【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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27: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:36:28.17 ID:oj63shz20
 俺はじっと考え込む。
 やはり真っ先に考えたのは何ひとつ変わらない今現在だ。しかし、アイドルとプロデューサーでなければ、ふとしたきっかけで一線を越えて、結婚まで漕ぎ着けてしまう可能性。そんなものだってあるような気がしてくる。
 だが無意味な夢想だ。俺はそう結論づけた。

「俺たちはアイドルとプロデューサーだよ。そうじゃない道はありえないし、その道こそが最良の道だったと……俺は信じている」
以下略 AAS



28: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:37:03.81 ID:oj63shz20
「……初めてファンの子に嫉妬したわ」
「あの女性にか」
 夏葉は無言で頷く。頷いて、俺の服の袖を取り、下から覗き込むように視線をぶつけてきた。

「私は、アナタが好きよ」
以下略 AAS



29: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:37:48.05 ID:oj63shz20

   ◇

「穴の開いたバケツに水をためるには、一体どうすればいいでしょう?」
 智代子がクイズ本を片手にそう言うと、果穂と樹里が眉間にしわを寄せ、凛世が首をかしげた。
以下略 AAS



30: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:38:30.66 ID:oj63shz20
「ち、ちからわざです……っ!」
「ち、ちからわざじゃねーか……」

 二人の相似した反応に凛世は「ふふ……」と微笑を浮かべて、それから、クイズ本を受け取った。一度本を閉じて、無作為にいずれかのページを開く。一題ごとに出題者の役をまわしているらしい。

以下略 AAS



31: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:38:57.06 ID:oj63shz20
「アナタこそ、いいの?」
「夏葉と同じ意見だ。見ているだけで楽しいよ」
「……そう」

 優しげな口調だった。穏やかな空気が流れていた。俺もなぜか夢心地な気分になって、まだなみなみと中身の入ったグラスを、軽く揺すってみたりする。
以下略 AAS



32: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:39:43.25 ID:oj63shz20
 これみよがしなシャッター音だった。前を向くと、デジカメを構えたはづきさんが立っている。もう一度シャッター音が鳴った。

「ふふふ〜、ナイスショットです〜」
「……急に撮らないでくださいよ、はづきさん」

以下略 AAS



33: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:40:12.42 ID:oj63shz20
 一番上に積まれたアルバムの表紙には「放課後クライマックスガールズ」と書かれている。順当に考えれば、その下には各メンバーごとの個人アルバムが続くはずで、つまり、冊数は六でないとおかしい。間違えて誰かのアルバムを余分に持ってきたのかと思ったが、はづきさんの口ぶりだと数はあっているようだった。

「ふふっ、そういうことね」
 夏葉が確信めいた所作で一番下のグレーのアルバムを引き抜いて、俺に渡した。その表紙を見て目を疑う。題名はずばり『社長・プロデューサーさん・一応七草はづき』。

以下略 AAS



34: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:40:50.07 ID:oj63shz20
「おー、懐かしいな、これ」
「樹里、みんなも」
 クイズに興じていた四人が、昔話の匂いを嗅ぎつけたのか、こちらに来ていた。

「プロデューサーさんの、ちょっぴり恥ずかしい写真があると聞いて」
以下略 AAS



35: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:41:43.16 ID:oj63shz20
「……ああ、そうか。半年早いってそういうことか」

 俺がアイドルのみんなと出会う約半年前の、283プロに入ったばかりの写真もあるのだ。あの頃は切羽詰まっていて、行き場のない焦燥感に駆られていて、精神のギリギリの所をなんとか取り繕っている状態だった。それはもう酷い顔をしていたに違いない。

 あの当時はじっくりと鏡を見る余裕すらなかったので、その酷さを具体的に想像できないが、はづきさんが「刺激が強い」と評したということは、つまりそういうことなのだろう。
以下略 AAS



36: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:42:10.83 ID:oj63shz20
「ふふっ、信用されてますけど、信用されていませんね〜」
「ですねえ」
 社長の秘蔵ワインを一口含んでから、彼女たちに目をやった。


以下略 AAS



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