高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「お互いを待つカフェで」
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:58:16.06 ID:i6ln0z2d0
加蓮「はぁ? 怒りまくってるけど。目の前でポテトの最後の1本を取られた時の100倍くらいは怒ってるけど」

藍子「ぜんぜんそう見えないけれど……でも、はい。分かりました。お話しますねっ。私、お仕事の関係で雑貨屋さんに行っていたんですけれど――」


以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:58:43.03 ID:i6ln0z2d0

……。

…………。



14:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 18:59:43.78 ID:i6ln0z2d0
――おしゃれなカフェ(別の日)――

加蓮『ごめん少し遅れる すぐ行くね』


以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:00:12.52 ID:i6ln0z2d0
学校で使っているものとは違う、最近、メモやお絵かきに使っているノートを取り出します。
白紙のページを開いて、かばんからシャープペンシルを探して。
それから、ちょっと気になったことがあったので、「加蓮」と書いてみました。むずかゆかったので、「ちゃん」と付け足しました。

最近、よく見るようになった2文字です。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:00:43.02 ID:i6ln0z2d0
藍子「……あっ、店員さん♪ こんにちは」


注文していたホットココアを、店員さんが持ってきてくださいました。受け取ると、店員さんは目だけを私の向かい側に向けます。

以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:01:13.18 ID:i6ln0z2d0
店内に流れる音楽が途切れるのと同時に、店員さんは一礼して去っていきました。
去っていく店員さんの背中を、目で追います。テーブルの真ん中手前側に置かれたココアから、甘い香りが漂ってきました。

しばらくすると、流れる音楽の種類が変化します。自然の音によるヒーリングソングから、オルゴールのアレンジソングへ。
これ、どこかで聞いたことがある――なんて耳を澄ませて、曲名を思い浮かべるのと同時に、時計の針が大きな音を立てました。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:01:42.66 ID:i6ln0z2d0
左手でかき混ぜながら、右手で2通目のファンレターを取り出します。最近、よく握手会に来てくださる女性の方。アウトドアが趣味で、お散歩好きなところに共感して私を見つけてくださったそうです。
この方は1行目から加蓮ちゃんの名前を書いていました。ちょっと前に私と加蓮ちゃんで簡単な動画を撮った、私たちの日常のことについて綴られています。
藍子ちゃ――私の話す加蓮ちゃんのお話が楽しかったこと、もっと聞きたくなったこと。そして、次のLIVEにも絶対来てくださるそうです。楽しみっ。

あっ。加蓮ちゃんからのメッセージです。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:02:13.03 ID:i6ln0z2d0
シャープペンシルを握ります。さっき「加蓮ちゃん」とだけ書いたノートに何かを書こうと思って、けれども何も思いつかなかったので、なんとなくぐるぐる線を描いてみました。
それから、ノートの隣に3通目のファンレター……これは知らない方からです。握手会でお話できるかな? まだ顔を見たことのない方のファンレターを、並べて置いてみます。
「加蓮ちゃん」という文字が隣に並びました。文字の形はぜんぜん違うけれど、同じ意味の2文字。

最近、よく見るようになった2文字です。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:02:43.28 ID:i6ln0z2d0
できれば加蓮ちゃんを待ってあげたかったけれど、カップの湯気はもう見えなくなってしまいましたから。
半分くらいを一気に飲んでしまいます。甘くとろけた感触が全身に行き渡っていきます。少し内側に寄っていた両足を軽く伸ばして、そうしたら体がほかほかとしてきました。
弱暖房の風が首筋を流れていくので、ジャンパーを脱いでみました。途端に温かみがぜんぶ外へ逃げていってしまって、慌てて羽織り直します。ボタンを留めた後、手にほんの僅かに金属の感触が残ってしまいました。指先をこすり合わせて、静電気が少し怖いので、てのひらで長椅子に触れました。


以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:03:13.54 ID:i6ln0z2d0
ノートの「加蓮ちゃん」の文字の横に、「好きな」と書いて、そうしたら一瞬で体がすごく熱くなっちゃったので慌ててシャープペンシルで何度も横線を引きました。誰も見てないって知ってるけど思わず立ち上がってしまって、引き結んだ唇の両端から体温が漏れていくのを感じます。体は熱いんですけどジャンパーの服と体の間のスペースを埋めるように自分で自分を抱きしめる形になってしまいました。
おちつこう……。まずは落ち着いて、座ってから。手からは力を抜いて。少し乱れてしまった服は直して。最後にほっぺたを手で叩いて、息を大きく吸って、吐いて。ちいさく咳払い。

線がぐしゃぐしゃに引かれたページを勢いづけてめくり、また「加蓮ちゃん」と文字を書き、今度は先に「人」って置いて、それからその左隣に、「好きな」と付け加えました。

以下略 AAS



22:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/17(日) 19:03:42.75 ID:i6ln0z2d0
ページをまた1枚めくります。逃げた先に自由の場所があった時のように、好きなことを書ける白紙が出迎えてくれます。
また加蓮ちゃんの名前を記して、それから「知っている人」と足して。唇の先に薬粒を押し当てたような苦さが生まれて、そうしたら、そのタイミングで加蓮ちゃんからのメッセージが来て……。
5秒だけ。間を置いてから。スマートフォンへと手を伸ばしました。


以下略 AAS



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