1: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/02(日) 23:55:15.81 ID:qA3OGqr40
モカちゃんの誕生日ということで、明日から学校ですがssを書いていこうと思います。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[sage]
2018/09/03(月) 00:06:20.20 ID:7Dv/34OY0
見てるぞ
3: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:07:37.53 ID:eARP+2sV0
日曜日の夕方。街中は喧騒に包まれ、人や車がそれぞれの速度で、スタジオで練習を終え、帰路についていた蘭とモカの隣をすれ違っていく。
蘭「・・・モカ、危ない」
隣にいる蘭がすれ違う人と接触しそうになるモカの袖を引っ張って自分の方に引き寄せる。
4: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:08:40.44 ID:eARP+2sV0
休みの日の朝ほど心地よい時間はない。
モカは半開きの目を擦りながら目覚まし時計を確認する。
9時49分・・・よし、あと6時間は眠れる。二度寝サイコーー・・・
モカの母「モカ!いつまで寝てんの早く起きなさい!」
5: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:11:08.91 ID:eARP+2sV0
近くのスーパーまでは歩いて10分ほどの距離である。朝ということもあり、人通りは少ない。スーパーに行くまでに声をかけられたのは世話好きのおばさんの田中さんのみだった。睡魔がまだまとわりついているため、「あらモカちゃんおはよう」に対して「ん〜・・・」しか返せなかったが。
スーパーで食パンやバターロールを買い、来た道を戻っていく。
本当にここら辺は人通りが少ないなぁ。周りには誰も・・・
???「そこの女の子、ちょっと良いかな?」
6: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:12:21.57 ID:eARP+2sV0
モカ「っ・・・?」
いきなり電信柱の影からニット帽にサングラス、マスクをつけた中年の男がモカの前に現れる。
男「君のお母さんが倒れたみたいなんだ。僕が車で病院まで連れていくように頼まれたから、さあ乗って」
7: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:13:33.08 ID:eARP+2sV0
モカ「ねえ、まだ〜?」
男「もうちょっとで着くからね」
かれこれ30分は車を走らせ続けている。周りには森林が広がり、建物は少なく、人もいない。あ、でも聞いたことあるなぁ。幻のパン屋さんっていうのは人が少ないところに建ってるとかどうとか・・・。
8: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:15:07.20 ID:eARP+2sV0
車を走らせ続けて何時間か経過する。誘拐されているとも知らずに爆睡しているモカに現在地を知る術はない。
男(誘拐はひとまず成功したか・・・あとは身代金を手に入れれば・・・)
モカ「ねえおじさん、あたしお腹すいた〜」
9: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:15:49.43 ID:eARP+2sV0
指定のものと男が買った缶コーヒーをカゴに入れ、会計を済ませる。
店員「合計1386円になります」
男「・・・」
10: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:17:03.65 ID:eARP+2sV0
車に乗り、しばらく走っていると海沿いに出た。風が車の窓の隙間から入り込んでくる。
モカ「気持ちいいね〜」
男「・・・ああそうだな」
11: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:17:51.03 ID:eARP+2sV0
その時、男の携帯から音が鳴る。男は路肩に車を止めた。
男「はい、もしもし。・・・ああ、モカちゃんのお母さんですか」
モカの母『娘は無事なんですか!?声を聞かせてください!』
12: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:18:43.10 ID:eARP+2sV0
男「は〜・・・。もうダメだ。居場所がバレちまった・・・」
モカ「おじさん、だいじょーぶー?」
陽が傾き始めた海沿いで、堤防に座って二人は話していた。
13: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:19:38.93 ID:eARP+2sV0
モカは海を見ながら餡パンを頬張る。目の前には九十九里浜の荘厳な風景が広がっていた。夕焼けが反射した、オレンジ色の海。きらきらと橙色に光輝く水面が、夕空の混ざり合い、溶け込んでいる。
モカ「んー、景色を見ながらのパン・・・良いね〜。幸せ〜」
男「それなら良かった。幸せ、か・・・。ーーモカちゃんは、リストラって知ってるかい?」
14: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:20:29.22 ID:eARP+2sV0
男「妻とは離婚してしまうし、子供には新しい良いお父さんが出来たって言うし・・・。もう、俺がこの世に存在する意味なんて何一つ無いんだよ」
モカ「・・・ふーん」
男「モカちゃんは、人が泣く理由って知ってるかい?」
15: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:22:21.30 ID:eARP+2sV0
モカ「・・・おじさんの話・・・あたしはよく分かんないけど・・・」
モカは立ち上がり、男の方に振り向く。
モカ「おじさんはパンをおごってくれたし、今だって自分の分のパンを分けてくれたし。今あたしのことを誘拐してるわけだけど・・・それでも、おじさんは良い人だよ」
16: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:23:13.85 ID:eARP+2sV0
男の目から、雫が一つ、頬を伝った。
嗚咽を漏らしながら、とめどなく溢れる涙を手の甲で拭い続ける。
頭を下げて、子供のように泣きじゃくった。
17: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:24:58.79 ID:eARP+2sV0
男はモカを乗せ、車を走らせた。数時間かけて、家まで送り届ける。あともう少しで家に着くところだ。
男「ごめんな、モカちゃん。今日はおじさんのせいで大変な一日になってしまったな」
18: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:25:39.61 ID:eARP+2sV0
男「あの・・・モカちゃんのお母さん。この度はすみませんでした」
男「土下座しろと言われれば頭を地面に擦り付けますし、警察を呼ぶのなら、私は逃げたりせずにちゃんと罪を償います。どうぞ、お好きなようにーー」
19: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:26:21.96 ID:eARP+2sV0
モカ「たくさんのパンと・・・」
モカ「夕焼けを見ながら食べるパンは、格別だ、っていうこと」
モカの母「モカ・・・」
20: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:27:31.57 ID:eARP+2sV0
男「すみません。本当に・・・ありがとうございます」
モカの母「いえいえ。ウチの子がお世話になりました」
モカの言葉により無罪となった男は、車の前でモカの母と話していた。
21: ◆hvVUYTmsCIUZ[saga]
2018/09/03(月) 00:29:24.36 ID:eARP+2sV0
先に家の中に入り、自分の部屋でベッドに横になっていたモカはすうすうと寝息をたてていた。
モカの母「今日は大変なおつかいだったわね。・・・お疲れ様」
母はモカの顔を撫で、微笑んだ。
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