【デレマス】夢見りあむの、尊さについて。
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7: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:44:23.70 ID:CDwt0mRk0

 まぁ、駆け出しのアイドルなんてそんなもんなんだろう、という達観も確かにあった。ぼくが稼いでるお金より、ぼくに使ってくれているお金のほうが全然多いはずだ。

 そもそもこの事務所、母体は中堅どころのそこそこ有名な会社だけれど、その一部門としては極めて零細。ぼく以外のアイドルだって片手で数えられるくらいだから。

以下略 AAS



8: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:46:25.47 ID:CDwt0mRk0

 ぼくのアイドル論とは全く無関係に、ぼくはそもそも面食いで、可愛いアイドルが好きだった。当然カッコいいアイドルも。そういう意味では、Pサマの存在は、なんていうか、こう……非常にモチベに繋がっている。そして毒でもある。心臓に負担が、が、が。

「千川ァ。俺の代わりに、こいつの教育すっか?」

以下略 AAS



9: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:48:21.68 ID:CDwt0mRk0

「た、食べる!」

「そうか。なら、俺も休憩にすっかな」

以下略 AAS



10: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:49:54.93 ID:CDwt0mRk0

* * *

「……」

以下略 AAS



11: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:52:18.84 ID:CDwt0mRk0

 現在時刻は夜の八時半を回っていた。事務所に始発で来たから、かれこれ十四時間、アイドル活動をやっていたことになる。

 今日は朝からテレビの収録があったのだ。

以下略 AAS



12: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:54:45.28 ID:CDwt0mRk0

 だって仕方がない。仕方がないじゃん! 本当のことなんだもん!
 五人でグループを組んでた時のほうが活き活きしてた。いまもパフォーマンスは凄いしファンサービスだってめっちゃだけど、だけど、だけど、……ステージで踊る彼女たちの汗と笑顔が、なぜだか尊く見えない。心でも魂でもなくて、技術でアイドルをやっている、そう思えちゃったのだ。

 それが残念でしょうがない。泣きたくなるくらい悔しい。
以下略 AAS



13: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:56:05.75 ID:CDwt0mRk0

 Pサマは怒っていたけれど、どこか嬉しそうな、楽しそうな顔をしていた。だからぼくは、やってしまったという自己嫌悪よりも、よっぽど自慢気が勝っているのだ。
 初テレビ出演のお祝いに餃子も買ってもらったし!

 薄汚れたコートを着たまま、Pサマは餃子を電子レンジに突っ込んだ。
以下略 AAS



14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:57:04.84 ID:CDwt0mRk0


 電子レンジが「チン」と音を立てる。呆れ顔のPサマ。扉を開け、餃子を取り出し、パックの蓋をとる。
 安っぽいにおいがした。だからこその親しみやすさだとぼくは思う。

以下略 AAS



15: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:58:06.62 ID:CDwt0mRk0

* * *

 蓋を開けてみれば、わかっていないのはPサマのほうだった。

以下略 AAS



16: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 00:58:49.94 ID:CDwt0mRk0

* * *

 先日ぼくが大失敗してしまった初めてのテレビ撮影、ぼくは当然あんな映像使われないと思っていて――そしてそれはPサマも同じだった。だからぼくたちはその番組の放映日なんてすっかりと忘れてしまっていたのだ。

以下略 AAS



17: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/10(月) 01:00:19.46 ID:CDwt0mRk0

 その声が、声たちが、いったい何についてぼくへと奔流を浴びせかけているのかわからなかった。やってしまったという後悔も、みんなが注目してくれているという昂揚もそこにはない。起き抜けの頭は火花が散るばかり。
 そうして次第に明晰していく中で、ようやくぼくは気付いたのだった。

 どうやらあの日の主張はボツにはならなかったらしい。
以下略 AAS



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