前まで再び来ると、一拍して両手を眼前に合わせる。


足柄「ごめんなさい提督っ! 榛名さんも借りていっていいかしらっ!? ちょっと相談があるの!」


相談……ということは福祉係のまともなほうの仕事か。


榛名「……後では駄目ですか」

足柄「できれば早めが良いのだけど……」


足柄の言葉に榛名は目を細める。


提督「榛名、仕事だ。行ってあげなさい」

榛名「……了解です」

足柄「本当っ!? 助かるわ〜、朝言おうとしてつい忘れちゃったから」


そう言うと足柄は「てへっ♪」と言いながら、片眼を閉じて小さく舌を出し、猫のように曲げた左腕で額を軽くたたく。

可愛らしいが、凛とした雰囲気のある足柄にその仕草は役不足だな。刀に苺を飾るような違和感がある。


榛名「それでは提督、足柄さんとの用が終わり次第、榛名は執務室に向かいますので」

提督「ああ。部屋に戻ったら摩耶の補助を頼む、やはりまだ慣れてないみたいなんでな」

榛名「了解です。お姉様、提督のことお願いいたします」

金剛「Sure」


榛名と足柄は、鳳翔と同様、廊下の先へと消える。
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 00:31:51.56 ID:TloAhOhJ0

提督「……」


渡り廊下を歩く。食堂がひどく遠く感じる。足が重い。鳳翔の一件が頭にこびりついているせいか。


金剛「My Lord」


金剛が、ひどく澄んだ瞳で私を呼ぶ。


提督「金剛、前から言っているが、その呼び方は……」

金剛「Why? You’re My Lord, and now we’re alone」

提督「……何というか、その呼び方をされると、お前との間に距離を感じるんだ」


金剛の表情が曇る。


金剛「Distance……? I‘m near My Lord? My Lord go far away?」


俯き、自分に言い聞かせるように呟く。


金剛「No……No,No,No,No,No,No,No,No,No……erase all distance, I let no one come between us」


抱きしめた腕に千切れそうなほどの力を入れ「No」と呟き続ける。

呟きが止まる。


金剛「テートク」


金剛はゆっくりと顔をあげると、光のない流し目を使い、彼岸花のようにほほ笑む。


金剛「榛名とmake love しましたけど、どーでしたカー? しょーじきに答えてクダサーイ」


呼び方が戻った途端、何の脈絡もなく榛名との情事について聞いてきた。


提督「良かったよ」

金剛「Really? それなら良かったデース! もしテートクが満足してなかったら、榛名の脳と心臓を撃ち抜いて、dockに叩き込んでいたところネー」


笑顔のまま、妹への殺害宣言を平然と述べる。いやまあ死なないけど。


提督「やり過ぎだと思うぞ」

金剛「Excuse me? 提督への供物にさせてあげたんだから、それぐらいできて当然ネー。もしできなかったら、榛名なんてカルシウムの棒にタンパク質と脂肪が付いたただの肉の塊と同じデース。金剛型の名を冠しているのなら、このbodyを使いこなして当たり前ヨ」


金剛はポールダンスを踊るストリッパーのように私に抱き着き、その肢体を誇示してくる。


金剛「テートクが一人でbathingするって言ったのに、勝手に入っていったと知ったときは気が気でなかったデース。Make love なんて聞いたときは砲門がFireしないように抑えるのが大変だったんデスヨ?」

提督「そうか」


お前の火薬庫が爆発しなくてよかったよ。本当に。
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/01(日) 01:44:29.69 ID:VCFeP4gvo
きてたのか
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 23:20:12.08 ID:XEQnZLFK0

足柄「━━━━━鳳翔さん、お待たせ〜」

榛名「……」

鳳翔「……それで『昨晩のこと』と言うのはっ!?」


足柄が鳳翔の首を絞める。


足柄「何が『それで』よ。私言ったわよね? 『昨晩のことは秘密にしなさい』って」

鳳翔「がっ、あっ」

榛名「足柄さん、鳳翔さんが話せませんよ」

足柄「あら? ごめんなさいね」


足柄が鳳翔から手を放すと同時に、鳳翔は咳き込む。


鳳翔「けほっ、話しかけてきたのは、提督の方ですよ。私は何も……」


破砕音とともに、鳳翔の後ろの壁にヒビが入る。


足柄「あからさまな態度を取るなって言ってんのよ。旧式の空母っていうのは頭までボケるわけ? それとも私たちへの当て付けかしら?」

鳳翔「……あんなことをさせられて、嫌な顔をするなというほうがおかしいです」

足柄「へぇ、そういう態度を取るわけね。昨日あれだけよがっておいて、ねぇ」

鳳翔「なに、を……」


足柄は懐からいくつかの写真を見せる。


足柄「じゃーん! 鳳翔さんの処女喪失、初中出しに初イキ、ファーストキスの写真でーす。すごいわよねー、最初はいやいやだったくせに、最後は自分から腰振っちゃうんだから、やっぱりあれかしら? 日頃から結構溜まっていたとか?」


そこには、複数の艦娘によって机に抑えつけられ、犯され、結合部から血を流している鳳翔の写真があった。

他にも、秘部から赤色が混じった白濁液を垂れ流している写真や、男の上に跨って仰け反っている写真、虚ろな目で口付けを交わしている写真など、痴態を余すことなく捉えた写真が飾られている。


鳳翔「なんでそんなもの……!」

足柄「『記念撮影』はうちの慣習なのよ。あの人に抱かれた女は例外なく、ね。大変だったのよ〜? 羽黒をなだめながら撮影するのは。ああそうそう、飽くまでこれは元のデータから作ったサンプルだから。今の時代って便利よね〜。私たちの時代とは大違いだわ。この写真なんてほら、お尻の皺までくっきり見え「やめてください!」

鳳翔「あなたたちは……いったい何がしたいのですか」

足柄「だから、黙ってろって言ってんのよ。本当に察しが悪いわね」

鳳翔「……このことを上に言えば、処分は免れませんよ」

足柄「チクるってこと? 言うじゃない、さっきまで自分を慰めていたくせに」

鳳翔「え? あっ、なにを」


足柄は鳳翔の強引に袴をめくり、秘部をまさぐる。
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/01(日) 23:20:48.77 ID:XEQnZLFK0

鳳翔「やめっ、あっ♡」


鳳翔の甘い声とともに手が引かれると、足柄は濡れた指を鳳翔の前に出す。

人差し指と親指を少しこすり、そしてゆっくり開くと指の間に白い糸が引く。


足柄「濡れているじゃない。おまけに凄い臭い。もしかしてあの人と話していて興奮しちゃったのかしら?」

鳳翔「っ」


鳳翔は、愛液を嗅ぐ足柄から目を逸らす。

その態度に足柄の表情が喜色に変わる。


足柄「そっかそっか、そっか〜、つまり〜、さっきの態度は〜、あの人と話していて疼いちゃった雌の身体を〜、気づかれないようにするためだった〜、ってわけね〜」


鳳翔は羞恥に頬を染める。


足柄「それなら、素直に『抱いて』って言えばよかったのに。『昨晩酔ったあなたに犯されました、責任を取ってください』って」

榛名「……」

鳳翔「そんなこと……」

足柄「酔った時のあの人の荒々しいセックスも素敵だけど、目覚めているときのネチッこいセックスもいいわよ〜、気持ちいいところをグリグリ、って責められて、降りてきた子宮をトントン、って叩かれるの」

鳳翔「……っ」


耳元で足柄がそう囁くと、鳳翔は唾を呑んで喉を鳴らした。


足柄「どうかしら」

鳳翔「……できません」

足柄「そう? まあいいけど。仮に告発したところで、せいぜい鳳翔さんが転属させられるだけだと思うけど。軍の体質っていうのは鳳翔さんもよく知っているでしょう? おまけに証拠は鳳翔さんの身一つ。ましてやこのご時世、世間様の騒がれるようなことは上も避けたいはずでしょうし。それに……」


睨みつける鳳翔の耳に、足柄の口が近づく。


足柄「別に鳳翔さんがいなくなっても、代わりはいくらでもいるもの。駆逐艦の娘や……利根ちゃんとか、ね」

鳳翔「……! 外道……!」

足柄「同期の親友って素敵よね、そうは思わない? 鳳翔さぁん」

鳳翔「………………わかり、ました」


歯ぎしりをしながら、俯く鳳翔。

獣の如く唇を歪めて、喜ぶ足柄。


足柄「わかってくれて何よりだわ〜、そういえばこのあと利根ちゃんに会いに行くのよね? 一緒に組むことがあれば『よろしく』っていっておいてね〜」


そう言って、足柄と榛名は立ち去る。

残っているのは、小さな空母だけ。
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/05/01(日) 23:27:24.70 ID:XEQnZLFK0
・本日 ここまで

・ガバガバすぎる……

・もっと すっきり 書きたい

・書いてて 胸糞悪く なってきた

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/02(月) 00:38:06.68 ID:cIvrM9jEo
乙。かなりヤバい鎮守府だなあ。こりゃ正気組もどれだけいるんだろうか?
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/02(月) 08:54:27.86 ID:BgLpLDkhO
うーんこの
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/02(月) 22:54:43.00 ID:ohtfHSzXo
おつ
これは正気と狂気が混在してるのか
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/02(月) 23:02:32.64 ID:IkJYMm/qO
やっぱり妙高型のガチっぷりがヤバい。
ところで榛名は何故足柄についていったのか。
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/04(水) 11:28:37.51 ID:Y32TyTRF0

榛名(━━━━━意外と御洒落ですね)


部屋に招かれた榛名は、給湯室に向かった足柄を待っていた。


足柄「ごめんなさいねー、年増の股汁なんて汚いものが手に掛かっちゃったから、きれいにするのに手間取っちゃった。アイスティーしかないけどいいかしら?」

榛名「構いません。それより用事はなんですか? 早くあの人の元へ戻りたいのですが」

足柄「まあまあ落ち着いて頂戴。と言っても、戻りたい気持ちは分かるわよ。福祉係は大変よね〜、いろんな娘たちからの要望や意見を集約して、制度の改善に努め「御託はいいです」


アイスティーをダイニングテーブルに置き、やんわりと会話を始めた足柄の言葉を、榛名は切り捨てる。


榛名「あの人との時間は一分一秒でも貴重です。本来ならここで呼吸することさえもどかしい。鳳翔さんの一件といい、足柄さんは少々『余計』です」

足柄「あら、そう? 昨晩は上手くいったと思っていたのだけど?」

榛名「……そもそも昨晩あの人を酔わせたのは、手を出さないあの人への不満を『襲われる』ことで解消するのが目的だったはずです。なのに結果としては、無関係な鳳翔さんを襲わせて……あの人が事実を知ったらどれだけ傷つくか……」

足柄「いいことじゃない」

榛名「皮を剥ぎますよ、狼」

足柄「あらいやだ、そんな酷いことをするおばあちゃんはペロリと食べちゃわないと」

榛名「なら猟師に裂いてもらうよう依頼しないといけませんね」

足柄「他の男に触れられるなんていやよ〜、あっ、でも、お腹をあの人の弾丸に撃たれるのならありかも♡」


うっとりと妄想に浸る足柄をしり目に、榛名は溜息とともにアイスティーに口を付ける。


榛名「……悪くはないですね」

足柄「ふふっ、榛名さんにそう言ってもらえると自信がつくわ。昨日のカツがあるけど食べる?」

榛名「いりません」

足柄「あの人の食べかけもあるけど?」

榛名「食べます」
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/04(水) 11:35:56.22 ID:Y32TyTRF0

榛名が「あの人の唾液付き……ロマンを感じます」と言って食べ始めたのを見計らい、足柄が口を開く。


足柄「それで相談なのだけれどね、福祉係の職務規範を見直して欲しいのよ」


榛名はカツの咀嚼を終え、唾液でクリーム状になったカツを飲み込むと、アイスティーで口の中を流して一言。


榛名「具体的には?」

足柄「あの人とするときの基準についてよ。今の基準だとお誘いはできても、同意がない限りこっちから手を出せないじゃない」

榛名「負担が大きすぎますからね」

足柄「でもそのせいで不満の声があがっているわけ、『せっかく係に就いたのに、全然できなかった』とか『お誘いしたのに断られた』とか、もう耳が痛いくらい聞いたわ」

榛名「あの人の鬱憤解消が目的なのですから当然です。こちらから一々手を出していたら、あの人の課業が進みません」

足柄「でもあの人の仕事なんてほとんどないじゃない。事務処理に艦隊指揮、開発やその他諸々も私たちが担当しているわけだし。せいぜいやるのは上への報告や教育ぐらいでしょ?」

榛名「提督不要論の先駆けとして、そうなるように制度を組みましたからね。『提督』も「兵器が兵器を運用するのは認められない」という人間側の都合に合わせて置いているだけですし」

足柄「でしょ?」

榛名「仮にそうだったとしても、先ほども言いましたが、あの人への負担が大きすぎます」

足柄「その点については問題ないわ。むしろ四人で一日中輪姦していても足りないと思うわよ」

榛名「信じられませんね。時期的にもまだそこまで改造は進行していないはずですが?」

足柄「それがそうでもないの。ねえ、榛名さん、今朝あの人の左の首筋は見たかしら?」

榛名「もちろんです。しゃぶりつきたくなるような首でした」

足柄「その首に、朝、姉さんが咬みついて傷を付けたのだけど、傷跡はあったかしら?」


その言葉に、榛名は訝し気な表情を見せる。


榛名「そんな傷、一つも……いえ、それよりもなぜそんな羨ま、んんっ、妙高さんはなぜそんなことを?」

足柄「さあ? でもまあ、傷は無かったみたいね」

榛名「……それが事実なら、内臓器官はほぼ回復していることになりますね」

足柄「ええ、能力強化は修理後の段階のはずだから、それで間違いないはずよ」


足柄は一息つくと、机に置いてあったカツを一切れ食べる。


足柄「んっ……これであの人の時間も、体力の問題も解決したと思うけど、どうかしら?」

榛名「しかし、かといってあの人がそれを望むとは……」

足柄「も〜っ! まどろっこしいわねぇっ」


渋る榛名に、足柄がカツを入れる。


足柄「あの人が私たちに手を出さないのは、一重に『娘たちを自分の慰み者にしたくない』『本当にしていいのか?』という馬鹿馬鹿しい心理的な問題があるからよ。逆に私たちがあの人を慰み者にすることに対してはむしろ無頓着なぐらいだわ。制度さえ整えば嬉々として受け入れるわよ。そもそも榛名さん、今日あの人に何回してもらったわけ?」

榛名「……中出しを一回だけ、キスは三回ほど」

足柄「羽黒はいけいけどんどんであの人に攻めまくって午前中に中出し十回以上、キスは数えきれないぐらいしていたわよ。仕事は全部姉さんに丸投げ、あんまりうるさいから仮眠室に閉じ込めといたわ」

榛名「そんなに……」

足柄「正直違反行為スレスレだったけど……ともかく、こっちが望めばいくらでも相手をしてくれるのよ、あの人は。それともこのままこの制度を続けて、フラストレーションを溜め続けるわけ? あの人だって、そんなことで士気が下がるのは望んでないと思うわよ」


榛名はしばらくカップの水面を見ていたが、意を決したのかカツを一つ一気に食べ、アイスティーを飲み干す。


榛名「……わかりました。正直榛名も、あの人と滅茶苦茶セックスしたいです」

足柄「よし」


足柄は小さくガッツポーズをした。
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 11:47:28.41 ID:BqC2GV/7o
か、かいぞ・・・うん?
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 11:53:55.56 ID:tHlzG9wJo
まるゆを食わせたら運が上がりそう
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 16:14:39.94 ID:HogxfGX5o
きてたのか
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 16:31:45.95 ID:zXYR6LFvO
鳳翔さん可哀想……
足柄はそこそこまともだと思ってたのに
こうやって狂気は伝染してゆくのか
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 19:14:26.34 ID:3hnbVrw40
鳳翔さんは常識人(性欲には勝てない)
周りの悪ノリが過ぎたんでしょ、多分
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 20:06:01.56 ID:gv+CXhNB0
いやまだ分からんぞ。
常識人の皮を被って内心エロエロでグチョグチョなことを考えてるかもしれない。
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 21:16:18.79 ID:w15sOkibo
乙。一応人間もいるようか。
大分環境も明かされつつある。はたして提督は人間なのか兵器なのか?
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/05(木) 09:39:17.86 ID:E5690AEP0
乙。足柄、榛名の会話だと本当に>>72で提督が言ってた『お飾りの提督』になってるんだな。
艦娘たちにとってここの提督は愛玩や慰安のような存在になってるな。
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/05(木) 20:36:19.82 ID:YT2sNdyao
というか鳳翔さんを年増呼ばわりは許せん
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/05(木) 22:39:20.25 ID:C7Bh0+uvO
佇まいが良い意味で古臭いのが鳳翔さんだからなあ
蔑称が付くとすりゃ年増ってことになるだろうさ
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/10(火) 00:00:03.08 ID:qThukDNG0

足柄「━━━━━さてと、次の会議に向けてはこんなところかしら」


ポットのお茶を半分消費したところで、足柄は身体をほぐすように背伸びをする。


榛名「そうですね。しかし日数が足りませんね……」

足柄「今回の見直しに反対する娘は少ないと思うから、最低限、発言力のある娘に根回しできればいいわよ」

榛名「わかりました。先ほど名前の挙がった娘に今回のことを話してみます」

足柄「ええ……ごめなさいね、時間取らせちゃって。久々の秘書艦だったのに」

榛名「構いませんよ。真面目に職務をこなした方が、夜に可愛がってもらえますから……それより、相談はこれだけですか?」

足柄「ええ、次の会議で榛名さんに今回の見直しを提案してもらうのが主だったから、他にはないわ」

榛名「そうですか。それではもう足柄さんは用済みですね」


その瞬間、榛名の足元の影に火のように赤い亀裂が走ったかと思うと、一瞬でその影が部屋を覆った。

椅子からゆっくりと立ち上がる榛名の両側から、黒い鉄の折り紙で作ったような、大きな手が生える。

そんな榛名を、足柄はアイスティーの入ったカップを傾けながら、優雅に見物する。


榛名「足柄さん、先程あの人が傷つくことが良いことだと言いましたね」

足柄「ええ」

榛名「詳しく教えて頂けませんか? 返答次第では苦しまず沈めてあげますので」

足柄「その手で皮を剥ぐつもり?」


足柄の眼前に黒い手が横切ると、陶器が割れる音と木が折れる音が不協和音を奏でた。


榛名「言葉遊びに付き合うのは一度だけですよ、足柄さん。礼儀の知らない若造でも、それぐらい状況は読めますよね?」

足柄「なるほど、榛名さんはおばあちゃんじゃなくて猟師さんだったわけね」


その言葉を言い終えるや否や、足柄の持っていたカップが縦に割れ、中身が零れて靴を汚す。


足柄「暴力で相手を抑えつけるのは幼稚よ?」

榛名「兵器が暴力を振るわず、何を振るうのですか? 私たちの本懐を忘れたわけではないでしょうに」

足柄「人を守ることでしょ?」

榛名「敵を殺すことです」


黒い瞳と青い瞳が交差する。


榛名「人間を守るのは人間です。その人間を守るために敵を脅し、敵を落とし、敵を殺すのが私たちです。それすら忘れましたか、巡洋艦。それとも、あの人に優しくされて自分が人間だとでも勘違いしましたか?」

足柄「……榛名さんの『人間』と『敵』ってなに?」

榛名「『人間』はあの人、『敵』はあの人の敵全て」


黒い手の根元から、ダズル迷彩の主砲が現れる。


榛名「足柄さンハ『敵』デスカ?」
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/10(火) 23:07:04.90 ID:8SysbjsSo
きてたのか
450 :スレッドムーバー [sage]:2016/05/17(火) 21:01:49.79 ID:???

このスレッドは一週間以内に次の板へ移動されます。
(移動後は自動的に移転先へジャンプします)

SS速報R
http://ex14.vip2ch.com/news4ssr/

詳しいワケは下記のスレッドを参照してください。。

■【重要】エロいSSは新天地に移転します
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1462456514/

■ SS速報R 移転作業所
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1463139262/

移動に不服などがある場合、>>1がトリップ記載の上、上記スレまでレスをください。
移転完了まで、スレは引き続き進行して問題ないです。

よろしくおねがいします。。
å
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/18(水) 16:31:55.57 ID:pWkUujgVo
全然18禁要素ないだろ!
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/22(日) 18:30:39.92 ID:NcCgM5KH0

殺意で揺れる静かな波の声が、地獄の海底で踊るような残響を残す。

今だ榛名の足元からは赤い亀裂の影が溢れ、部屋の景色を揺らし続ける。

火種に焦がされ、軋み声をあげながら深海に沈む艦の中のような、そんな部屋で

榛名の青い瞳だけが、雲のような残影を棚引かせて輝いている。


足柄「……敵ではないわね」


足柄は半分になったカップの取っ手に人差し指を入れ、指を軸に回転させる。


榛名「……ヘェ、ソレデ?」

足柄「あの人にここに居てもらうためよ、罪悪感で縛りつけてね」


足柄は脚を組み、左腕を肘掛に置き、頬杖を突く。

カップが風車のように回転する。


足柄「鳳翔さんはお店の一件であの人と距離が縮まっていた。それでいて三代目からの艦娘だから、あの人の過去とは無関係」

足柄「自分の傷に触れない程度の仲になった艦娘。お淑やかで気遣いもできて、料理上手で器量よし。あの人にとって心地よい関係だったでしょうね。気に食わないぐらいに」

足柄「そんな娘をある日突然、自分の過ちで傷物にしてしまった」

足柄「ちょうどいいと思わない? 罪を許し合えるほど仲が良いわけではなく、だからと言って関係を切れるほど浅い仲でもない、っていうのは?」

榛名「余計ナ世話ヲ、ソンナ事ヲセズトモあの人ハ」

足柄「ここに居てくれる? 本当に?」


回転速度を上げたカップは指を登り、指先まで登りつめた瞬間、ふわりと指先から抜けて床へと飛んでいき、無様に砕けた。


足柄「あの人は、解任されて出て行かされた時、私たちに何も言ってくれなかったわ。あの人から別れの言葉はなく、私たちは見送ることさえできなかった」

榛名「アレハ、本土ノ連中ガ 仕組ンダコト」

足柄「そうね、それに私たちはやすやすと乗っかった。『本土で観艦式ができる』って浮かれて、あの人が同行しないことの不自然さに気づかずにね」


榛名の手が強く握られる。自壊してしまいそうなほど強く。


足柄「鎮守府を挙げての観艦式に、海軍への復帰……浮かれるのも無理はないわ」


足柄は床に散らばったカップや皿、机の破片を一瞥する。


足柄「『どうして気づかなかったのだろう』『なぜ、一緒に行こう、と言えなかったのだろう』『今、一番見て欲しい人はあの人だったのに』『私たちにとって、あの人はその程度の人だったの?』」

足柄「そうやって、ずっと後悔した。でもこうも思ったの」

足柄「『どうして相談してくれなかったの?』『なぜ、一緒に行きたい、と言ってくれなかったの?』『私たちの晴れ姿を見たくなかったの?』『あの人にとって、私たちはその程度の存在だったの?』」

足柄「『もし離れられないような関係だったら、少しは違っていたのかな?』」





足柄「『なら、そうなってしまエ』」





453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/22(日) 18:31:29.77 ID:NcCgM5KH0

足柄「三代目を殺して、この鎮守府の制度を変えて、あの人を取り戻して、病気を治して、簡単に死なないように改造を施して、少し変わってしまったけど、やっと昔のように過ごすことができるようになって」

足柄「でも、まだよ。私たちの傍にずっと居てもらうようにしなきゃいけない」

足柄「手錠や縄を使って縛りつけるべきかしら? でもそんなことをしたらあの人は憔悴してしまうわ。やつれて黒ずんだあの人はもう見たくない」

足柄「手足を切断して逃げられないようにする? 嫌よ、抱きしめたら抱きしめて欲しいもの、手を握ったら握り返してほしい、同じ位置に並んで同じ向きで同じ歩幅で同じ道を歩きたい。犯してほしい、傷つけて欲しい」

足柄「目をくりぬく? 嫌よ、見つめたら見つめて欲しい、この身体を一つ残らず髪の毛一本から目も瞳も瞼も耳も鼓膜も口も歯も舌も頬も首も肩も腕も肘も手も胸も乳首も腹も膣も尻も腿も膝も脛も足の裏も骨も筋も内臓も子宮の奥も心臓も残さず見て欲しい」

足柄「耳や舌を切り落とす? 嫌よ、愛を囁いたら囁き返してほしい、善いことをしたら褒めて欲しい、悲しい時は慰めて欲しい、間違ったことをしたら叱ってほしい、怒った時は鎮めて欲しい、楽しい時は一緒に笑ってほしい。ただ一方的なコミュニケーションなんていらない。私が欲しいのは人形じゃない」

足柄「ならどうやってここに居てもらう? どうやって縛りつける? 常時監視するとしても、監視役の護衛があの人に篭絡されたら? 『他の誰よりもお前を愛している。一緒にここから出よう、二人で暮らそう』なんて言われたら? たとえそれが一時の方便でも、その一時の至福のために堕ちる娘は多いでしょう、私も含めて、ね」

足柄「なら、体がダメなら、心を縛りましょう。ここから居なくなることが悪いことだと心に刻みましょう、逃げることが罪深いことだと刷り込みましょう、私たちを置いていったことを後悔させてあげましょう」

足柄「心がある限り、罪悪感はいつでも付きまとう。海の果てまで逃げたとしても」

足柄「そしてあの人は、罪悪感から逃避できるほど冷淡でもなく、強くもない。程々に甘い考えした、とても優しい人だもの。清算できる可能性があると思ったなら、いつまでもそれに引きずられてくれる」

足柄「そうやってズルズルと引きずられている間に、ここに居るメリットを教え込んで、ストレスの捌け口も用意しなきゃ。縛りつけるだけじゃ壊れちゃうもの」

足柄「国を守れる、名誉が得られる、命令できる、お金が手に入る、美味しいものが食べられる、女を抱ける」

足柄「『提督』ってホント良い職業よね」


右手を膝に乗せ、左手を頬に添えた足柄の顔は、喜色満面。


榛名「ソレハ知ッテイマス。デスガ ソレハ 榛名タチダケデ 充分ノハズ」

足柄「……時間が経てば、罪悪感は薄れるものよ。現に最近、あの人は一人になろうとすることが多いわ。それにローテーションを組んでいるとはいえ、抱ける娘が決まっていればいつかは飽きる。新しい刺激が必要なの」

榛名「一歩間違エバ、あの人ガ潰レマスヨ?」

足柄「だからさっき止めたんでしょ? でも、心配ないと思うわよ? 伊良湖ちゃんと同じで鳳翔さんも素質がありそうだし」


榛名は苦虫を噛み潰したような顔になる。


足柄「本当なら、噂を流してじっくりやるつもりだったのよ? なのにネタばらしなんかされたら、せっかく作った『鳳翔』ってカードを使えなくなっちゃうじゃない。
でもまあ、お陰であの人は何か感づいてくれたみたいだし、噂を流す手間が省けたと思えば結果オーライかしら」

榛名「コレカラモ ソウヤッテ 『女』ヲ増ヤスツモリ?」

足柄「ええ、ずっと私たちの傍に居てもらうためにもね」

榛名「……ソウ」


榛名の砲塔全門が足柄に狙いを定める。


榛名「ヤハリ オ前ハ 『敵』ダ」

454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/22(日) 20:03:09.28 ID:VLk8mtSro
乙。
大体の流れが見えてきた。
ヤンデレ内の内ゲバも独占欲だけじゃないのね。


抗争が始まったら何人生き残るのやら。
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/23(月) 20:23:42.69 ID:cYCm/r8p0

足柄に砲を向けた榛名の髪から色素が抜け落ち、死装束のように白くなっていく。

肌には死化粧をした亡骸の如く、生気のない忌避的な美しさが産まれる。

赤い亀裂の影が砲弾を撃ち込まれたように内側に凹み、軋み声と撃音が響く。

撃音と共に足柄が立ち上がった。

足柄が先程まで座っていた椅子は凹みに破壊され、沈むように影に飲み込まれた。


榛名「オ前ハ危険ダ。あの人ガ 娘タチヲ慰ミ者ニ シタクナイコトヲ 知ッテイテ、敢エテ ソレヲ強要シテイル」

足柄「やめたほうがいいわ、榛名さん。後悔するわよ」


対峙。

しかし平行線。


榛名「鶴姉妹ト箱入娘ノ一件デあの人ガ ドレホド傷ツイタカモ忘レ、あの人ノ心ヲ壊ソウト シテイル」

足柄「砲を下ろしなさい榛名さん。もし私をここで沈めたら、あの人は榛名さんを絶対に許さないわ」

榛名「人間ニナッタト思イ込ミ、人ノ心ヲ理解デキタト誤解シテ、分ヲ弁エズ人ノ心ニ付ケ入リ、疲弊シ堕落サセ、私タチノ大事ナ物ヲ弄ブ!」

足柄「私たちがあの人を監視しているように、あの人も私たちをどこかで見ている。最後の一線を越えたらあの人は容赦なく私たちを裁くわ。榛名さんはそれを超えようとしているのよ?」

榛名「オ前ノヤッテイルコトハ アノ人間ドモト同ジダ! 自分ニ都合ノイイコトヲ、耳ザワリノ良イ詭弁デ正当化シテイルダケダ!」

足柄「あの人が大事なのは、所詮『私たち』なのよ」

榛名「歪ンダ ソノ精神! 榛名ガ! 許シマセン!」











足柄「……この気持ちが歪んでいるというのなら、とっくの昔に皆狂っているわよ……」










風切り音。
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/23(月) 20:24:17.60 ID:cYCm/r8p0

赤い亀裂の影を破り、風切り音とエンジン音を響かせて、一機の航空機が部屋に突入した。

その航空機は部屋の中で急旋回すると足柄と榛名を分断するように、二人の間を飛び抜ける。


榛名「私ノ“海”ニ……!?」

足柄(川内の水偵じゃない? これは━━━━━)


暗緑色と灰色の迷彩塗装に、スリムな胴体と主翼。

何より特徴的なのは、二つのフロートの支柱にあるハンコ注射痕のような模様。


足柄「━━━━━瑞雲!? そっち!?」

榛名「コノ……!」


榛名が瑞雲に照準を合わせようとするが、蠅もかくやと思わせる狂気じみた軌道を描きながら部屋の中を飛びまわる瑞雲は、高速戦艦を「鈍間」と嘲笑うが如く、悉く照準を避けていく。

鉄の手も蠅叩きのように振るうが、虚しく空を切るばかり。


足柄「……無線通信?」


驚愕する重巡と苛立つ戦艦を他所に、瑞雲から信号が放たれる。

通信内容を聞いた足柄は、榛名に呼びかける。


足柄「……榛名さん、これ以上は……」

榛名「黙レ、オ前ヲ沈メテ、コイツモ撃チ落トセバ……!」

足柄「ここで手を引けば、今回のことは見なかったことにしてくれるわ。幸い外に音は漏れていない。知っているのは私たちだけよ。もう、ここまでにしましょう」


美しい貌を歪めた榛名が、鬼のような双眸で足柄を睨む。


足柄「私も、榛名さんに指摘されて、自分のやり方が軽率だと感じたわ。あの人を押し留めることばかり考えて、榛名さんの言う通り、あの人の気持ちを考えていなかった。反省しているわ」


榛名の動きが止まる。

瑞雲は榛名と足柄の上空で円を描くように廻り続ける。


足柄「このことをあの人に知られたら、きっと見離されてしまう。それは、嫌だもの……」


足柄はそう言うと、右腕を下し、左手で右肘を掴むと、寂しそうに俯いた。

榛名はそんな足柄を睨み続ける。


榛名「……」

足柄「……」


瑞雲が幾度となく円を描き続けた後。


榛名「……ふん」


と、不快さを声と共に吐き出し、艤装を納め、髪と瞳を元に色合いに戻す。

影も足元に収まり、破壊した家具とティーセット以外、部屋の景色が元に戻る。

二人の様子を見てか否か、瑞雲がいつの間にか開かれていた窓の外へと飛び去って行く。
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/23(月) 20:24:55.14 ID:cYCm/r8p0

足柄「榛名さん」

榛名「……足柄さんは、あの人と幸せになりたくはないのですか」

足柄「なりたいわよ。だからと言って奪い取るような真似をすれば、鶴の二の舞だもの。それなら、最高でなくとも最大限の幸福を目指すべきじゃない」

榛名「……女が増えれば、その幸福とやらも減っていきます。いつか崩壊しますよ、そのやり方」

足柄「……そうならないように、できる限りのことをしているつもりよ。榛名さんへの相談も、その一環」


榛名は足柄を横目で見つめる。

足柄は、そんな榛名の視線を、穏やかな、それでいてどこか諦観を含んだ表情で返す。

榛名は「……はぁ」と溜息をつく。


榛名「感情的になりすぎました。砲を向けて、すみませんでした」

足柄「いいのよ、結局未遂で終わったわけだし。むしろ、あの人を想う気持ちが感じられて良かったぐらいだわ」

榛名「……ティーセットと家具、後で弁償しますね。あと福祉係の見直しの件ですが、それもやっておきますので」

足柄「ええ、お願いね」


榛名はドアへと向かう。


榛名「……それと」


ドアノブに手を掛けた榛名は、足柄に振り向き言葉を発する。


榛名「相談があれば、また聞きます。やり方は気に入りませんが、興味深いので」

足柄「ありがとう。助かるわ」

榛名「それでは……お茶とカツ、美味しかったです」

足柄「ふふっ、また来て頂戴、歓迎するわ」


榛名は、部屋を出て行った。


足柄「……さてと」


榛名が出て行ったあと、足柄は部屋を見回す。

散乱した木や陶器の破片、お茶の染み、潰れたカツの油。


足柄「那智に怒られるわね……」


部屋の惨状から逃避するように床から目を離し、窓の外へと視線を移す。


足柄「そっか、今日は晴れだったわね」


青い空を見つめながら、一人呟く。


足柄(……それにしても危なかった、まさか研究所の連中が出てくるなんて)


鳥の鳴き声を聞きながら、思い耽る。


足柄(そういえば明日の秘書艦て確か……)


空を、見上げる。


足柄「……まずいことにならなきゃいいのだけど」
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/05/23(月) 20:28:20.74 ID:cYCm/r8p0
・本日 ここまで

・冗長 orz

・特別な瑞雲て何ですか 師匠……

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/23(月) 22:43:18.78 ID:p4rxqVocO
乙です。
鶴姉妹はともかく箱入娘って…?
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/24(火) 06:34:00.44 ID:a6o1UsDso
閻魔刀じゃね?
461 :真真真・スレッドムーバー :移転
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/05(日) 14:32:21.82 ID:frgCoKKvO
打ち切りか...
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/06(月) 09:21:37.12 ID:dkxel9l9O
それはない
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/08(水) 15:51:44.92 ID:8iPTxX1ZO
打ち切りかぁ残念だ
まだ見たかった
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/08(水) 21:53:43.08 ID:VyDqPimHo
移転に気づいていない可能性
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/08(水) 23:07:02.72 ID:LDYPqwjQo
何年でも待てるわ
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 23:07:16.18 ID:YDuUMOMM0

提督「━━━━━間宮さん、居ますか」


白緑の床に、薄浅葱色のクッションがついた椅子と白い机が忽然と並ぶ食堂。昼前で誰もおらず、伽藍堂になったその食堂の中を金剛と共に歩き、配膳口にバスケットを置いて厨房内に声を掛けた。

返答無し。

しかし、今は昼食前、だとすれば仕込みをしている時間帯だから、たぶん居るはずだ。

少し待つ。

待っている間、金剛が私の右手をさらに抱き寄せ、その袖口を摘み、弄り、這わす。

しばらくすると厨房の奥から総髪の娘が駆け足で、青碧色したその髪を揺らしながら現れた。


「提督さん、お疲れ様です♡」

提督「……ああ、仕込み中すまないな、伊良湖」

伊良湖「いえ、お気になさらないでください♡」


伊良湖は食堂と厨房を隔てる扉を抜けると、嬉しそうな表情で私の前まで駆け寄ってきた。

そして腕を伸ばすと、私に抱きつ……


金剛「……」

提督「……っと」

伊良湖「あれっ?」


瞬間、私の上体が引っ張られ、伊良湖の腕が空振った。

すぐに態勢を整えた私はとっさに左腕を伸ばし、抱き付こうとした勢いで転びそうになった伊良湖を支える。


提督「大丈夫か」

伊良湖「はい♡」


伊良湖は肩を掴む私の左腕を両手で這いずり寄せると、そのまま抱きとめる。

服越しでもわかる乳房の膨らみに腕が挟まれ、伊良湖の腕と左右の乳房の三点締めで腕が捕獲される。

髪色や見た目で細めの印象がある伊良湖だが、脱ぐと凄い。いや、それは今どうでもいいか。


提督「金剛」

金剛「伊良湖、それじゃテートクが動けないネ」


伊良湖が抱きつこうとした瞬間になぜ腕を引っ張ったのか、その事情を聴こうと金剛へ振り向いた途端、見下すような目つきの金剛が伊良湖に忠告をした。
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/08(水) 23:08:26.26 ID:YDuUMOMM0

伊良湖「あっ、居たんですね」


伊良湖は今気づいたと言わんばかりの台詞でその忠告を流し、再び私に向き直る。

その態度に侮蔑と苛立ちが金剛の目つきに加わる。


伊良湖「ところで提督さんは昼食ですか?」

金剛「伊良湖、テートクが め い わ く してるネ」


金剛から伊良湖への再度の忠告。


伊良湖「ごめんなさい、何か言いましたか?」


金剛からの忠告に対し、伊良湖はゆっくりと視線を向けると、口に指を当て、金剛に対して目を細めて不敵に微笑んだ。

金剛が怒りと牙を剥き出しにし、私の腕から離した右手を獅子の爪のように構える。


金剛「GET YOUR HANDS Off……!?」


金剛の腰に手を回し、優しく抱き寄せる。伊良湖に金剛が手を出す前に、回した手で右手前腕を撫でる。

私の一撫でで金剛の言葉と動きが止まっている間に、金剛の腕に這わせながら右手を少しずつ下げていき、金剛の右手に触れたところでその鉤爪を一本ずつ解していく。

金剛の指は、私の指と違って、細い。しっかり手入れをしているのだろう、むくみもなく、まるで絹の楂古聿ようだ。

その指に、戦艦が力を入れている。軽くなのか重くなのか、どの程度の力で指の筋肉を締めているのかはわからない。

しかし私が触れた限りでは、本物の鉄以上の硬さが金剛の指に存在していた。

もし今金剛が指を閉じたのなら、私の右手は一瞬で挽肉になるだろう。

そう考えながら金剛の指一本一本を優しく握り、絡め、付け根を指の腹で舐める。

すると金剛は戸惑うように自分の右手を一瞥した後、私に艶やかな瞳を向け、はにかみながら頬を染めた。


金剛「てーとく」

提督「金剛、伊良湖と少し話をする。いい娘で待てるな?」


鉤爪が解れたところで右手を放し、肌蹴た右肩を一撫でした後、首に手を回してあやすように頬を撫でる。

金剛の目が少しずつ胡乱になる。陽だまりで寝そべる獅子のような表情だ。


金剛「Yes……」


金剛はたどたどしくそう肯定すると、私の服の裾を掴んでべっとりと寄りかかり、静かに微睡んだ。

金剛が大人しくなったのを見計らい、伊良湖に目を向ける。


伊良湖「伊良湖が話をしてたのに……」


伊良湖は能面を張り付けたような表情で目を細め、金剛を目視していた。何故だろう、既視感がある。

469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/08(水) 23:15:57.01 ID:LDYPqwjQo
キテルー!
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/08(水) 23:21:54.37 ID:YDuUMOMM0
・本日 ここまで

・お待たせいたしました

・大変申し訳ありません 移転先を見つけるのに時間が掛かった上に 書こうとする日に限って体調不良が続き 投下が出来ませんでした 正直まだだるいです

・前回の 足柄や榛名の会話のような 提督のいないサブストーリー(視点変更?)的なものは いらなかったかな? 艦娘側の状況が描写できるけど 視点変更が散発すると読む側が混乱するみたいだし……… 難しい………

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/09(木) 02:18:19.97 ID:uks9k5f7O
提督がいる方が好きですが、たまには艦娘だけの話もいいと思います。
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/09(木) 04:59:14.71 ID:j+jdBD0Ao

移転先のURLが移転前の「news4ssnip」を「news4ssr」に変えるだけって周知が進んでない?
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/09(木) 19:32:16.35 ID:81w+B80w0
打ち切りだったらめっちゃモヤモヤしてたわ
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 00:49:23.39 ID:KVI0bgpx0
乙 体調不良には気を付けて お大事に
一番楽しみにしてるので最後まで続けてくれると嬉しいです
提督がいると進まない話があると思うので艦娘側の話もいいと思います
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 22:37:02.81 ID:iROYTvNVo
乙。
待ってた。
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 22:47:15.52 ID:UdyZPtnao
しかしこの鎮守府、乱交多人数ブレイok派とヤンデレ派との対立激しいよな。
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/06/25(土) 13:42:38.93 ID:a91OjV1Vo
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/06/28(火) 02:13:11.87 ID:svtkr9Uj0
打ち切りか悲しいなぁ
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/06/30(木) 22:13:06.67 ID:+So8ACQP0

提督「伊良湖」

伊良湖「なんで伊良湖を無視するんですか?」


ぐるんっ、と微笑った口と見開いた目が一気に私に迫る。


提督「無視をしたわけでは」

伊良湖「無視しました。伊良湖より金剛さんを見てました」

提督「今は伊良湖を見ている」


その瞬間、ガシっと私の頭蓋を伊良湖の両手が挟み、私の両目の下瞼にグッと両手の親指が少し押し込まれた。


伊良湖「刳り貫いちゃおうかな……」

提督「欲しいのか」

伊良湖「どうなんでしょう? 提督さんが伊良湖をずっと視てくれるって約束してくれるなら、別に……でも、そうじゃないなら……」


眼球と眼窩の隙間に入った親指に力が入り、眼球が少し上に持ち上げられる。


伊良湖「……いい娘で待っているんじゃなかったんですか、金剛さん?」


伊良湖の指の力が緩まったその刹那、金剛の艤装が私の周囲を囲った。

金剛は私の胸板に指を這わせながら埋めた顔の半分を起こし、据えた片目で伊良湖を睨む。

その瞬間、周囲を囲っていた艤装は盾の先端を伊良湖に向け、鋸歯状の先端で削り潰そうと間を詰める。

鋸歯のその動きは、獅子が獲物に喰らいつく姿によく似ていた。


伊良湖「なんですか、この物騒なものは?」


伊良湖は私の眼球から手を離すと、金剛と同様に私に寄り添い、汚い羽虫を撃ち落とすように左手で盾の先端に牛殺しをかます。

カツンッ、と硬質の音が響く。


伊良湖「食材を提供してくれた、ってわけではないみたいですね。こんなに硬いんじゃ、最中種には使えませんし……あっ」


盾を指で叩きながら遊んでいた伊良湖は、何かを閃いたのかその顔を綻ばせる。

爽やかな笑顔を私に向け直し、朝露輝く若草のような瑞々しい唇を開く。


伊良湖「提督さん、最中になりません?」


私は貝になりたい。


伊良湖「ペースト状にした提督さんを伊良湖が食べるんです。提督さんが餡で伊良湖が皮、これがホントの伊良湖最中、なーんて、ふふ♡」


伊良湖が微笑った瞬間、金剛が私を強く掴み、艤装が駆動音を挙げる。潰す気か。

480 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/06/30(木) 22:16:05.17 ID:+So8ACQP0

提督「金剛」


思いとどまらせなければ。


金剛「……She is wicked and sinner against My Lord exceedingly」

提督「金剛、大丈夫だ」

金剛「I must needs keep My Lord from her」

提督「大丈夫だ」


再び金剛に言い聞かせ、今度は髪とともに首を撫でる。

柔らかい髪を優しく撫でる。金剛は部位によって髪の質が異なるが、今私が触れている部位は随分と柔らかい髪質のようだ。癖になる。

艤装の駆動音が止まる。


伊良湖「提督さん? 言いつけも守れないような護衛をつけても迷惑なだけじゃないですかぁ?」

提督「伊良湖」


コンッコンッコンッコンッコンッコンッコンッと苛立つような音を立てながら煽り立てる伊良湖に対し、睨み、語気を強める。


伊良湖「提督さん……怖い目をしています♡」


睨んだ途端、伊良湖は頬を染め、恥ずかしそうに口元を隠す。

まだ巫山戯るつもりか。


伊良湖「駄目ですよ提督さん、そんな怖い目で睨まれたら、伊良湖、あそこが疼いちゃう♡♡」


そう言って前屈みになった伊良湖は上目遣いに熱の籠もった視線を向け、私の体に塗りたくるように乳房を上下に擦り付けると、左手でスカートの中を弄り始めた。この雑草髪女、蹴り飛ばしてやろうか。

伊良湖は人前でなんの躊躇いもなく痴態を晒し始めると、恍惚とした表情で荒い吐息を積み重ねる。


伊良湖「提督さん、怒っています? 怒っていますよね? 悪い娘の伊良湖に怒っているんですよね?」


焦点の合わない瞳で私を見ながら、自分で自分を泥沼に嵌めていくように一人呟いていく。


伊良湖「伊良湖は提督さんに危害を加えようとする悪い娘ですよね♡ 人前で発情するいけない娘ですよね♡♡」


身体をくの字の曲げ、総髪の先端を揺らしながら尻を振り、前掛けを小刻みに揺らしながら股を擦り合わせ続ける。


伊良湖「こんな許せない娘がいたらちゃんと『教育』しなきゃいけませんよね♡♡♡」


熱い吐息を喉から放ち、開いた瞳孔から油混じりの水たまりのような歪んだ色彩が見えた。

その色彩が大きく揺れて、薄黒い緑の瞳が毒沼のように私を囚える。


伊良湖「だから……」


伊良湖は割烹着の前掛けごとスカートを片手でたくし上げ、ぬらぬらと光るひとすじの割れ目を晒す。

乳白色の割れ目は甘い蜜を垂らし、甘酸っぱい臭いを漂わせながら桃色の肌地へ男を連れ込み、裂け目の中にある蜜壺に誘う。


伊良湖「初めて犯した時みたいに、伊良湖をいっぱい躾けてください♡」


嫌なことを思い出させるな、このド阿呆が。嬉しそうな顔をしやがって。

481 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/06/30(木) 22:18:52.95 ID:+So8ACQP0

だがいいだろう、その誘い、乗ってやる。


提督「……伊良湖」

伊良湖「あっ♡」


伊良湖の割れ目に左手の中指と薬指を突っ込むと、既に濡れきった蜜壺はなんの躊躇いもなく私の二本の指を飲み込んだ。淫売め。

伊良湖の肉壷は指を動かすたびにうねり、指の動きに合わせるように愛液で満たされた肉壁が従順に形を変えていく。

陰茎を突っ込んでやれば大人しくなるのだろうが、金剛の手前でそれをするわけにはいかない。


提督「悪いが今はお前に躾けをする気分じゃないんだ」

伊良湖「あっ♡ 提督さん♡」

提督「動くな」


足を閉じようとする伊良湖に『待て』を命じる。

小刻みに痙攣し始めた柔い膣肉を指の腹で抉り続ける。


提督「なにが『躾けてください』だ。一々一々挑発ばかりして、どうしてもう少し大人しく出来ないんだ」

伊良湖「あっ、だめ♡ 提督さ、あぁん♡ 腰、溶け♡ とけちゃうぅ!?♡」


愚痴を言いながら指を思い切り動かすと、伊良湖の下腹部が大きく膨張と収縮を繰り返す。

伊良湖は懇願しながらも足腰が崩れそうになるのをなんとか耐え、私の命じた通りスカートをたくし上げた姿勢を保って、私の指からの蹂躙を受け入れ続ける。


提督「それとも伊良湖、おまえは元々こういう娘だったのか? だとしたらお前は悪い娘だ。本当に悪い娘だ」

伊良湖「ごめっ♡ ごめんな、さぅっ♡ ごめんなしゃいっ♡」

提督「そもそも」

伊良湖「あっ……? 提督さ、あ゛ぁ゛ンっ♡!♡?♡!♡?♡!♡?♡」


指を一度引き抜いて伊良湖が切ない表情を向けた瞬間、指三本を束ねて一気突っ込み、中を激しく掻き回す。

伊良湖の喉から汚い濁声が漏れるとともに、股間から膣液が溢れ出す。


伊良湖「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ ひゅっ!♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」


伊良湖はだらし無く舌を突き出し、快楽に支配された喉から喜悦の声を挙げ続けた。

グチョッ、グチョッ、グチョッ、グチョッ、グチョッとトマトを潰し混ぜるような水っぽい音が食堂内に響き渡る。


提督「躾は……」

伊良湖「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」

提督「おねだりするものじゃない……!」

伊良湖「ひっ!? あ? ぁ♡あ♡あ♡あ♡あ♡ぁ♡あ♡ぁ♡あっ〜!!!♡♡♡」


伊良湖は喉から嬌声を漏らすと、ガクガクッと腰を痙攣させ私の体に擦り付きながら床にへたり込む。

紅潮した頬、潤んだ瞳、呆然として少し空いた口、股間からは愛液を雨だれのようにポタポタと垂らし、恍惚とした表情で虚空を見上げる姿は、とても『躾』を施された者がする姿ではなかった。


提督「……これじゃただのご褒美だな」

482 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/01(金) 00:37:56.36 ID:P1a2RM3AO
来てたか
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/03(日) 14:57:56.97 ID:ZWgM4L7ho
来てたのか
おつ
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/04(月) 00:41:40.88 ID:PRlbuL320

伊良湖「指だけで……イかれさちゃった……♡」

金剛「テートク……ワタシにも……」


伊良湖が床にへたり込み余韻に浸っている間、金剛は艤装を収納し両手で胸板部分の裾をか弱く摘みながら愛撫を懇願してくる。

乳をねだる赤子ような摘み方に対し、蕾のように口を小さく開き、うっすら開いた瞼から潤んだ瞳で上目遣いに私を見つめるさまはどこか妖艶さを感じさせる。

こうなっては仕方ない、金剛も黙らせよう。

金剛の懇願に応えるために、右手で金剛の左の乳房を鷲掴みにする。

手のひらで下乳を軽く持ち上げ、親指と四本の指で乳房を少し押してみる。柔らかい弾力をもった乳房が指を優しく押し返し、胸の豊かさが手のひらにのし掛かる。

服越しではあるものの、こうして触れてみると金剛の双丘の膨らみがよく分かる。愛宕の山のような胸や扶桑や山城の零れそうな乳房ほどではないが、十分に贅沢な膨らみだ。


提督「金剛、お前にも「あら、提督さん」


声がした方向に振り向く。

栗色の髪を赤いリボンでまとめ、芳醇な葡萄酒の如き綺麗な紅を瞳に映し、菩薩の如き慈しみを表情に宿しながら、初めて小動物を見た童のように首を傾げる。


提督「間宮さん、お疲れ様です」

間宮「はい、お疲れ様です」


間宮さんが微笑む。天女様か。

そんな天女の如き間宮さんは床に座り込む伊良湖と私に抱きつき頬を染める金剛に一瞬視線を向ける。


間宮「……お取り込み中でした?」

提督「いえ、そんなこ「テートクゥ♡」


金剛が甘えるような鳴き声で愛撫を催促してくる。

大人しくしてろ金剛、蟷螂みたいな変な髪型しやがって。


間宮「……」


ほら間宮さん黙っちゃったじゃないかもう。


提督「……少し、お時間を頂いても……」

間宮「ええ、してあげてください」


ありがとうございます。すみません。

485 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/04(月) 00:42:22.23 ID:PRlbuL320

提督「金剛」

金剛「てーとく、早く」


乳房から離した右手で、もはや周りが見えていない金剛の顎を少し上に向ける。

私と金剛は互いの頬に互いの手を添える。金剛が目を瞑り、唇を心もち突き出す。

唇を重ねる。

朝露を寒天で固めたような艶のある金剛の唇が私の唇に重なりあり、仄かに熱い体温が唇から私の舌を伝い体内へと呑み込まれていく。

唇を交じり合わせながら、時折顔を少し動かして互いの唇を満遍なく触れ合わせる。

唇を一旦離し━━━━━


提督(!)


唇を離した瞬間、首に回っていた金剛の手で私の後頭部が鷲掴みにされ、力づくで引き寄せられる。

閉じていた金剛の目がうっすらと開く。

━━━━━逃がさない

そう言わんばかりの瞳を私に向け、金剛は唇を押しつける。互いの口の交流は触れ合いを超え、まぐわうように唇が交じり合う。

私の口に入ってきた金剛の舌が体液を吸い尽くさんばかりに口の中で暴れ狂う。

呼吸のために金剛は一旦唇を離すが、繋がりを断ちきるのを拒絶するように私の舌を口から引き摺り出し、離れた唇の間で舌同士が粘膜を擦り合わせる。

私が抵抗しないことに安心したのか三度目の口付けは柔らかくなり、金剛は再び目を瞑る。

しかしまだ物足りないのだろう、今度は唇だけでなく舌同士もまぐわいあう。

金剛が目を瞑っている隙に間宮さんの様子を窺う。


間宮「……」


視線が合った瞬間、憂いを帯びた目を私からそらす。


提督(すみません)


視線を戻す。幸せそうな金剛の表情、混ざり合う舌唇。

金剛が目を開き、唇が今度こそ離れていく。

唾液を啜り終えた金剛は再び私の体に身を預けた。


提督「お待たせいたしました、間宮さん」

間宮「いいえ……仕方のない事ですから」


間宮さんは小さく頭を振った。

486 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/04(月) 01:36:39.30 ID:/B3s06ei0
更新されてて嬉しいすわ
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/07/05(火) 04:53:43.58 ID:oOsfRCBC0
最高だぜ
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/06(水) 08:13:12.78 ID:vbV1+Nbco
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/07(木) 10:20:32.67 ID:nrDn1aqSO
待ってた
待ってる
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/10(日) 23:53:11.13 ID:C6RsyKcH0

間宮さんは視線を戻す。優しい目をしていらっしゃる。

目に慈愛を湛え、配膳口を隔てて見える間宮さんのお姿はまさしく厨房の女神だ。


間宮「ところで、提督さんはお食事……っていうわけではないですね。お昼はいつも遅めに摂られていますし」

提督「はい、昼はまた、秘書艦と相談して決めるつもりです。ここに来ることになった場合、いつも通り遅くなるかと」


そう言った後、私は配膳口に置かれているバスケットに手のひらを向ける。


提督「ここに来たのは、間宮さんにこちらをお返しするためです」

間宮「これは、朝食の……」

提督「はい、ご馳走様でした」

間宮「まあ……わざわざありがとうございます。お口に合いました?」

提督「勿論です。サンドウィッチ、とても美味しかったです。特に新鮮な野菜が……娘達も喜んだんじゃないですか?」


間宮さんは一瞬「んっ?」と首を傾げると、すぐに「あっ」と何かに気づく。可愛い。


間宮「サンドウィッチは提督さんたちだけなんですよ、みなさんの食事とは別にしていて……」

提督「? 別……ですか」


てっきり娘達の朝食もサンドウィッチかと思っていたのだが。


間宮「ええ、不知火ちゃんから『司令は仕事で食堂にいらっしゃれない』と聞いていたので……その後、妙高さんたちがいらっしゃったので『それなら仕事の邪魔にならない食事を』と思いまして」

提督「まさか……態々拵えてくださったのですか?」

間宮「はい、急ごしらえだったので味が心配だったのですが……」


そういって間宮さんはバスケットの中を覗くと、顔を綻ばせる。可愛い。

491 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/10(日) 23:55:16.79 ID:C6RsyKcH0

間宮「ふふっ、全部召し上がって頂けたようで良かったです」

提督「はい……しかし申し訳ありません、朝のお忙しい時間帯に……ご迷惑でしたか?」


まさか間宮さんに手間を掛けさせてしまっていたとは……妙高たちも断るなりして私室での食事に切り替えてくれればよかったのだが。

それにあの食材……鮮度の高いものは娘達に優先していたのだが……無駄遣いとまでは言わないが、もったいないことをした気分だ。


間宮「いえいえ、サンドウィッチのほうは妙高さんたちも手伝ってくださいましたから」

伊良湖「提督さん、伊良湖も手伝いましたよ!」


ありがとう、伊良湖よ。しかし太ももに抱きついて尻に頬ずりするのはやめてくれ。頭頂部に発芽してる髪を引っこ抜くぞ。

そんな伊良湖は放っておいて、先ほどの間宮さんの言葉で気になる点が一つ。


提督「妙高たちも手を出したのですか?」

間宮「はい、ですが私の方で監修はしておきましたので」

提督「そうですか、それでしたら大丈夫です。しかし、本当に申し訳ありません。わざわざ監修までしていただいて……本当なら娘達に朝食をお出ししなければならなかったでしょうに」

間宮「もう……そんなに気を使わないでください。それに今日は伊良子ちゃんだけじゃなく、大鯨ちゃんや鳳翔さんもいましたから」

提督(……鳳翔)


そうだ、鳳翔だ。ここでの用事は済んだのだ。長居しても間宮さんの迷惑なるだけ。早く昨晩の事情を把握して対処しなければ。


間宮「……」


間宮さんは昨晩ここで起こったことを知っているか? いや、この様子ならそれはないだろう。できれば知られたくはない。

鳳翔の居酒屋、などと銘打っているが、実際にはこの食堂を間借りして開業した店だ。店の名が異なるだけでここが間宮さんの庭であることには変わりない。

その庭で狼藉を働いたかもしれないのだ。おまけに伊良湖の時と違い、改造の反動で暴走したわけではない。早く事実関係を━━━━━


間宮「提督さん、少しお話していきませんか?」


囁き。

492 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/07/11(月) 01:07:13.11 ID:j269TqL70
間宮さんは常識枠かな?
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/11(月) 10:36:22.94 ID:lNQ0+U1io
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/12(火) 06:48:33.56 ID:Usmm2yRJo
来てたのか
おつおつ
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/13(水) 07:06:39.03 ID:ZtJPPHZl0
間宮さんは常識枠でいて欲しい…
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/13(水) 07:45:08.78 ID:W9g/HFaNO
でもあのデカイ尻と胸を揺らしながら喘ぐ姿も見てみたいです。
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/13(水) 14:40:39.31 ID:1anBdckR0
間宮も妙高みたいにエロく、そして病んでてほしい(切実)
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/17(日) 01:13:46.66 ID:WN9r4THL0

間宮さんのお誘いを二つ返事で応じ、未だ伽藍堂となる食堂の中、壁際の一席をお借りして向かい合う。


間宮「どうぞ」

提督「ありがとうございます」


四人分のお茶を机に並べ、お盆を邪魔にならない場所に避けると、間宮さんはゆったりと椅子に座った。

間宮さんは湯のみを手に取ると、軽く一口つける。

そして湯のみから口を離すと、穏やかに目を細め、濡れた桃色の唇を緩めて「ふぅ……」と生暖かい吐息を漏らした。


提督(湯のみになりたい……)


お茶の湯気とともに色気めいたアトモスフィアを醸し出す間宮さんだけでも目の保養なのだが、机に乗って少し持ち上げられたマシュマロのような胸は実際豊満であり、割烹着の胸元がはち切れんばかりのたゆんたゆんな二つの北半球で私の心の入渠時間が加速する。

これで左右から抱きついている金剛と伊良湖がいなければ最高なのだが。それと二人共、手の甲を抓るのはやめてくれ。痛い。


提督「それで、間宮さん、お話というのは……」

間宮「鳳翔さん」


一瞬身が強張る。


間宮「あたりですか?」

提督「……よく、わかりましたね」

間宮「提督さん、わかりやすいですから。それに鳳翔さんも朝、少し様子が変でしたから、『もしや』と思いまして」


間宮さんの観察眼には敵わないな。


提督「そうでしたか、お気遣い頂きありがとうございます。ですがご心配なく、これは私と鳳翔の問題ですから」


だが間宮さんを巻き込むつもりは毛頭な「提督さん」

母のように、優しく、諭すような、はっきりとした声。


間宮「『わかりやすい』ですよ、提督さん。それとも、私ではお役に立てませんか?」

提督「……」


仮に、ここで私が狼藉を働いたことを間宮さんに伝えても、きっと間宮さんなら受け入れてくれるだろう。

この人に相談をして悪くなったことなど一度もないのだから。

しかし、巻き込んでいいのものなのか。


間宮「……」


間宮さんは……私達の理解者の一人だ。こんなふうになってしまった私たちに対し、憂いを見せることはあっても嫌悪を露わにしたことは唯の一度もない。


金剛「……」


それどころか事情を知らない娘から私達を庇ってくれさえする。


伊良湖「……」


本当に、私がここに初めて着任してから、ずっとずっとこの人にはお世話になりっぱなしだ。


提督「……」


……話そう。
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/18(月) 02:52:40.75 ID:4tVBSqOH0
オツカレー艦これ1000円カレー
鈴谷ちゃんの出番はありますか???
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 08:57:45.15 ID:DnL3Yex20
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/24(日) 21:28:09.14 ID:1fZbhYMI0


間宮「穿ち過ぎだと思います」


先ほどの鳳翔の態度、そして昨晩の推測を話した後、間宮さんの口から出た一言目がそれだった。


間宮「そもそも、『知らない』娘がいる前で妙高さんたちが許すとは思いませんけど……」

提督「そうなのですが、実は居酒屋で娘達と別れまして……どうもその時に羽黒と二人きりになったようなのです」

間宮「二人きり、というのは?」

提督「酔った私を羽黒が介抱して部屋まで連れて行ってくれたのです。その時に羽黒と……その……どうも『耽っていた』ようで」

間宮「それは……まずいですね」

提督「……はい」


間宮さんの言う通り居酒屋でないとするならば、次に可能性があるのは羽黒と二人きりになった時だ。

羽黒との行為を視られた程度ならばまだいい……いやよくないが……最悪、そのときに鳳翔に手を出した可能性もある。

まず羽黒に話を聞きたいのはそこだ。酒を飲んでからずっと付きっ切りだったのは羽黒だけだからな。

そう考えながらため息を吐いていると、間宮さんは何かに気づいたのか、私の左隣に声をかける。


間宮「昨晩といえば……伊良湖ちゃん、鳳翔さんのお店、手伝っていたのよね?」

伊良湖「ふぇ?」


「提督さんのお塩……」とか呟きながら子猫のように舌先で私の顎の付け根を舐めていた伊良湖が素っ頓狂な声をあげた。

伊良湖よ、厨房が暑かったのかは知らないが私で塩分補給するのは止めなさい。汚いぞ。

あと『羽黒と二人きり』という単語が出て以降、金剛が光さえ吸い込みそうな濁った瞳で零距離から見つめてくるのだが……無視しよう。私に危害がくる分には問題ないのだから


間宮「何か知らない? 鳳翔さんのことなのだけど」

伊良湖「鳳翔さんですか? ……そういえば提督さん、酔ってひどいことしていましたね」


知っているのか。

酔って記憶がなかったので、昨晩誰が居酒屋にいたのかわからなかったが、伊良湖はいたのか。


提督「私は、何をしていた」


一体何をしていたのか尋ねると、伊良湖は目を細め、口角を上げる。

そして私の左手首を掴むと、その手を自分の乳房に押し付けた。

502 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/24(日) 21:28:42.85 ID:1fZbhYMI0

提督「おい」

伊良湖「酔った提督さんはですね、まずこんな風に突然鳳翔さんの胸を揉んだんです」


乳房を平たく押し潰しながら、私の手を操ってパン生地を練るように乳房を捏ね繰り回す。

間宮さんの前で何をさせるんだお前は。力が強いせいで、振りほどけない。


伊良湖「んっ♡ 『着痩せするんだな、鳳翔』って言って何度も何度も揉み扱くと、困惑する鳳翔さんを尻目に今度はこうやって……」


そういって今度は掴んでいる私の手をお尻に当て、撫でるように触らせる。

押し付けられた指が小ぶりな尻に吸い込まれ、桃汁で作ったグミのような弾力が指を押し返す。


伊良湖「アッ♡ お尻を満遍なく、また何度も何度も撫で回すと、ンッ♡ 『安産型か、こりゃ良い子が産めるな』って」

提督「伊良湖」


伊良湖の力が弱まった。

その隙をついて手を離した瞬間、伊良湖に左肩を掴まれ、上体を引き寄せられる。


伊良湖「鳳翔さんが『やめてください』って言って突き放そうとすると、肩を抱き寄せてこうやって……」


伊良湖の顔が近づく。

うっとりと目を細め、小さく突き出した唇が私の唇に……


金剛「NO WAY」


唇が触れ合おうとした瞬間、私の口が金剛の右手に覆われ、体が金剛の方へ引っ張られる。

牙のような紫黒色の眼光が、抹茶色の瞳に突き刺さる。


伊良湖「ハイハイハイハイ、わかってま〜す……チッ」


伊良湖は舌打ちとともに肩から手を離すと、先ほどと同様に私の左手に抱きつき猫のように頬ずりをし始める。

伊良湖が元の状態に戻ったのを見計らい、金剛も私の肩を枕代わりにもたれかかる。


伊良湖「エヘヘ……」

金剛「……ンッ」


二人の矛が収まり、気が落ち着いたところで先ほどの伊良湖の行動を思い出す。


提督(……ただのセクハラオヤジじゃねえか……)


両腕が拘束されていなければ、頭を抱えているところだ。

そうやって自己嫌悪に打ちのめされていると、前の方からクスクスと、空気が漏れるような笑い声が聞こえてきた。

503 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/24(日) 22:39:00.61 ID:QbWETGPAO
胃が痛くなるよな
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/24(日) 23:31:39.01 ID:1fZbhYMI0

提督「間宮さん……?」

間宮「ごめんなさい、そんなつもりはなかったんですが、昔を思い出しちゃって、つい……」

提督「昔……?」

間宮「提督さん、昔から酒癖が悪かったですから、私がお酌をした時も今みたいなことをよくやっていて……ふふっ、変わっていませんね」


間宮さんは嬉しそうに笑っているが、私は背筋が凍る思いだった。


提督「その、まさか、間宮さんにも……?」

間宮「ええ……でももう昔のことですし」


「ふぅ」と間宮さんは一息つく。


間宮「本当に……懐かしいですね」

提督「あの……」

間宮「提督さん」


間宮さんが優しく、強く、眼差しを向ける。


間宮「謝らないでください、謝ったら……怒りますよ? それより今はもっと大事なことがありますよね?」

提督「……はい」


一呼吸をして、昔のことは頭の片隅へ。


間宮「とりあえず、これで鳳翔さんが提督さんを避ける理由がわかったとおもいますけど」

提督「……伊良湖、私は他に変なことはしていなかったな?」

伊良湖「ん? えっと……」


伊良湖は口ごもると金剛と間宮さんに一瞬視線を送る。


伊良湖「はい、さっきのも羽黒さんが未然に止めたので」

提督「そうか」


よくやった、羽黒。


伊良湖「でも提督さん、ひどいですよ。伊良湖がいるのに鳳翔さんに手を出すなんて。スケベティックアドミラルな提督さんなら、伊良湖、いつでもウェルカムスケベなのに……」


何言ってんだこいつ。

というか、ひどいってそっちか。紛らわしい。

505 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/07/24(日) 23:32:20.17 ID:1fZbhYMI0

しかし、あれだな、鳳翔ならそういったセクハラに対しては毅然とした態度で対応するような気がするのだが。

自分がやっといてこう言うのもどうかと思うが、あそこまで怯えるものなのか。


提督(……いや)


これは私が持つ鳳翔の印象が産んだ勝手な妄想だ。

鳳翔からしてみれば、私は提督であり、上司なのだ。

そして今の鳳翔は軍艦ではなく艦娘、相応の力はあるものの、人、いや部下という立場を持ち、そして女の子の心を持つ。

時雨と綾波から、そのことはよく学んでいたはずだ。


提督(印象か……)


当初、私は鳳翔のことを北上や最上と同年代ぐらいの娘だと思っていたのだ。

なんと言ったらいいか……女学校卒業間近の良いところのお嬢様みたいな、そんな印象だった。

育ちの良さを感じる嫋やかな仕草に、知見の広さと教養の深さを感じさせる落ち着いた雰囲気、小柄な見た目からは想像できない意志の強さ。

大和撫子かくありき。その一言に尽きた。

後々、赤城や加賀より年上、ということを聞いて驚愕したものの、すぐに『そうか』と納得したものだ。

印象というのはそれだけ脆いものだ。参考程度に留め、左右されてはいけない。

とりあえず、原因はわかった。念のため、後ほど羽黒から話を聞くとして、まずは鳳翔に謝罪をしなければ。

まずは何かお詫びの品でも用意して……


提督(……鳳翔の好きな物ってなんだ?)


おかしい、店の一件でそれなりに会話をしていたはずなのに、そういった記憶が全く無い。

もしかして私は、鳳翔と事務的な会話しかしてなかったのだろうか。

ということは、私が思い描いていた私と鳳翔の人間関係は、私自身の思い込みということに……


提督(恥ずかしさで死にそうだ)


いや、落ち着け、負けるな私。このまま何もしなければずっと負の関係だぞ。


提督「あの、間宮さん、ご相談なのですが」

間宮「はい、なんでもどうぞ、提督さん」


やっぱ間宮さんは天女様だな。

506 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/25(月) 01:18:53.10 ID:1Dv2GRgZo
きてたのか
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/07/25(月) 03:13:11.42 ID:vvshMD4d0
提督が酒癖悪いだけとは
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/25(月) 18:12:38.62 ID:ig+4/wd40
ホントにそれだけだったのかな?
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 14:04:10.33 ID:aTD56GR40

間宮さんに鳳翔へ謝罪する意向を伝え、謝罪の時機やお詫びの品について尋ねた。

謝罪の時機や注意について一通り話が終わり、粗品についての話になったところで、間宮さんから一言。


間宮「それなら、大鯨ちゃんに聞いてみてはどうですか?」


意外。いや、確かにあいつは寮監だし、厨房の手伝いを鳳翔と一緒にしているから、そういったことを知っていてもおかしくないが。

しかしまあ、あいつが鳳翔とねぇ。

そう私が腑に落ちない顔をしていると、それに気づいたのか間宮さんが続けて話をし始める。


間宮「ほら、以前大鯨ちゃんの改装計画が話になったじゃないですか」

提督「空母でしたっけ?」

間宮「はい、あれ、結局お流れになりましたけど、やっぱり興味があったみたいで、鳳翔さんにいろいろ聞いていたみたいですよ」

提督「空母時代のき……記憶なら、改装せずともあるはずですが……」

間宮「軍艦と艦娘では勝手が違いますから、そのあたりが気になったみたいですよ。発艦の仕方とか艦載機の子たちとか」

提督「なるほど」


そういう話をしていく内に親しくなってお互いを色々と知るようになった、といったあたりか。


提督「それでしたら、大鯨に後で聞いてみます」

間宮「はい。でもごめんなさい、知っていればお伝え出来たのですけど」

提督「いえ、お時間を頂いて相談まで受けていただいたのです。謝るのはむしろこちらの方ですよ。本当に、色々とありがとうございます」


間宮さんが微笑む。後光が見えそうだ。

とりあえず、後々しっかり謝罪しに行かねばならないが、鳳翔に関しては方針が決まったな。


間宮「でも良かったです。今朝も大鯨ちゃんが心配していたんですよ? 『提督は鈍感でグズグズしていて面倒くさがりでそそのっかしい上に心配症で早合点するくせして表面上は平気そうな顔をして飄々としているから、絶対なにかやらかして対応が後手に回って修羅場になっている』って」


間宮さん、それは心配しているとは言いません。ただの愚痴と悪口です。


提督「あー……余計なお世話だ、とでも言っておきますよ。むしろ私はあいつのほうが心配ですけどね。今朝もご迷惑をおかけしませんでしたか?」

間宮「いえいえ、迷惑だなんてそんな。むしろ食堂の手伝いまでしてもらっていますから、こちらが感謝したいぐらいですよ」

提督「まあ、それぐらいしか能がないですからね、あいつは」

間宮「もう、そういう言い方は良くないですよ? 確かにちょっと慌てやすいところはありますけど、サポートはとても上手なんですから」

提督「そうですかねぇ……」

間宮「それに最近は『潜水艦の娘達が一瞬でキラキラできる甘味を作る』って張り切っていたんですから、そのうち看板を盗られちゃうかも?」

提督「まさか、甘味で間宮さんに敵う人などいませんよ……しかしそこまで仰るなら、期待はしてもいいかもしれませんね」

間宮「もう、素直じゃないんですから……」


そう言って、反抗期の息子に苦慮する母親のような表情をする間宮さん。可愛い。

それにしても甘味ね、何を作るんだか。くじらのまんじゅうとかか?

ん? 甘味? あっ……

510 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 14:06:15.05 ID:aTD56GR40

提督「あの、間宮さん、ここまで相談してもらって何なのですが、一つお願いが……」

間宮「はい、何でしょう?」

提督「実は、その、新しい甘味を創ってもらいたくてですね」

間宮「? 珍しいですね?」

提督「いや、まあ、その、ちょっと新しい味覚が欲しいかな、と思いまして」

伊良湖「!」

金剛「?」


金剛や伊良湖の前で、不知火のために、と言う訳にもいかないだろう。他の言い訳も思いつかないし。


提督「欲しい食材や必要な経費は工面しますので、お願いできませんか?」

間宮「うーんと……今のところそういったものはあまり考えていなかったので……」


間宮さんが困るのも無理はない。理由が私事だし。下手すりゃ職権濫用だ。


間宮「ちなみに、なにが食べてみたいとかは……?」

提督「あー……」


全然考えてなかった。


伊良湖「あの!」

提督・間宮「ん?」

伊良湖「新しい甘味創り、伊良湖におまかせいただけませんか! ちょうど新作のアイデアがあるので!」


伊良湖が元気いっぱいにおっぱいを押し付けながら、甘味創りを要望してきた。

確かに甘味であるなら、間宮さんに拘る必要はないか。

なんとなく間宮さんに目配せする。


間宮「構いませんよ」

提督「……伊良湖、頼めるか」

伊良湖「はい! 期待していてください!」


腕いっぱいにおっぱいに包まれる。


提督「さて、私はそろそろ戻ります。ちょっと長居し過ぎたようですから」

間宮「いえいえ、またいつでもいらっしゃってください」

伊良湖「……もういっちゃうんですか? イクなら伊良湖のナカに……」


やかましい。

511 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/01(月) 14:07:11.26 ID:aTD56GR40

間宮「ああそうだ、提督さん」

提督「はい?」


椅子から立ち上がり、食堂を出ようとする私と金剛を間宮さんが呼び止める。


間宮「今朝、妙高さんと一緒に、海岸に向かって歩いていましたよね?」

提督「……」

間宮「あまり心配を掛けないであげてくださいね? そのことを陽炎ちゃんに伝えたら、慌てて飛んでいったんですから」

提督「……」

間宮「みんな、本当に提督さんのことを大切にしているんですよ」

提督「……ええ、陽炎も、心配してくれましたよ」


紫水晶ではなく、金色間近の狐色に瞳でしたけどね。

一体どんなふうに陽炎に伝えたのだろうか。

512 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/08/01(月) 14:15:55.86 ID:aTD56GR40
・本日 ここまで

・鈴谷の出番は まだ秘密

・みなさんの考察が 面白い

・やっと 半日 時間が 掛かり過ぎた orz

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/01(月) 18:13:31.61 ID:SJCcKDYFo
おつ
楽しみにしてるで
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/01(月) 19:16:52.92 ID:DlYfQkvUO
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/01(月) 20:11:34.27 ID:ccL3K9WAO
これで半日なら出会い編は5スレ目ぐらいになりそうだなww
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 00:29:52.19 ID:w6W2eE4/o
内容が濃すぎて俺も忘れてたがまだ1日の半分なんだよなぁ…
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 03:31:57.04 ID:DCqIZ80B0
鈴谷が出るまで全裸で待ってる
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/02(火) 22:02:48.86 ID:xSLvaZJS0

金剛「てぇとくぅ」


執務室に戻る途中、資料庫の前を通り過ぎようとしたところで、金剛から甘ったるい声で呼び止められた。


金剛「Let’s take a break、せっかく二人きりデース、だから、ネ?」


そういうと金剛は腕を引っ張り、資料庫に引きこもうとする。


提督「さすがに、この時間ではっ!?」


やんわりと断ろうとした瞬間、肉食昆虫の爪に引っかかったように袖が強く引っ張られる。

顔を向けると、眼孔を見開き、鮫のように口を開いて笑う金剛が見えた。


金剛「こっち視てヨ、テートク。榛名ともLoveしたんだから、いいでショ? それに」


左手で蟲のように爪を立てながら、右手が節足動物のように私の左手へと這っていく。

そして私の左手を捕まえると、口の前に引き寄せ、生暖かく濡れた舌で指を一舐めした。


金剛「汚いこの手、綺麗にしないと駄目デス」


そう言って、先程まで伊良湖が触れていた手に唾液を塗りつけ始めた。


金剛「綺麗にしないと駄目デス、綺麗にしマス、綺麗に……キレイ、に……」


指を舐めたことで何かが切れたのか、瞳から理性が失われていく。


金剛「テートクを、綺麗にする。テートクを、清らかに。テートクを、浄める。ワタシが、テートクを、ワタシの、テートクを、テートク、テートク、テートク、テートク……」

「提督、こちらにいらしたのですね」

519 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/03(水) 00:05:08.45 ID:/LJGRQY50

金剛の意識が一瞬逸れたのを逃さず左手を戻し、背後からの声に振り向く。

振り向いた瞬間、袖を掴む金剛の手の力が強くなった気がした。


提督「神通か」

神通「はい、ただいま帰投いたしました」


紙垂に赤い百合を重ねたようなスカートを揺らしながら、神通は私と金剛に真っ直ぐ歩み寄ってくる。

左手の濡れた部分を隠しながら、近づいてきた神通と正対する。

……遠目からは分からなかったが、よくよく見るとリボンや服に煤汚れがついているのが見える。

他にも、海の、死骸のにおいに混じって汗やアンモニア、油に鉄、焦げたにおい、それにこれは……深海の連中のにおいか?


提督「ご苦労。摩耶に、あー、補佐に報告を終えたところか?」

神通「いえ、報告はまだしておりません。そのために提督を探しておりました」


私を? ……ああ、金剛か。

戦闘に関しては金剛が取りまとめをしているからな。補佐に報告した内容も、最終的には金剛に伝わることになる。

急を要する内容ということか。


提督「金剛、仕事だ、受けてやれ」

神通「いえ、提督に、ご報告に参りました」


金剛に呼びかけて振り向こうとした瞬間、その思惑を神通が改める。


提督「……私に?」

神通「はい」

提督「……」


またかよ。


提督「……神通、以前も言ったとは思うが、もう私への報告義務はないのだぞ」

神通「存じています」


迷いなく応える。嫌味か。


提督「なら、無駄なことをせずに報告を終え、さっさと休息すべきだ。わかっていてなぜそういうことをする?」

神通「提督だからです。提督は全てに優先すべきことです」

提督「私はもう」

神通「提督です」


言葉を切り捨てる。


神通「どのようなカタチであっても、私にとって提督は唯一の提督です。他の誰でもありません、提督だけです」


何一つ濁りのない、いや、濁りすぎたがゆえに何一つ受け入れなくなった漆黒の瞳が、貫くように私を見つめる。

……これさえなければ、隠居して提督を任せてもいいぐらい優秀な娘なのだが。

……金剛が、私を支えるように、背中に寄り添ったのを感じた。


提督「……手短に報告しろ。詳細は報告書で、補佐に提出しておけ」

神通「はい」
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/08/03(水) 02:22:37.59 ID:bZl35idf0
素晴らしいぜ
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/03(水) 07:33:29.90 ID:wPMDd5EPo
おつ〜
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/06(土) 21:09:35.21 ID:W1l5q7Gj0

神通「それではご報告いたします」

提督「神通、近くないか」

神通「近くありません」


簡単に抱きしめられる距離を近くないとは言わない。

しかし、こうしてみると神通の整った顔立ちがよく見えるな。美しいというよりは凛々しいという言葉が似合う顔だ。

煤汚れは目立つものの、服に傷一つ無いところは流石といったところか。

とはいえ、ちょっと臭うな。


金剛「神通、近いデス」

神通「近くありません。これぐらいが適正です」


金剛の横からの口出しに、神通は飽くまで言い張る。

確かに川内や那珂に比べれば少々小声な神通だが、だからといって胸が当たりそうな距離まで近づくのはおかしいと思う。


金剛「Hmm…やっぱり、近いネ」

神通「いいえ、近くありません」

金剛「近いヨ」

神通「近くありません」

金剛「近い」

神通「近くないです」

金剛「離れろ」

神通「嫌です」


金剛は目を細め、牙を見せるように笑い掛け。

神通は仏頂面のまま金剛を歯牙にも掛けない。

空気が振動を止め、音と温度が冷えていく。


提督「喧嘩をするなら他でやれ」


怒りを表現できる言葉遣いで、苛立ちを感じられる言葉を金剛と神通に投げかける。

私の言葉に対し、神通は目線を金剛から私へと移す。

対し金剛は私の右腕に抱きつき、笑顔を一つ咲かせる。


金剛「Nooo、テートク、喧嘩なんかしてまセーン。こんなに近いとぶつかっちゃうかも、って注意しただけネー」

神通「ご安心を、無理が祟るようなことはしませんので」


金剛と神通の目線が再び交錯する。


提督「つべこべ言わずに早く始めてくれ」


その言葉で、金剛は更に私に身体を密着させ、自慢気に抱擁を神通に見せつける。

その姿を一瞥し、神通は目線を私に戻す。


神通「失礼いたしました。それではご報告いたします」

提督「ああ」

523 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 00:00:55.30 ID:kyUkCUyO0

神通「物資の輸送は滞り無く完了、前線から得られた資源も保管済みです」

提督「そうか……被害はあったか?」

神通「朧、綾波が中破、神通、曙、漣は被弾なし。被弾した二名は現在入渠中、曙、漣が付き添っています」

提督「二人の様子は?」

神通「からかわれる程度には元気です」

提督「そうか、しかし綾波が被弾か……」

神通「一度目の爆撃で朧が、二度目を綾波が庇いました」


なるほど、綾波らしい。


神通「敵は全て殲滅、海の底に沈めておきました」

提督「素晴らしい、ゴミどもが海に散乱している姿は虫唾が走るからな。ゴミはゴミ溜めに戻しておくのが定石だ。
よくやった神通、お前はやはり素敵な艦だ。誇らしく思うよ」

神通「はい……」


神通が初心な乙女のように、嬉しそうに頬を染める。

それを視てか、金剛の表情が悔しそうに少し歪む。


提督「よろしい、経過や得られた資源など、詳細は報告書に記載して後日提出してくれ。見事な戦果だぞ、神通」

神通「お褒めに預かり、光栄です……」


何が恥ずかしいのか、神通はスカートを隠すように両手を組み、むず痒そうに身体を揺らしながら、頬を染めて俯いてしまった。

どこか傷でも疼いたのだろうか。


金剛「でもテートクぅ、この程度の任務で僚艦を二隻も中破させたのは問題有ると思いマース」


神通の動きが停止する。


提督「その辺りの反省は後日すればいいさ。任務を達成し、敵を殲滅し、僚艦を全て帰還させた。それ以上のことはない」

金剛「ムゥ……」

提督「なにより神通、その辺りについてはある程度考えはあるのだろう?」

神通「はい、しかし金剛さんの言うとおり、至らぬ点が多々有ったのは事実です」

提督「それがわかっていれば十分だ。とはいえ、気になることがあれば今でも構わん。多少は力になれるかもしれんからな」

神通「それでは提督、一つだけ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

提督「構わん」













神通「今朝、陽炎さんを『自分のモノだ』と言ったそうですね?」








神通の瞳が、青く輝いた。
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 12:11:22.41 ID:BY8M0vme0

提督「誰から聞いた、そんなこと」


陽炎から聞いたのであれば『からかわれただけだ』と言えばいい。

噂で聞いたのであれば『私より噂を信用するのか』と言えばいい。


神通「姉さんからです」


……なるほど、理解したよ神通。


提督(あのバカめ)


空母にでも改装してやろうか。


神通「何故ですか、提督」


神通が一歩前に進み、身体が密着する。

この状態の神通は、まずい。


神通「なぜ陽炎さんを、陽炎なんかを、なぜ私以外の娘を『モノ』などと仰ったのですか」

提督「神通……」

神通「提督」


神通の両手に胸板が掴まれる。


神通「私の行動に何か至らぬ点がありましたか。
先日、敵を全て沈められなかったことですか。
以前の演習で完全勝利を出来なかったことですか。
開発でお望みの装備を造ることが出来なかったことですか。
御側役の時にお出しした食事が合いませんでしたか。
それとも、夜伽にご満足頂けなかったことですか。

私自身をお気に召しませんでしたか。
口調が気に入ら泣けば直します。
髪型が気に入らなければ今すぐ切り落とします。
顔が気に入らなければ今すぐ剥ぎ取ります。
体型が気に入りませんでしたか。
ならば足りないところは付け足します。不要なところは削ります。
提督のお望み通りの『モノ』になります。

お願いです提督。私を、私だけを使ってください。私だけが提督の『モノ』です。
汚れを拭くための雑巾としてお使いください。
食事を食べるための箸としてお使いください。
腰を掛けるための椅子としてお使いください。
怨敵を殺すための兵器としてお使いください。
排泄をするための便器としてお使いください。
鬱憤解消のための玩具としてお使いください。
情欲を放つための奴隷としてお使いください。
どのような『モノ』にでもなります。
だから━━━━━」

神通「私をお使いください。私は提督の『モノ』です。私だけが……」


迫る神通、そこに━━━━━











金剛「じ〜〜〜〜〜んつぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」



獣が一匹、唸り声を挙げた。
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 20:08:16.92 ID:xVm55yKr0

金剛「それ以上は許さないヨォ、ジィンツゥゥゥ」


金剛はそう言うと神通の肩を掴み、その動きを止める。


神通「離してください。私は、提督に、お伺いしているのです!」

金剛「No、No、今の神通は普通じゃないネ。これ以上近づくのは危険と判断しマース」


金剛は神通を私から引き剥がそうとする。


金剛「そもそも、ワタシたちはみ〜んなテートクのモノでショ?」


氷に罅が入るように、神通の動きが止まった。


金剛「今更誰がテートクのモノであるかどうかなんて……Nonsenseネ」

神通「ふざけるなぁっ!」

金剛「Oh!」


神通は自分の肩を掴んでいた金剛の腕を掴み返すと、重心を金剛の後ろに移動させ、背後へと投げ飛ばした。


神通「私 は 提 督 の モ ノ で す っ!!」


金剛は空中で身を翻すと、片膝立ちの姿勢で着地。


神通「私が、私だけが、提督のモノなんですっ!! 他の誰でもない私だけがっ!!!」


神通は艤装を展開、右肘の射出機より水上機を発艦。同時に左腕で私を突き放す。

私は情けなく床に尻を着く。

金剛も遅れて艤装を展開、眼前に迫った水上機に対し、盾を構成。神通が逆手で魚雷を引き抜く。

直ぐ様、立ち上がる。

水上機が盾を避け、上昇。同時に金剛がクラウチングスタートの要領で神通に突進。神通は苦無のように魚雷を構える。

神通の後ろへ。

神通を盾で轢き潰そうとする金剛、金剛に魚雷を叩きつけようとする神通。二人が接触するその直前。


提督「神通、そこまでだ」

神通「ぴゃあっ!?」

金剛「What!?」


神通を後ろから目隠しし、耳の後ろに息を吹きかけた。

神通は吃驚して肩が竦み、それを見た金剛は急停止。

しかし無理に急停止をしたせいか、床を抉りながら前のめりに倒れ、車輪のように私と神通の横を転がっていった。大丈夫か。


金剛「Nooo……」

神通「あっ、あれっ」


仰向けに倒れて目を回す金剛に対し、神通はペンギンのようによたよたと手を振る。


神通「あ、あの、提督、あのっ、危ないですっ」


お前のほうが危ない。

526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:19:22.06 ID:xVm55yKr0

提督「神通、艤装を解除しろ」

神通「あっ、で、ですが、金剛さんが」


神通の言葉で私が視線を後ろに移すと、ちょうど金剛が艤装を解除して立ち上がるところだった。


提督「金剛はもう艤装を解除している。あとはお前だけだ」

神通「……はい、了解しました」


神通が艤装を解除したのを見計らい、目隠しをしていた両手を外す。

金剛が私と神通を見張るような位置に立ったところで、神通は私の方に振り向く。

胸の前で両手を組み、とても不安そうな顔をしている。

川内が言うには、この少し自信なさげな表情の神通が本来の姿らしい。未だに信じられないが。

神通が力なく呟く。


神通「私は、提督のモノです……」

金剛「ワタシたちは、の間違いでショ」


神通が鋭く金剛を睨む。


金剛「なにヨ」

提督「金剛」

金剛「なんですカ〜、テートク♡」

提督「確かに私はお前たちの命を預かる者だが、そういう言い方は誤解を招くぞ」

金剛「Oh、Sorry、テートクを困らせるつもりはなかったんデスヨー」


そういって金剛は両手を合わせてお詫びの格好をする。わざとらしい。


提督「そういうわけだ、神通。誤解を招いてすまなかったな」

神通「……なぜ陽炎さんに、『私のモノ』と仰ったのでしょうか……」

提督「あ〜、っと」

神通「やはり私が使えないからですか?」


私が言い淀むと、その態度から何を察したのか、再び神通が縋り付いてきた。

背後にいる金剛が警戒態勢になる。


神通「私が使えなくなったから、陽炎さんを新しいモノにしたのですが?
いつ、どうして、私は使えなくなったのですか?
至らぬ点があったのならばすぐに直します。
だから……

私を、提督のモノでいさせてください」

提督「……」


頼むから話を聞いてくれないか。

というか川内、お前何をどう伝えたんだ。

527 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:20:36.31 ID:xVm55yKr0

神通「あ、提督?」

神通を思い切り抱きしめる。やはりこれしかないな。

しかし……やっぱちょっと臭う。


提督「すまない神通、不安にさせてしまったな」


髪を梳いて、神通を宥める。

背後の空気がピリピリしているけど気にしない。

しばらく撫でた後、一度身体を離す。しかし、両肩に手を置き、いつでも抱きしめられるようにする。


提督「落ち着いたか?」

神通「……はい」

提督「陽炎に言った言葉だが、なんというか、あれはな」

神通「はい……」


神通は、心の準備はできた、と言わんばかりに神妙な面持ちになり、私の言葉を待つ。


提督「プレイの一環だ」

神通「……」

金剛「えっ」


神通は神妙な面持ちのまま、金剛は拍子抜けな表情になる。


神通「プレイ……ですか」

提督「うん」

神通「エッチな、ですか」

提督「うん、まあ」

神通「……」

提督「……」

神通「……なぜそんなことに?」

提督「……さあ」


勢いとしか言いようがない。

528 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:24:59.49 ID:xVm55yKr0

神通「ちなみに、どんな流れで、何を……」


興味津々だなお前。


提督「詳細は言えんが、いろいろあって陽炎を慰めることになってな。膝オナをさせながら言葉攻めをすることになった」

金剛「I don’t get it」

提督「まあ、その時に『一生私のものにしておかないといけないな』みたいなことを言ってな……」


なんか言っていて恥ずかしくなってきた。なぜこんなことをせねばならんのだ。

神通の目が段々据わり始めているし、早く終わらせよう。


提督「とにかく、勢いで言った言葉で、お前が考えているような意味は決して無い。以上だ」

神通「……私が使えなくなったから、陽炎さんにそのようなことを言ったわけではないのですね?」

提督「もちろんだ」

神通「そうですか……」


神通は思考を整えるように一旦視線をそらす。

暫くの間、沈黙が続く。

神通の視線が戻る。


神通「提督」

提督「ん?」

神通「やはり具体的な状況がわからないので、私を陽炎さんに見立てて再現して頂けませか」


そう言うと神通はゆったりと私を壁際に誘い込む。


神通「膝オナというと、提督の膝に股を擦り付けた、という認識でよろしいでしょうか?」


そう言うと神通は腰をゆっくりと下ろし、私の膝に股間を擦り付ける。


提督「いや、神通、ちょっと待て」

神通「ちなみに陽炎さんの服装はどのようなものでしたか? 必要であれば全て脱ぎますが」

提督「いや、そうじゃなくて」

金剛「神通ゥ、テートクが困惑しているネー」

神通「邪魔しないでください金剛さん。私は今大事なことをしているのです」


大事なところを擦りつけているの間違いじゃないか。


提督「いや、神通、あのな」

神通「なんでしょうか提督。まさか陽炎にできて私に出来ないとでも仰るつもりですか? やはり私は使えない女ですか」

提督「いや、そうじゃなくてな、その」

神通「なんですか、提督、はっきり仰ってください。この神通、覚悟はできています」

提督「神通、お前、ちょっと臭う」

神通「……え」

529 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/07(日) 23:27:32.04 ID:xVm55yKr0

神通「におう、ですか?」


身体と表情の動きを止めた神通は、同じ言葉を言い返す。


提督「ああ、さっきからちょっと言おうと思っていたんだが」


神通は左腕を鼻に近づけて、においを嗅ぐ。


神通「ちなみに、どんなにおいが?」

提督「あ〜、鉄と油と煤と、海と返り血、あとは……汗とアンモニアみたいな」

神通「……」


私の言葉が言い終わると、神通の表情が青褪めた後、すぐに真っ赤に燃え上がる。

そしてゆっくりと私から身体を離すと、踵を返して寮の方向へ。


神通「提督」

提督「おう」

神通「洗ってきます。着替えてきます。それと……」


神通が猛ダッシュで走っていく。


神通「においは忘れてくだしゃい!」


噛んだ。

神通は去っていった。


提督「……なんだったんだ」

金剛「……」

提督「どうした金剛」


金剛が私の首元で鼻をひくつかせる。


金剛「テートク、ちょっと臭うヨ」

提督「……本当だ」


臭いが付いてしまったようだ。


提督「このまま執務室にいくのは……」

金剛「さすがに良くないネ」

提督「……明石のところに行くか」

金剛「Aye, aye, sir」


購買で消臭剤を購入だ。

まったく……

530 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2016/08/07(日) 23:32:06.91 ID:xVm55yKr0
・本日 ここまで

・誤字脱字が…… orz

・いいシチュエーションが なかなか 思いつかない

・良いヤンこれss とか 知りませんかね

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/07(日) 23:54:26.05 ID:WtLW/4Qzo
おつ〜
神通かわいい
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/08(月) 13:00:19.38 ID:MkCBpGxv0
乙 更新が早くて嬉しい、この鎮守府にどんな艦娘が所属し鎮守府内の勢力が気になるな
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/10(水) 15:23:40.87 ID:HxCyxv4d0
>>523 この提督に「〜ゴミどもが海に散乱している姿は虫唾が走るからな。ゴミはゴミ溜めに戻しておくのが定石だ。〜」
のセリフに違和感を覚える。あと陽炎の話が出てきて嬉しい。
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/10(水) 18:10:07.60 ID:laaSQcQ90
現行スレなら
北上「離さない」

扶桑「不等辺三角形」
とかかな
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/19(金) 23:22:40.39 ID:SNIi0+Ox0
いつも楽しませていただいてます
ここは比較的積極的なヤンデレが多くてエキサイティングですね

>>扶桑「不等辺三角形」
提督「翔鶴と榛名が能面みたいな顔をする」
提督「提督辞めようとした結果www」
【艦これ】6人全員ヤンデレ鎮守府【安価】
提督「俺の鎮守府が雰囲気悪くて笑える」
提督「無人島、二人きり」
【艦これ】兵器の書いた日記帳
夕立「提督さん、褒めて褒めてぇーっ!」
提督「島風が組み立てたブロックを壊して遊んでいる」
提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」
提督「駆逐艦怖い」
【艦これ】提督「最近不幸だ……」
【艦これ】提督「最近艦娘達のアプローチが激し過ぎて困っている」
提督「ヤンデレ?」168「……」青葉「……」
提督「え?俺が行方不明になったって噂を流した!?」
提督「憲兵さん! どうして俺のことを見捨てたんですか!?」
鈴谷「おはよう、提督」
吹雪青葉古鷹「「「……邪魔」」」提督「っ!?」
提督「俺の愛する艦娘達」
提督「好感度が見えるメガネ?」
提督「怜悧盲目」
島風「提督ぅー!」
提督「艦娘がみんなヤンデレですが、僕は元気です」
島風「島風からは、逃げられないって!」
 作者様のコテハンをググるとさらに見つかります
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/28(日) 02:24:00.24 ID:zuX+vgW30

購買到着。


提督(北上か?)


入り口から見て左奥にある店台、そこに普段着ている白百合色の制服にベージュのエプロンを掛けて、こちらに背を向けて北上が椅子に座っている。

店内に入り近くに寄ると、何かを呟いているのが聞こえる。


提督(何をして……)

北上「北上さーん、見てくださいこの魚雷、固くて、太くて、逞しくて、す・て・き」

北上「お〜、さすが大井っち、いいね〜これは、この黒く輝く弾頭が……わびさびよね〜」

北上「北上さんとこれさえあれば、どんな敵でもギッタギタですよねー」

北上「も〜、大井っちたらー、それはあたしのセリフだよ〜」

北上「あーん、ちょっと拗ねてる北上さんも、可愛い♡」

北上「大井っち〜」

北上「北上さぁーん」

提督「……何をやっているんだ」

北上「おっ、提督じゃん」


店頭の丸椅子に座っていた北上は呟きを止め、くりくりとした丸い瞳をこちらに向けた。

それと同時に背中に隠れていた両手の物が姿を表す。手袋人形だ。

視線に気づいたのか、北上は顔を私に向けると頬に両手の人形を添えた。


北上「どう? よくできてるでしょ〜」


そう言うと、人形たちが嬉しそうにはしゃぎ回る。

それぞれの人形を眺めてみると、自慢するだけあって確かによく出来ている。

右手の人形は、黒いおさげと三つ編みをしており、白百合色の制服を着ている。北上を模したのだろう、よく似ている。

左手の人形は魚雷を模した小物を持ち、赤茶色の長髪に右手の人形と同じ制服を着ている。こっちは妹の方か。


提督「そっくりだな、魚雷は九三式か?」

北上「にひ〜♪ わかる〜? フォルムにこだわったんだよ〜」

提督「そうか」


北上はたんぽぽような笑顔を見せると、歌うように両手の人形の口を動かした。


北上「んふふ〜♪ んっ? そういや提督は何しに来たの?」


両手の人形と一緒に、リスのように三つの首が傾いた。


提督「日用品をちょっとな……明石は医務室か?」

北上「明石ならさっきドックに行ったよ。被弾した娘が出たんだって、朧と綾波だったかな?」

提督「ああ、それか」

北上「知ってるの?」

提督「さっき報告があってな。二人共元気らしいが」

北上「ふ〜ん、なら大丈夫か」


そう言うと、北上は人形を外して置くと、両手で頬杖をつく。

537 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/28(日) 02:24:44.89 ID:zuX+vgW30

北上「それで提督は何をお求めかな〜、北上様が探してしんぜよう」

提督「消臭剤をな。良い物はないか?」

北上「ん〜、靴用のものなら確かあったとおもうけど」


店台から出てくると、ベージュのエプロンを揺らしながら、店内の陳列棚へと向かう。


北上「おっ! あったあった、提督、こっちこっち」


北上の呼びかけに応じて棚へと向かうと、大小様々な商品が目に入る。


提督「結構有るな」

北上「ま〜ね〜、靴用に衣類用、中には手袋用ってのもあるね〜」

提督「そうか」


しばらくそこの商品を眺めてみる。

大方は噴霧するものがほとんどだが、中には塗布するものもあるようだ。


金剛「テートク、これがいいヨ」


隣にいた金剛がその中の商品の一つを指差す。

手にとって成分や大きさ、値段を確認する。悪くないな。


提督「これにするか」

北上「ほいほい、まいど〜」


店台に戻る北上の後を追い、陳列棚の横を過ぎていく。

ふと、あることを思い出す。

陳列棚の一画、衛生用品がある場所で足を止め、そこのある商品を確認する。


金剛「Are you gonna buy that?」

北上「んっ? それも買うの?」

提督「……ここの商品、最近種類が増えたのか?」


衛生用品の一画、歯ブラシがある場所に指をさす。

そこには少なくとも三種類以上の歯ブラシが並べられていた。


北上「前々からそんな感じだよ。新商品が来たら入れ替えたりはするけど」

提督「そうか」

北上「青いやつがよく売れるんだよね〜、たしか提督もこれでしょ?」

提督「ああ」


確かに真ん中の青い歯ブラシは私が使っているものだ。この商品だけ他よりも明らかに減りが早い。

しばらく眺めた後、踵を返して店台に向かう。


提督「少し気になっただけだ、すまないな」

北上「はいはい、それじゃやっちゃいましょうかね」

538 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/08/28(日) 02:26:34.78 ID:zuX+vgW30

ピッ、という電子音とともに金銭登録機に商品の値段が表示される。


提督「これで頼む」

北上「ちょーどじゃじゃぁーす」

提督「ところで……どうだ? もうここには慣れたか?」


商品を受け取った後、最近の様子を聞いてみる。

北上は店台の奥にある椅子を引き寄せて座ると、金銭登録機の横に置いた人形を指で転がしながら答える。


北上「ま〜ね〜、明石も良くしてくれるし。こうやって裏方に回んないとわかんないこともたくさんあるからさ〜、なかなか新鮮だよ〜」

提督「そうか」

北上「ただ大井っちがいないのがね〜。ねえ提督や、大井っちはまだかい?」


そんな「ごはんはまだかい?」みたいな言い方をされても。

北上は右手で頬杖を突きながら、左手で妹を模した人形の腹を指でなぞり、流し目で訴えるようにこちらを見つめて来る。


提督「こちらとしても軽巡は欲しい……が、黎明期と違って今は邂逅率が低いからな。心当たりのある場所に行くことはあるらしいが……」

北上「ん〜……だったら建造は〜? それでも会え━━━」


━━━━━ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ

ナニカが詰まりに詰まった詰め物が曲げて曲がって曲がり角から睨むような音が聞こえた。

音の元は金剛の身体。睨んでいるのは金剛の双眸。

黒い感情で黒く見える黒塗りの表情から、四白眼が白くはっきりと空気に描いた言葉を白紙に戻せと突き刺さる。


北上「━━━るんだよね?」


だが北上は物怖じせずに言い切る。どれだけ肝が座っているんだ。


提督「建造は色々手続きがあるから時間が掛かるぞ。ついでに言うとする気もないしやる気もない。諦めろ」


金剛を一瞥した後、察しろと言わんばかりの視線を北上に向ける。


北上「んぁ〜……まあいっかぁ、大井っちも邂逅すればあたしとお揃いになるわけだし」


意志が伝わったのかどうかわからないが、意外にも北上はすんなりと受け入れた。

音が止む。


提督「やはり妹は気になるのか?」

北上「ま〜ね〜、長い付き合いだし、一緒にいるとなんていうか、こう……いいんだよね……」


そう言うと、懐かしむように目を細めた。

指で遊ばれている人形が、母親に甘える赤子のように両手をバタつかせる。


提督「そうか、まあしばらくは我慢してくれ」


北上は楽しそうに微笑むと、目を細めたまま微睡むように首を傾げる。


北上「我慢てほどじゃないかな〜、最近、最上と話してるときは楽しいし」

提督「ほう……」


確かに最上も北上と似て独特の雰囲気があるからな、意外と気が合うのか?
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/28(日) 14:58:56.30 ID:TUB4sfMIO

お揃いってなんか気になる言い回し
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/28(日) 19:25:02.50 ID:rneqlocAO
身体のどの部分からギギギって音すんだろ?歯ぎしりかな?
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/29(月) 02:48:30.50 ID:RjC7EcEjo
来てたのか
おつ
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/13(火) 02:35:31.40 ID:SuSsmKsD0
( 」゚Д゚)」オーイ!
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/17(土) 11:25:48.92 ID:OQUiY4jq0

提督「やはり以前の鎮守府のことが多いか?」

北上「う〜ん、どっちかっていうと、本土のことが多いかな〜。温泉とか観光地に興味あるみたいでさ〜」

提督「詳しいのか?」

北上「実をいうとそんなに、って感じかなぁ、確かにいろんなところには行ったけど、転属しては戦って〜っの繰り返しだったし」

提督「……そうか」

北上「鎮守府、っていうならやっぱ北極戦線の話が多いね〜」

提督「北極戦線? あそこにいたのか?」


人形を弄っていた北上の指が急停止した。


北上「……ん? ん〜? あれっ? それ知ってたからあたしを受け入れたんじゃないの?」

提督「……お前の経歴はほとんど聞かずにいたもんでな。そのせいで思い出すのにも時間がかかってしまったわけなんだが……」

北上「んんん〜? もしかしてなんだけどさ……」


恐る恐る言葉を紡ぎだす。


北上「あたしさ、ここに着任した時に『なんか提督ちょっとそっけないな〜』って思ってたんだけどそれって……」

提督「すまん、忘れてた」

北上「うぁあ、だからかぁ」


北上の指が再び人形をいじり始める。

人形は身体を動かすことなく仰向けに倒れ、寝起きの子供に意地悪するようにその頬を指が執拗に突く。


提督「正直、お前が戻ってくるとは思わなかったからな。制服も変わっていたし、別の北上だとばかりな」

北上「やぁまあ、確かにあたしたちって人間から見るとみんな顔が同じらしいし、でもねぇ」

提督「すまない、悪気はなかったんだが……」


北上は指の動きを一旦止めると、言葉を呑み込むように息を吸い、不満とともに肩を下ろした。

指が再び動く、今度はその額を撫でながら。


北上「う〜ん、まっ、実を言うとあたしもさ、最初は提督のこと別人だと思ってたのよね〜、雰囲気とかすっかり変わっちゃってたし」

提督「そうか?」

北上「そうだよ〜。最初会った時はもっと、こう……う〜んとねぇ……」


うまく言葉に出来ないのか、考えあぐねて首を傾げる。


「あれっ? 提督じゃないですか?」

544 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/18(日) 00:07:12.41 ID:wBaLgbTx0

声のした方を見ると、目を丸くした明石が店の入り口に立っていた。


提督「明石か、綾波と朧の様子はどうだった?」

明石「えっ? あっ、はい、二人共元気でしたよ。素体に傷はほとんどなかったですし、ただ艤装が損傷しているので出てくるのに多少時間は必要ですけど」

提督「そうか」


質問に答えながら、下駄で床を不規則に鳴らして明石は私達の方へと歩いてくる。


北上「お疲れ〜」

明石「お疲れ様です。待たせちゃってすみません。遅くなりましたけど、もう休憩に入ってもらって結構ですよ」

北上「んー、そんじゃ、間宮さんとこにでもいきますかね」


北上はぐ〜っと背伸びをすると、ゆっくりと椅子から立ち上がる。


北上「そんじゃね、提督。それと金剛さんも」

提督「ああ、午後も頼むぞ」

金剛「Take a lunch break」


そうして北上は店の奥へと姿を消した。それを見計らってか、明石が私の傍にまで近づいてくる。

傍にまで寄ってきた明石から、船渠からすぐ戻ってきたためか、薬湯に近いあの独特の匂いが鼻を刺激する。


明石「ところで提督は何を━━━」


そう言いかけた言葉を止めると、突如明石は私に鼻を近づけ、首元、左肩、左腕へと順々に鼻頭を揺らす。

そして左手に鼻を近づけた瞬間、その顔が不快さで一気に染まる。


明石「端女が……」


噛み潰した苦虫を吐き出すように言葉を投げ捨てると、その視線が私の右手にあるものに移る。

私の右手にある消臭剤、それに視線が移った瞬間、明石の顔から表情が消えた。

そして何ら躊躇いもなく、私から消臭剤を奪う。


提督「おい、明石」


制止も聞かず、生産工場で流れ作業をする機械のように、包装を破き、蓋を開け、噴射口を私に向ける。

次の瞬間、空気の抜ける音と共に中の液体が霧となって振りかかった。


提督「明石、やめ」


表情、というものが抜け落ちた明石を止めようにも、霧が喉に入り声がうまく出ない。

店中に撒き散らさせる化学物質に咳き込む私を金剛が庇おうとしたその瞬間。


「何をしているのですか、明石さん」


明石の手が掴まれた。

545 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/18(日) 01:08:53.86 ID:Z8iTpfYTo
お、来てたのか
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/18(日) 12:24:37.67 ID:IzWjVDaF0

提督(神通……)


金剛が袖で私の周りを扇ぐ中、神通は冷たい眼差しで明石を睨む。


明石「消臭ですよ。どっかの阿呆が提督を汚したようですので……それより手ぇ離してくれません? 痛いんですけど」


明石は自分の右手首を掴んでくる神通を一瞥した後、まるで録音された音声を再生するような声音で答えた。


神通「提督は『やめろ』と仰っていました。その耳は飾りですか?」


それに対して神通は廃棄物でも見るかのように━━━否、これから廃棄物にしてやらんと腕に力を込め、冷酷さすら眼前の鉄屑には不要と言わんばかりの無機質な瞳で明石を囚える。


明石「聞こえてましたよ。提督の言葉を聞き漏らすわけないじゃないですか」

神通「そうですか、では耳ではなくその頭、それかこの腕に異常があったということですね」

明石「だから、痛いですって……さっさと離せよ」


自分の手首を掴んでいる神通の右腕を引き離そうと、もう片方の腕で外そうとするが、出来ない。

対する神通は、空いている左腕を天高々と振りかざす。剣道で言う、大上段の構え。


神通「こういう場合の治療法は、悪い部分を切り離すことです」

明石「離せ」


拒絶の言葉とともに、明石の左拳が神通の顔面に直撃する。

しかし、苦痛で顔を歪ませたのは神通ではなかった。

明石の左拳は、神通の顔、ではなくその少し上の額当てに当たり、受け止められていた。

拳から血は出ていないが、表情からして腕に痺れが来ているだろう。

その一瞬の硬直を神通は見逃さない。


神通「切り落としましょう」


宣言とともに、神通の手刀が明石の上腕に向かって振り下ろされて━━━


提督「金剛、止めろ」


私の呼びかけで、金剛が神通の左腕を掴み、明石の上腕に当たる直前でその動きを止めた。

やっとまともに声が出せた。

547 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/19(月) 22:48:57.37 ID:lVJNqI200

明石が私の消臭剤を掴み、その明石の腕を神通が掴み、その神通の腕を金剛が掴む。

滑稽な光景だが、その空気はとても滑稽とは言い難い。

一触即発。均衡が崩れればこの店はすぐに空き店舗となることだろう。世知辛い世の中である。

……とりあえず、まずは状況把握からだ。

まず明石。神通は自分の手に余ると考えたか、抵抗するのを止め、鬱陶しそうな表情を時折神通に向けながら動向を静観している。その際痛そうな顔をしているので、神通から手首への力は緩んでいないようだ。

次に神通。金剛を通して私が制止したためか、手刀を寸前で止めたまま停止している。しかし視線が明石の腕に固定されているところを見ると、切り落とすのは諦めていないらしい。

金剛は言わずもがな。しかし背後に蜃気楼が時折見えるとこからすると、すぐに艤装を展開できるようにしているらしい。

神通と金剛は私が何か言わない限り勝手なことはしないだろう。となればまずは明石からか。


提督「明石」

明石「提督、臭い取れました?」


私が声をかけた瞬間、不快さと痛みに染まっていた表情が一変。口を歪めて嬉しそうに微笑んだ。

一歩明石に近づき、左手を明石の鼻近くに差し出す。


提督「嗅いでみろ」

明石「……んっ」


指を近づけると、明石は匂いを堪能しようと目を瞑り、顔を突き出して鼻を鳴らす。


明石「提督、もう少し、近づけてもらえますか?」


明石の誘導に従い、鼻腔のすぐ下辺りにまで指を近づける。

その瞬間、紅色の唇を裂いて薄桃色の舌が現れ、纏った液体を塗りつけようと指へと伸びた。

寸前で手を引っ込め、明石の粘液に指が濡れるのを防ぐ。


明石「あっ、ていひょくのゆひっ……」


明石は薄っすら瞼を見開くと、舌を突き出し呂律の回らない言葉を発しながら、逃げる私の手を捕まえようと左腕を伸ばす。

その腕を逆に捕まえる。

548 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/19(月) 22:50:07.33 ID:lVJNqI200

提督「駄目だぞ明石」


至極穏やかに、悪戯を諭す先生のような声音で明石に語りかける。


提督「勝手に人のものを取って、勝手に使ったお前に、そういうことはしてあげられない」


右手で明石の腕を抑えながら、滑りつくような肌の中から突起する喉仏を左手の中指と薬指でなぞり、その上にある下顎を手のひらに乗せて、親指と四本の指で両頬を挟み込む。

吸い付くような頬の弾力は指の腹を優しく押し返し、既に上気し朱に染まっていた肌から生暖かい湿り気が指の先をじっとりと濡らしてくる。

唇から漏れる熱い吐息が空に虚しく放たれると、若草色の瞳が懇願するように潤む。


明石「あっ♡ そんな……」


白い制服を中から押し返して隆起する膨らみが揺れると、膝丈まである地下足袋と短い行灯袴の間にある生色の太ももをこすり、力なくもぞもぞと身体を捩らせた明石は、再び吐息を漏らす。


明石「でも、提督が消臭剤を買ったのは、こびり付いた雌豚の臭いは取るためで、それなら……」

提督「明石」


未だに、明石はなぜこんな状況になっているのか理解できていないらしい。

それならば、と明石の下顎骨を潰すように握り、牙を見せるように歪ませた唇を見せ、喉から、怒りを装った言葉を吐き出す。


提督「私は、苦しかった。“苦 し か っ た”ぞ、明石」

明石「あ」


明石の喉から声が漏れて雷撃にでも打たれたかのように身体が硬直すると、見開いた瞳孔が一瞬で縮み上がり、その眼球が凍えるように痙攣し始める。

触れている肌の温度が一気に下がり、短い呼吸が口から何度も漏れる。


明石「ごっ、ごめっ、ごめん、なさいっ。私、ただ、提督のお役に、立ち、たくて、ヤクッヤクッヤクッヤクニッ、ヤクニタチ、タクテッ、テッテッテッテッテッ」


雨の中捨てられ寒さに打ち震える子犬のように、救いの手を引き寄せ自らの置かれた境遇に抗おうと必死に吠える。

549 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/19(月) 22:50:42.18 ID:lVJNqI200

明石「キッ、キレイにすれば、提督に、喜んでいたッ、いただけると、思って、邪な、気持ちは、なくて」


害意は無かったと必死に釈明する。桃色の柔らかな香りを漂わせる可愛い娘の囀り。

ほんの少し怒りを露わにしただけでこの反応だ。良心が咎める。被害者なのに。


提督「本当に、やましい気持ちは無かったんだな?」

明石「ホントッ、デす……」

提督「ならいい」


そう態度を軟化させると、あからさまに安堵の表情を見せる。ここまで来るともはや哀れだ。同情を禁じ得ない。


提督「……ただ、ああいう勝手なことをされるはさすがになぁ」


そう言って少し釘を差すと、明石は事切れたかのように俯き、口から小さな雑音を漏らす。

そうやってブツブツと蠢いていた唇が一瞬止まると、何かを宣言するように呟いた。


明石「……せん」

提督「なんだ、聞こえないぞ? 明石」

明石「次から勝手なことはしません。ご迷惑をお掛けしません。もっとお役に立てるようになります」


はっきりと宣言する。


提督「本当に?」

明石「はい」

提督「そうか、それは頼もしい。明石にはいつも世話になっているからな、もっと頼りになるというならば心強い」

明石「はい」


少しずつ声音に生気が宿る。


提督「次こそ、役に立ってくれるな、明石?」

明石「はいっ! お任せくださいっ!」


そう言って見せた明石の顔には満杯の笑顔。

ただし、薄っすら開いた瞼から見える瞳に、輝きは一切なかった。

550 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/19(月) 23:12:43.43 ID:0CXS5ckAO
あれ?1日ってこんなに長かったっけ?
濃いな…
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/20(火) 00:20:32.21 ID:2/XYe79m0

明石は一先ず叩き直した。次は未だにその明石の腕を握り続ける神通だ。


提督「神通」

神通「はい、提督」

提督「お前、いつまでそうしているつもりだ?」

神通「はい、ご指示があればいつでも「誰がそんなことをやれといった」


神通の言葉に多少の苛立ちを含めて言葉を被せると、突如水を掛けられたかのようにその澄ました顔に一瞬動揺が走る。

もう少し穏便な手を打ってくれれば、ここまで苦労することもなかったんだよ、神通。


神通「あの」

提督「手を離せ……金剛も、もう良いぞ」

金剛「Yes」

神通「……はい」


神通の手から離れた明石の手首を見ると、白磁色にほんのり赤味を与えた健康的な肌に、予想通り痛々しい痣ができてしまっていた。

その痣を見た瞬間、自分の頬の筋肉が一瞬引き攣る。

つい、治るわけでもないのに、その痣に手を当て撫でてしまった。


明石「大丈夫ですよ、提督。この程度の傷、どうとでもなります」

提督「そうか」


ほんのり頬を染め、私の手を受け入れた明石は、不安を取り除くように穏やかな態度を見せる。

明石の痣から手を離し、神通に振り向く。

目が合った瞬間、神通は困惑した表情を見せると、逃れるように視線を下へと逸らした。

自分を抱きしめるように腕を組む神通の眼前に立つ。

何かに耐えるように固く口を結ぶ神通の表情に対し、身体は時折小刻みに震えていた。

身を清めてきたばかりなのだろう、ほんのり濡れた髪やうなじ、肌蹴た肩から見える艶めいた生肌から甘い匂いが鼻を擽る。


提督「自動で動く『モノ』というのは便利ではあるが、所有者の意志に沿わないというのは問題だな」

神通「申し訳ありません。危害を加える者は排除しなければならないと考えて━━━」

提督「たかだか消臭剤一つのどこが危害だ。過剰に反応するのも程々にしろ」


死ぬわけではないのだ。ああいった状況は様子を見て事後対応すればいい。そういう意味では金剛の対応のほうが正しかったといえる。

そう考えながら眼前の娘に目を向けると、神通は金槌にでも打たれたかのように硬直し、目を見開いて固まってしまった。

先ほどの言葉は、遠回しに『使えないモノだ』と言ったようなものなので、やはり衝撃を受けているようだ。

直接言ったわけではないので、なんとか理性は保っているようだが。


提督「まあ、今回は流石に明石のほうに問題があったとは思うから、お前の対応も間違ってはいない」

神通「……はい」


さすがに気落ちしてしまったか。

表面上気丈に保ってはいるが、内罰的な神通をこれ以上責めると自傷行為に走りかねない。

結果論だが、私も消臭剤如きでむせるなど軟弱な対応をしなければ、神通がこういった行動には出なかったとも言える。


提督「とりあえず、私に関してはこれ以上言うことはない。あとはどうするかお前たちが決めろ」

552 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/20(火) 00:39:32.38 ID:2/XYe79m0

私がそう言うと、その意味にまず気づいた神通が明石に対し深々と頭を下げた。


神通「明石さん、先ほどは申し訳ありませんでした。どうお詫びしたらよいか……」


神通の行動に対し、明石は驚いた表情を見せると、胸の前で両手を左右に振り、問題ないことを伝える。


明石「いえいえいえっ! この程度大した傷じゃないですって! それより私の方こそ思いきり殴っちゃいましたけど、大丈夫でした……?」

神通「問題ありません。訓練ではこの程度、傷のうちにも入りませんから」

明石「それはそれで……なんだかなぁ」


明石が苦笑いしながら頬を掻く。

後方支援が主たる任務とはいえ、前線に立つ者としては複雑な気持ちといったところか。

しかしその態度を見た瞬間、神通の目が輝いた。


神通「でしたら今度、明石さん用に訓練メニューを組みましょうか? いざという時のために鍛えて困るということはないですから」

明石「あっ、いえっ、それは、その……ねえ、提督?」


神通の提案に目を泳がせると、視線の合った私に助けを求めてくる。

私に振るな。


提督「明石はやることが多いからな、そこに穴ができると流石に困るな」

明石「まあ、そういうことですんで」

神通「そうですか……」


なぜ落ち込んでいるんだ、神通。

553 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/26(月) 23:09:14.61 ID:F0mvjgrc0
やべー、チョーおもしれー。

殺伐としながらも提督の思考にちょくちょく出てくるユーモアなツッコミでププッ、ってなるw
554 :sage :2016/09/26(月) 23:10:26.81 ID:F0mvjgrc0
しまった!
sage忘れすいません。
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 23:17:13.42 ID:F0mvjgrc0
なんどもすいません。
名前欄とメール欄まちがえました。
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/27(火) 22:02:15.27 ID:BrfxV6oB0

北上「終わった〜?」


声の方を振り向くと、店の奥からエプロンを外した北上が現れた。


提督「すまん、騒がしかったか?」

北上「ん〜別に〜? なんかやってるな〜、と思ってただけだし。あっ、神通おかえり〜」

神通「はい、ただいま戻りました。北上さん」


北上は軽く、神通は折り目正しく、そうやってお互いに挨拶を交わし終えると、北上は右手に持っていた紙袋を私に見せる。

両手が収納できそうな紙袋が姿を表した途端、金剛の静々とした空気に小さな揺らぎが生じるとともに、明石が不味そうな顔をした。


北上「そうそう提督、なんか奥にさ、提督宛の荷物があったんだけど」

提督「ん? ……ああ、届いたのか」


以前明石に頼んで取り寄せて貰った品物が届いたらしい。北上から紙袋を受け取り、宛名を確認すると確かに私宛になっていた。


北上「あっ、そだ提督、それ袋の底ちょっと破けてるから、持つときは」


北上の忠告に気が逸れた瞬間、袋の底から二つの品物が床に落ち、空箱を叩いたような音が足元から這い上がる。


提督「む」

神通「提督、落ちました、よ……?」

提督「待て、お前たち、それは」

北上「ん〜なになに、別にいいじゃん……?」


足元に落ちたそれを神通と北上が腰を下ろしてそれぞれ拾い上げた瞬間、冷水でも掛けられたかのように二人の動きが止まった。

箱の包装が緩かったのか、二人が拾ったそれらから個々に透明な包装をされた円状ゴム製の品がひょっこりと姿を表す。後で製造業者に苦情入れてやる。

薄い膜のように半透明のその品、大きさは親指と人差し指でつくった輪っか程度、その中心部分には小指ほどの小さな突起が見え、その縁はロール状に巻いてあるのがわかる。

その品の突起部分に棒状の何かの先端を被せ、そのままロール状に巻いてある部分を棒状のなにかに沿って転がしていけば、棒状のナニかを膜のようにピッタリ密着した状態で包み込むことができるだろう。

北上が手に取ったものは『0.01 mm お試しセット』

神通が手に取ったものは『お徳用パック 〜愛しいひとときを気兼ねなく〜』

単刀直入に言おう、コンドームだ。

海軍用コンドーム? ねぇよそんなもん。

557 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/28(水) 00:24:01.96 ID:oWurLjlk0

北上「……あーうん、提督も男の子だもんね」


神通が未だ地蔵の如く固まっているのに対し、北上は立ち上がると頭を掻きながらコンドームの箱を私に手渡し、半ば諦めたかのように溜息を吐いた。


提督「北上」

北上「気にしないって、なんとなくそうなんだろうな〜、とは思ってたし、ああいうのもあるしね」


北上が指した方向、そこには店の一画に設けられた雑誌売り場。


提督「ああいうの……?」

北上「手前の雑誌、本土では有名らしいよ?」


北上が指し示した手前三つの雑誌『ゼXY』『たまこ倶楽部』『ひな倶楽部』

それらを見た途端、私の本能が警告を発した。これはまずい、と。


北上「まっ、とりあえずさ、がんばんなよ。あたしは昼食摂らなきゃだし、それじゃね」

提督「待て、北上」


呼び止めも聞かず、北上は私の肩を軽く叩くと鮮やか且つ滑らかな動きで店を抜け、数分とせずに店内から姿を消した。

跡には息苦しいほどの沈黙と未だ固まったままの娘たち。


提督(……逃げやがった)


流石は激戦を潜り抜けてきた猛者だ、回避能力は今もなお第一線級ということか。

しかし何故それを今この瞬間に発揮したのだ……

既に人影のない店外から店内に視線を移すと、北上がいなくなったことでそれぞれの娘達の纏う空気が少しずつ変質していく。


金剛「……」


金剛の沈黙はさらに強烈に、燻る火種の如く。


明石「……」


明石は不味そうな顔つきを乾いた笑顔と笑っていない目で上書きする。

そして。


神通「て い と く」


背景を凍りつかせながら、神通が幽鬼のようにゆらりと立ち上がり、沈黙を破る。

どうするんだこの状況。

558 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 01:37:19.01 ID:Kv4QWaCA0
血痕カッコカリ?
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 02:27:15.21 ID:0Kb+bCw7o
おつ〜
やってしまいましたなぁ
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 06:51:13.64 ID:q3w5rfpUO
袋の底破れてるとか中身プスプスされたんじゃないのか
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/28(水) 18:29:03.12 ID:A5257cS30

神通「これは、なんでしょうか」


神通は右手でボックスティシューサイズの業務用コンドームの箱を持ちながら、左手で四枚綴りになったコンドームを垂らして詰め寄ってくる。

神通の手から垂れたコンドームは薄桃色に着色されており、桜の花びらを包んだかのようでなんとなく可愛らしいと思った。


提督「見ての通り、としか言いようがないな」

金剛「テートクは、ワタシたちともう生でしてくれないですカ?」

提督「生でしたい」

金剛「はうっ♡」


金剛が真顔で迫りながら投げかけた言葉に即答で返すと、心臓を矢で撃ち抜かれたかのように仰け反った。


神通「でしたら、何故こんなものを……」

提督「感染予防のためだ。お前たちは免疫系が私達と異なるからな」


艦娘は確かに強力で頑丈だが、だからといって病気に掛からないわけではない。疲労も溜まるし風邪も引く。

今まで何度も身体を重ねておきながら今更かと思うが、予防するに越したことはない。

熊野や鈴谷のように、病気で辛い目には遭って欲しくないのだから。


神通「提督からの感染症なら、喜んで受け入れますのに……」

金剛「テートクは Girl’s Mind がわかってないネー」

明石「まったくですよ。あれだけ忠告したのに全然話を聞いてくれないんですよ、この朴念仁」


三者三様、落胆と失望と呆れと含んだ言葉を口にする。なんでこんなボロクソ言われてんの私。

こういったエチケットというのはお前たちのほうが気にするもんじゃないのか。


提督「いや、お前らな、病気になったら大変だぞ」

明石「今まであれだけガッツリハメといて今更感染症もナニもないでしょう。そもそも人間からの接触感染で私たちに深刻なダメージを与える病気なんて無いんですから、心配するだけ無駄ですって」

金剛「ただのジョークグッズねー」

明石「中出しセックスじゃないと満足できない身体になっているのに、そんなものを着けられたらみんなキレますよ?」

提督「キレるって……そこまで怒るこ━━━━━」


━━━━━ブチンッ


562 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/09/28(水) 18:29:57.64 ID:A5257cS30

━━━━━ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……ブチンッ……


提督「神通……何をしているんだ……」


突然鳴り響いた小さな風船が破れるような音に、私達の視線が一斉に集まる。

そこでは神通が、ただ黙々とコンドームを破り千切っていた。


神通「これは、私と提督を隔てるもの……」


掴み、千切り、落ちる、掴み、千切り、落ちる、掴み、千切り、落ちる、掴み、千切り、落ちる、掴み、千切り、落ちる、掴み、千切り、落ちる。

それを繰り返すごとに小さな破裂音が響き、床に透明な包装紙と無残に引き裂かれた薄桃色の破片が積み重なる。


提督「神通、止めないか」


神通の手を掴み、コンドームを破るのを止める。

今はゴムの消費が伸びているから、意外といい値段したんだぞそれ。


神通「いりません」


神通は手を止めて顔を上げると、眉間に皺が寄った鋭い表情を浮かべ、迷いなき真っ直ぐな漆黒の瞳を向ける。


神通「提督にこのようなものは不要です」

提督「いや、私よりもお前たちのために必要なものであってだな……」

神通「こんな『モノ』よりも、私のほうがずっと使えます」

提督「んっ?」


私が一瞬の思考停止に陥ると、神通が手に持ったコンドームに対し、嫉妬の光を帯びた目つきを向けて睨んだ。

そして嫉妬で焼け焦げた瞳で再び私を見上げると、朱色の服を炎のように揺らめかせながら進言する。


神通「性行為感染を防止するなら、この神通をお使いください」

提督「使うって……」


そう私が思わず呟くと、神通は自分の胸をドンと叩く。

鋭く強い瞳、整った顔立ち、凛とした佇まい、そして身に纏う朱色が今、神通の燃えるような気概を示した。


神通「私が、提督のコンドームになります!」


神通、頭でも打ったか?

563 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 19:03:12.07 ID:NGjiMlfxO
おつ
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 20:01:48.88 ID:TdiBVxMEO
ちんこに神通を装着して神通の頭でスカルファックするってこと?
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/28(水) 23:28:46.79 ID:mp6M4E9Q0
>>564
まあ、そうなるな
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 00:20:49.80 ID:Ue9Wa1zdo
おークレイジー
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 00:39:32.08 ID:3YkkVFqAo
羽黒
榛名
神通

真面目な人ほどプッツンしたらヤバいな!
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 03:05:52.49 ID:SIBoCv3oo
おつ
艦娘を避妊具にするとな!?
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 23:10:13.34 ID:TpQu1rd10
神通のあの髪型は亀頭に見えなくもない...?
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/09/30(金) 18:02:54.28 ID:LMBqTvrC0

神通の最後の台詞を見て「何言ってんだこいつ」と素で呟いてしまったww
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/10/02(日) 22:00:46.53 ID:n/XbjHJA0

珍言を吐いた後、神通は唇を真一文字に結び、真っ直ぐこちらを見つめてくる。

その眼差しはまさしく真剣そのもので、先ほどの言葉に嘘偽りが無いことをはっきりと示していた。なんて厄介な。

冗談だったらいくらでもはぐらかせるのに、そんな目をされたら下手のことを言えないではないか。


明石「なるほど、その手がありましたか……」

金剛「I felt like the scales fall from my eyes」


なんか二人ほど感嘆の声を上げている阿呆がいるが、気にしてはいけない。

とりあえず、これ以上状況が悪化する前になんとか神通を宥め、この場を収めなければ。

しかしどう言うべきか……肯定しても否定しても面倒なことにしかならない気がする。


神通「提督は……もしかして私がこれよりも劣っているとお考えなのですか……?」


どうこの場を収めようか迷いあぐねていると、神通が重い口調で唇を開いた。


提督「いや、別にそんなことは」

神通「私はこんなものには負けません!」


神通は一枚のコンドームを包装紙から取り出し、自身と比較するように私に見せつける。


神通「これは使い捨てですが、私でしたら洗えば何度でも使えます! 経済的です!」

金剛「Reasonable ですネー」


りーずなぶる、じゃないよ、むしろ病気になったら負担大だよ。何の解決にもなってないよ。


神通「それに私でしたらこれと違って挿入するだけで装着できます! 常に濡れていますからローションだっていりません! 使いやすさだってずっと上です!」

明石「いつでも即ハメOKってことですね」


神通に挿入した状態で他の娘としろと? 使いにくいどころの話じゃないぞ。あと明石はちょっと黙ろうか。


神通「こんな薄くて軟弱なものよりも私のほうが肉厚で耐久性があります! 多少乱暴に扱ったって簡単には駄目になりません! 避妊性だって抜群です!」


お前がママになったら元も子もないぞ。それとコンドームを破くな。


神通「なによりこんなブヨブヨゆるゆるなものよりも、私のほうがピッタリと提督のものを包み込んであげられます! 咥えこんだら放しません!」

金剛「締め付けならワタシも負けないヨ」


お前は何と戦っているんだ。そして金剛は小声でさらりと何を言っているんだ。


神通「そ、それに万一お相手がいないときに催してしまっても、わ、私を装着していただければ、手慰みも捗るかと……」


それはもうセックスなのでは?

572 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/03(月) 03:19:53.08 ID:FM5Q6FW7o
避妊具とは一体…
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/05(水) 00:46:01.31 ID:RfhE1A7b0
…ギャグパートかな??
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2016/10/17(月) 19:41:39.63 ID:jiS9ShcL0

神通「いかかでしょうか」


神通はコンドームにはない自分の優位性を一気にまくし立て、荒い息遣いで私に問いかけた。

色々と本末転倒だが、だからといってそれを指摘するのは逆効果だろう。かといって同意するわけにもいかない。


明石「まあまあ、落ち着いてください、神通さん」


さらに混迷を極めるこの状況で、明石が動いた。嫌な予感しかしない。

私と神通の間に割って入り、悪どい薄笑いを浮かべながら神通を宥め始める。


明石「神通さんもそうでしょうけど、提督はまだコンドームを使ったことがないんです。コンドーム童貞なんですよ」

神通「童貞……提督の、貞操……」


神通、喉を鳴らすな。明石が言っているのは飽くまで使ったことが無いって意味合いだからな? というかなんでそんな言い方をした。


明石「そんな状態でどっちか選べなんて言われたら、困惑するのも当然ですって」

神通「でしたら、どうすれば……」

明石「簡単なことです、使ってみれば良いんですよ」


迷う神通に対し、明石が一筋の光明を見せる。

揉め事をとりなす町奉行のように、それはもういい笑顔で。


明石「神通さんとコンドーム、どっちのほうが良いか。提督に着け比べてもらえばいかかですか?」

神通「明石さん、あなたという方は……」

明石「神通さん」


あれだけ自分の優位性を公言したのにも関わらず、それが理解されていなかったことに腹を立てたのか、神通は明石をきつく睨むと手を振りかぶり、そして━━━━━

━━━━━ガシィッ!!!

と二人の手が互いを称え合うように強くに握られた。なにこれ。


神通「その提案、乗りました。共に戦いましょう」

明石「ええ!」


何と?


金剛「美しい友情ネー、テートク?」

神通「さあ提督、参りましょう」


状況がうまく飲み込めない中、金剛と神通が私の両腕をガッチリと掴む。


明石「ささ、医務室が空いていますからそちらへ……とりあえず今日は店仕舞いですね」

金剛「Let’s SEX!」


そしてそのままズリズリと店の外へと引きずられる。


提督「おい、ちょっと待てお前ら、私は執務室に戻らないと、おい……」


なんとか引き留めようと話しかけるが駄目でした。うん、わかっていた……

575 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/21(金) 20:53:59.68 ID:6P6lcKqlO
目から鱗じゃねぇよ何言ってんだこいつら…。
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/23(日) 03:30:59.47 ID:/ov+8RUv0
あまり戻るのが遅くなるとあたごんあたりが怖いな…
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage ]:2016/10/25(火) 03:43:11.82 ID:HpfZnpcrO
エロ、シリアス、ホラー、ギャグまであるってすごい小並感
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 13:01:27.79 ID:2bxy7noto
全ジャンル網羅する勢い
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/10/25(火) 14:30:12.62 ID:AEIdtpRV0
冷静に考えるとコンドームにさえ嫉妬するとか今までの比じゃない位ヤバいぞ精神状態
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/11/08(火) 18:08:05.80 ID:H2ZCIaLh0

第二医務室。艦娘が入渠では修理不可能な症状を患った場合、その艦娘を診察するための部屋。

部屋は奥に長く、入り口からまず右側に椅子と机、診察用の簡易ベッドが見え、そこから奥に四つ、U字型にカーテンで仕切られたベッドが置いてある。

基本的な構造は第一医務室も同じであり、さほどの違いはない。ただ、艦娘に使用する薬品、機器は少々特殊なため、誤使用を避けるため第一、第二と分けてある。

元々艦娘用の医務室のため、見舞い以外でここに来ることは余りない。せいぜい看護師衣装の明石とまぐわう時くらいか。

ここに初めてきたのは……なんかしょうもない怪我をして絆創膏を探していたときだったか? 当時は何も教えて貰えなかったから、艦娘用と知らずに入ったんだったな。

そのときだったか、漣と曙に初めて会ったのは。


神通「提督、すぐですからね」


左隣からの声に意識を向けると、荒い息遣いの神通が口角を歪めて嬉しそうに微笑んだ。

興奮を隠さぬ神通と金剛に腕を掴まれて部屋の一番奥へと引きずられていき、淡黄色のカーテンを抜けた先にある白いベッドに転がされると、清潔なシーツが頬を撫でた。

シーツから体を離して上体を起こすと、金剛が逃さないと言わんばかりに再び右腕を掴み、子猫のように肩に頬ずりをしてきた。

甘えてくる金剛を受け入れながら左前方に目をやると、ちょうど神通がリボンと額当てを外しているのが見える。

右手で耳元の髪を掻き上げるのと同時に、左手に掴んでいたリボンと額当てを無造作に床に落とした。

━━━━━カランッ、と額当てが床を鳴らす。


提督「執務室に戻りたいんだが……」

明石「いい加減諦めたほうがいいですよ、提督」


愚痴るように呟いた瞬間、明石がカーテンの内側に入り、淡黄色の帳を閉めて外界と私達を遮る。

シュルッ、という衣擦れの音。

その音に目を向けると、帯を外した神通が袖なし半纏を脱ぎ、さらしに隠された胸部を私の前にさらけ出した。

半纏を脱いだ神通は背中に手を回してさらしを緩める。

緩めたさらしが自重で垂れると、白い帯の隙間から中紅梅色の突起が露わになり、さらしが少しずつ解かれるごとに帯に隠されていた乳房が姿を現す。

成長した、しかしまだ熟れきっていない乳房は、さらしという抑えをなくした後、月見団子のような緩い丸を描いてその柔らかさを強調し、神通の肢体に丸い輪郭を浮き立たせる。

さらしが床に落とされた後、神通はスカートの留め具に手をかける。縞模様のスカートは二度三度ひらめくと恥部を隠す白黒の幕はその役割をあっけなく放棄し、その下にある最後の守り手を……


提督(……なぜ履いていないのだ)


スカートを下ろした先にあったのは秘部を守る肌着ではなく、ピッタリと閉じた一対の花弁。黒ずみ一つ無いその乳白色の蕾は象牙でできた彫刻を想起させた。


神通「提督」


神通は全てを脱いで産まれたままの姿になると、嬉しそうに微笑んで床に膝を着け、期待の眼差しを向けて私の股の間に身体を滑り込ませた。

581 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/08(火) 18:57:29.89 ID:d8NgKy+5O
エロい
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/08(火) 20:40:26.57 ID:bjg/KgdV0
待ってた
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 07:27:39.34 ID:Rrya3MPDO
こんな風にサッサと脱ぎ捨てられちゃったらエロさの欠片も感じられねーわ。
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 09:40:59.59 ID:uMOpYX7QO
この鎮守府でエロさなんて今更だよ
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 16:25:46.85 ID:QN5Sx0OlO
>>574

ウ...フゥ....(´ Д` )


金剛が早く意気消沈してヤンデレにならへんかなぁ(´ Д`* )
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/12/17(土) 07:07:39.47 ID:d3uhaRLAO
残念、終わっちゃったか
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/24(土) 21:42:44.74 ID:sHZsy7Sb0

提督「……好きにしろ」

嘆息を吐いた瞬間、神通の微笑みが蛇のように歪むと、私の陰茎を求めてズボンのファスナーを剥がしていく。

しかし剥ぎ取った布の中から私の陰茎を見つけた途端、誕生日に貰った贈り物の包み紙を破く童のように輝いていた神通の表情が一瞬にして消えた。

神通の目線の先には天に向かって逆立つこともなく、ミミズの死体のように下腹部に垂れ下がる私の陰茎があるのみ。

神通「……」

神通はしばらく私の陰茎を見つめた後、唇を半開きにして亀頭を咥え、啜りながら私の陰茎を口内に呑み込んでいった。

陰茎が生暖かさに包まれた瞬間、熱い粘液を身に纏った舌が陰茎のカリに這いずり回る。

喉を動かしながら、番の蛇が全身を使って傷薬を塗るように、神通の舌が何度も纏った粘液を塗りつける。

提督「すまないな」

献身的に奉仕をしてくれる神通に対し、準備の整わない下腹部に申し訳無さを感じ、ついお詫びの言葉が口から出る。

そして張りのある黒髪を感謝するように撫でていると、神通は何を感じたのか、目尻を下げると喉の奥まで陰茎を一気に呑み込み、喉奥で陰茎を激しくしごく。

喉奥のざらざらに擦られながら、卑猥な水音を立てて陰茎全体に吸い付く神通の口淫に対し、強烈な刺激を受けた下腹部は根本に溜まっていた熱を先端まで押し上げていく。

その熱が先端まで充足した瞬間、ニュポッ、という音とともに全体を包んでいたぬかるみが突如離れ、冷えた空気が亀頭を煩わしく撫でる。

神通「準備、出来ましたね……♡」

陰茎から唇を離した神通は唾液の橋を啜りながらそう一言呟くと、勃起した陰茎の先端、鈴口を舌先で何度も何度も小さく、子鹿が親鹿の傷を舐めるような、優しく、丁寧に舐める。

明石「お待たせしました」

神通から視線を外して顔を上げると、そこには衣服を脱ぎ捨て肢体を晒す明石と金剛。

二人はベッドに乗り蹲ると、顔を私の陰茎へと近づけ、とろけるような舌を突き出して絡みつかせる。

金剛「ンッ、おっきいヨ……♡」

吸い付き、絡みつき、纏わり、濡れる。

そんな明石と金剛の様子を見てか、神通も再び亀頭を咥え込み、二人に負けじと口内で扱く。

裸体から甘い香りが漂わせて餌を貪る豚のように三人の娘が陰茎に群がる様に、夢か現か分からぬような高揚感と陶酔感が脳内を支配していく。

起立した下腹部が舐め取られるたびに震え、脈動した陰茎の奥から沸騰した白いマグマが少しずつ登り詰めていくのがわかる。

だが、こっちだって安いが自尊心ぐらいある。ここまで好きにされて素直に果てるのは癪だ。

下腹部に力を込め、舐め取られるたびに陰茎を震わせながら三人の猛攻に耐える。

明石「んっ♡ もう……変なところで強情なんですから」

陰茎から唇を離した明石が頬を紅潮させながらジト目で睨んでくると、金剛も同様に唇を離してじれったいと言わんばかりに横目で眉をひそめる。

神通「ん、はぁ……♡ それでは提督、どれからお使いになりますか?」

588 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2016/12/24(土) 21:46:52.15 ID:sHZsy7Sb0
・本日はここまで

・体調不良が続いているため 更新が遅れています 大変申し訳ありません

・次の更新もかなり遅れると思います

・感想 要望 改善等 あれば どうぞ
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 21:53:02.07 ID:9bMuXzjW0
めっちゃ待ってた、乙
要望とかは特に無いけど良いのを待ってます、頑張って
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 21:55:38.56 ID:KcjCxCEro

この纒わり付く様なエロスがええな
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 16:19:32.11 ID:Uum02YV50
乙。それじゃあ要望書いていい?。個人的には野外プレイを見てみたい(*´д`*)。首輪つけて犬プレイみたいな(*´д`*)。寒い季節だから体調崩しやすいから気おつけてね。楽しみに待ってるよ
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 17:57:28.67 ID:UCiCOBDoO
おつ
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 19:48:39.22 ID:onCNET+VO
>>591
キチガイかよ
しかも「を」すら使いこなせないアホだし
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 21:07:41.07 ID:ZhaqVnM5o
>>593
ヒント:冬休み
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 21:36:16.35 ID:hL9G3xJWO
構うなアホ
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 12:51:22.60 ID:AM+HdEL10
乙です
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/01/13(金) 22:02:35.94 ID:fcdAomir0
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/01/29(日) 11:01:49.05 ID:VPBEihV30
待ってる
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:02:18.71 ID:+6h7c4ac0

提督「使う?」

神通「はい」

神通の言葉を合図にして、明石と金剛がベッドの上に放り投げられていた『それ』を手に取る。

明石と金剛が手に取った『それ』を顔の前に掲げると、摘まれた薄い膜型の『それ』がゴム特有の光沢を放った。

明石「これと」

『0.01 mm お試しセット』

金剛「これと」

『お徳用パック 〜愛しいひとときを気兼ねなく〜』

神通「私」

胸に手を当て、自らを指し示す神通。

神通「どれからお使いになりますか?」

提督(……そういうことか)

選ぶ順番を間違えると大変なことになりそうだ。

そんな危機感を抱きながら三人の顔を見回すと、娘達の顔には玩具を咥えておねだりをする犬のように興奮と期待の輝きが宿っていた。

残念ながら、選ばない、という選択肢は三人の表情から察するにありえないらしい。どうするか……

甘い息を吐く娘達にそそり勃つ自分の息子が誰でもいいからさっさと挿入しろと疼いた。

……順当に選ぶならば金剛からだな、秘書艦なわけだし。

提督「こ……」

先程まで興奮に彩られていた神通の眼から生気が一瞬で消え失せた。

提督「……今回は神通からでいいか?」

神通の表情に再び輝きが戻るのと同時に、金剛が頬を膨らませて不貞腐れる。

悪いな、金剛。

600 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/02/12(日) 21:03:07.80 ID:+6h7c4ac0

「提督の手を煩わせるわけにはいかない」という神通の気遣いによりベッドに仰向けに寝かされると、神通は私の腰の上に膝立ちで跨り逆だった陰茎の真上にその割れ目を据え置いた。

神通「私が提督の初めてのコンドームになるのですね……♡」

陰部に両手を添えて襖を奥ゆかしく開けるように秘部の割れ目を開帳させると、テラテラと輝く桃色の花弁が姿を表した。膣液で既に濡れていた神通の秘部は私の鈴口に一旦口づけをするとそのまま陰茎を呑み込んでいく。

提督(熱い……)

神通の火照った身体は加賀ほどではないものの、その膣内は沸騰してしまうような熱さだ。

明石「どうです提督、神通さんの生コンドームの味は?」

隣に横たわった明石が、楽しそうに笑う。

生コンドームも何も、ただの性行為だろこれは。

反対側に横たわった金剛が拗ねた表情で腕を絡めてちょっかいを出すようにちょいちょいと引っ張ってくる。まだ挿入したばかりだからもうちょっと待ちなさい。

神通「少々お待ち下さい、もう少しで……んっ♡」

根本まで挿入した後、軽く腰を揺すっていた神通が小さく喘いだ瞬間、膣奥から降りてきた子宮が陰茎の先端に吸い付いた。

膣口で根本を、膣壁で竿を、子宮口で精子の射出口を覆われ、神通の膣が私の一物に装着された。

「ハァ……♡」と神通の喉から熱い吐息が漏れる。

神通「提督、装着完了しました。金剛さんと明石さんんっ♡ どちらから挿入しますか……?」

神通はへそより少し下、ちょうど私の一物が挿入されている辺りを嬉しそうに両手でさすると、柔らかな微笑みを堪えた。

まさか本当にこの状態でしろと?

左右に寝そべる二人と顔を見合わせると、それぞれ「いやいや、無理でしょ」「お断り」といった表情で小さく首を振った。そりゃそうだ。

視線を戻すと、神通は膣で陰茎を包んだ状態でピクピクと身体を震わせ、上気した顔で私に微笑みを向ける。

神通の膣内が時折震えて、私の一物を波打つように締め上げてくる。

頬に掛かる明石と金剛の吐息、金剛の張りのある胸の弾力、明石の赤子のような柔らかい肌の感触、私にまたがる神通の熱い体温、娘達から漂う雌の匂い。

頭が回らない。

601 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/02/13(月) 00:17:23.85 ID:l4GQlu91o
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/07(火) 23:59:21.21 ID:DVPAnq7K0
続き待っとるで!
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/06(木) 23:30:53.51 ID:9sLTcDaV0
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/04/10(月) 20:43:52.75 ID:D6bpDM/W0

神通「あっ♡」

ぼんやりとした頭でぼーっとしていると、突如神通が喘いだ。

両手に丸くて柔らかいものが触れている。気づかないうちに神通の臀部を掴んで陰茎を膣内に押し付けていたらしい。本能か。

神通「んっ♡ つけ心地が良くなかったでしょうか……?」

神通は再び填る位置を探して腰を揺らし、私のものを膣内で小刻みにこする。少しもどかしい。

神通の膣内は熱くて心地よい、S字状にうねって締め付けも悪くない。だか刺激が足りない。

神通の臀部を鷲掴み、腰を浮かす。

神通「ていとく……?」

膣内を擦られる刺激で、ハァハァと息を荒げていた神通を、

神通「くっ、ぅっ!? 〜〜〜♡♡♡」

下から思い切り打ちつけた。乳房が大きく揺らしながら、神通の肢体が跳ねる。

神通が身体をぶるぶると震わせるのもお構いなしに肉をえぐるように自分のものを打ち続ける。

神通「提督っ♡ このままですとっ♡ なかにっ♡ 出ちゃいっ♡ ますっ♡」

提督「モノがしゃべるな」

ハッと気づいた神通は両手で口を塞ぎ、ただただされるがままに打ちつけられ続ける。

がに股になった神通の割れ目を押し広げて、何度も何度も打ちつける。

金剛「すごい音……」

明石「グチョグチョいっていますね……」

生殖器から届いた刺激がよりいっそう股間のものを固くしていく。そろそろ限界だ。

神通の腰を強く掴んで引き下ろす。それと同時に自分の腰を思い切り打ち上げる。

お互いのものをが勢い良くぶつかり合い、私の突起物の先端が神通の膣奥に届いたその瞬間。

神通「!?〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡〜♡」

破裂でもしたかのような快感が股間から神通の膣内へと飛んでいった。

605 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/04/10(月) 20:44:26.29 ID:D6bpDM/W0

精を神通の膣内に吐き出しを終え、溜息を吐く。

提督「神通、もう口は塞がなくていいぞ」

未だ律儀に口を塞ぎ続けている神通に声をかける。

神通「ていひょく、いかかでひたか」

手をどかした神通の第一声、呂律が回っていなかった。

それと済ました顔をしているが、涙と鼻水、涎で汚れた顔では締まらないぞ。いや、下の締まりはよかったか。

提督「悪くはないが、コンドームには適さないな」

神通「……どこがよくなかったのでしょうか?」

涙目になるなよ、そもそも大きさからして無理だろ。

神通は腰を上げて陰茎を引き抜くと、秘部を右手の人差し指と中指で広げ、垂れてきた精液を左手で受け止める。

落ちてきた精液は神通の手皿に注がれ、あふれる一歩手前で止まる。

神通「こんなにたくさん注いで頂いたのに……」

左手にこんもりと注がれた精液をじっと見つめながら小さく呟く。

左手を顔に近づけ、何度か鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ。

神通「ん」

そしてそのまま左手に乗った精液を啜り始めた。汚いぞ。

うどんでも啜るかのような音と共に精液を口に含むと、口の中でダマになった精液を舌で転がし、喉を鳴らして飲み込む。

精液を味わい終えた後、神通はぼんやりとしたまま二度三度呼吸をすると、意を決したように口を開く。

神通「お願いです、提督。もう一度挽回の機会を下さい、今度こそ」

金剛「独り占めはダメだヨ」

神通が陰茎を掴もうとするのを割って入った金剛が横から掻っ攫う。もう少し優しく掴んでくれ。

金剛は左手で陰茎をしごきながら、右指で摘んだ薄桃色の包装物をピラピラと揺らす。

金剛「次はコレの番、でショ?」

606 : ◆uJCLOkjjwcmE [sage saga]:2017/04/10(月) 20:55:32.38 ID:D6bpDM/W0
大変申し訳ありません。体調不良と精神不調が続き、ssの更新がかなり厳しい状況です。

そのため、このssの更新を中断いたします。

長い間お付き合い頂き、本当にありがとうございました。

もし今後続きを書く場合、渋の方にリメイクしたものを上げることになるかと思います。

このスレはHTML化いたします。

本当に申し訳ありませんでした。
607 : ◆uJCLOkjjwcmE [sage saga]:2017/04/10(月) 20:57:56.43 ID:D6bpDM/W0
保守やコメントをくださった方、いままで本当にありがとうございました。

もし別のところで復活できたら、そのときはまた読んでいただけたら幸いです。
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/10(月) 21:06:33.10 ID:8fQ8VTkFO
おつかれ
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/10(月) 23:16:54.16 ID:AJAlINnn0


このssめっちゃ好きだぞ
今はゆっくり休んでくれ
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/11(火) 01:52:11.11 ID:fYISaIILo

渋は酉でさがせばいいのかね
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/11(火) 05:23:40.23 ID:aM4hqvJ6o

陰ながら応援している
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/11(火) 06:10:16.94 ID:SvkwrhnA0
>>605の10分後に何があったんだよ…
とりま乙カレー
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/11(火) 10:14:52.40 ID:gLj9BLBb0
初期から読んで一番楽しみにしてました
ゆっくり休んで下さい長い間お疲れ様でした
また書いてくれること楽しみにしてます
また書くならタイトルは同じですか?
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