千早「今日、母が私の家に来る」
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4:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:30:35.51 ID:MVMHgjBu0
千種「誕生日おめでとう、千早」

第一声は淀みなく母の口から発せられた。
まるで強くそう決められていたみたいに。
けれど母の笑顔はとても自然で、私も同じように微笑む。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:33:04.85 ID:MVMHgjBu0
 『あなたの誕生日に、家に行ってもいい?』

ひと月前に母からそう連絡があった時には、少しだけ驚いた。
母が私の誕生日を覚えていたこと、それから、多分祝ってくれようとしていること。
嬉しいという気持ちはもちろんあったけれど、
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:35:41.92 ID:MVMHgjBu0
千種「それにしても……」

隣を歩く母が、ふと小さい声で言った。

千種「本当に、気付かれないものなのね。少し意外だわ」
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:36:58.29 ID:MVMHgjBu0
千種「千早?」

声をかけられて、自分がずっと黙っていたことに気付いた。
母は、心配そう……とまではいかないけれど、気掛かりな様子で私を見ていた。

以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:39:30.03 ID:MVMHgjBu0
と、そこで母の言葉は止まった。
何か言いかけた言葉を飲み込んだ、そんなふうに。
けれどそのことを私が問う前に、

千種「遠慮しないで、言うのよ?」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:40:50.53 ID:MVMHgjBu0



千種「――選ぶの、上手なのね」

以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:43:12.14 ID:MVMHgjBu0
千種「料理も、お友達と一緒にすることがあるの?」

千早「多くはないけれど……オフが重なる日はほとんど無いから。でも、時々は」

千種「そうよね……。学校のお友達とは、そういうことはしないの?」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:45:34.90 ID:MVMHgjBu0
それでも、こうも質問攻めにされると、
なんとなくそういうものなのかなと考えてしまうのは、きっと仕方のないことだと思う。
とは言え質問されること自体は決して嫌ではない。
寧ろこうして滞ることなく会話を続けられていることに、私は安堵していた。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:47:04.11 ID:MVMHgjBu0
いや、きっと特別なんだろう。
私にとって、今日のこの出来事は「特別」。
だって……今日は私の誕生日なんだから。
誕生日という日は、「特別」でいいんだ。

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:48:44.86 ID:MVMHgjBu0
それなりの値段になったはずだけど、代金はすべて母が支払ってくれた。
私が財布を探っている間に、カードで支払ってしまったのだ。
お会計が終わってからもちろんお金を渡そうとしたけれど、
母は『誕生日プレゼントの代わり』と、受け取ろうとしなかった。
そう言われると、私も折れるしかない。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2019/02/25(月) 23:50:07.92 ID:MVMHgjBu0
私が違和感について考えるより前に、母は話題を変えた。
そのおかげで私はまた、それ以上違和感について考えることはなくなった。

千早「ケーキって、もしかして……」

以下略 AAS



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