1:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 08:11:18.25 ID:mC8RIJV00
◯月△日
私は朝早く起き、身支度をしたあと宿を出ました。
今日はサヤさんとお出かけをする約束をしているので、その待ち合わせ場所へと向かいます。
夏が終わり秋になり、うだるように暑かった空も、
そよそよと涼しい風が吹き始めた今では、ほうきに乗って飛ぶには絶好だといえるでしょう。
小川を通るときは心地の良い水の音を聞き、原っぱを通るときはどこからか現れた鳥さんたちと共に行き、
清々しい空の旅を満喫しながら、私はニコニコ顔を浮かべます。
「今日はどこへ行きましょうか」
そんなことを考えているうちに、サヤさんとの待ち合わせ場所に着きました。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 08:12:32.06 ID:mC8RIJV00
「おーい、イレイナさーん」
「あっ、サヤさん」
3:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 08:43:26.96 ID:JEQNddpM0
サヤさんから聞いたことによると、
空の遊園地というのは、普通の遊園地とは違い魔法がかけられている遊園地のことで、魔法使いではない人も魔法使いである人もよく遊びにくるところだそうです。
4:名無しNIPPER
2021/08/28(土) 23:41:40.21 ID:bP9TJCPz0
歩いて入る空の遊園地は空から見たときとは全く違って見えました。
奥行きが見えずそびえ立つ建物を見て、私は圧倒されます。
5:名無しNIPPER
2021/08/30(月) 07:44:26.29 ID:M1471pg60
私が遊ぼうとしたのは、ジェットコースターでした。
いえ、正確には、
6:名無しNIPPER
2021/09/02(木) 18:27:36.86 ID:T+hvoRZJ0
ジェットコースターが、ガタ…ゴト…と音を立てながら少しずつ線路を登っていくなか、緊張感やワクワクとした気持ちが入り混じっていました。
「私が座った席にはどのような魔法がかけられているのでしょうか」
ふと呟くと、気づいたサヤさんはこたえます。
7:名無しNIPPER
2021/09/02(木) 18:45:04.34 ID:2OEAJ2d+0
「ううっ…!」
きゃーーっという叫び声が聞こえるなか、私は必死に、せまる圧迫感に目をつむり歯を食いしばっていました。
8:名無しNIPPER
2021/09/02(木) 19:19:10.44 ID:Ar4eVVG00
「おお、これはっ…」
あたりはキラキラとした景色に包まれ、いくつもの花がほのかに浮かび走る先に続いていました。
ぽかぽかとした暖かい空気に和み、ついうっとりとした気持ちになります。
9:名無しNIPPER
2021/09/02(木) 19:31:09.40 ID:gjz1WvDO0
「ぎゃ〜〜〜っ、イ、イレイナさ〜〜ん!」
「サ、サヤさん!?」
呼びかけても、サヤさんは聞こえない様子でぎゃーぎゃーと声を上げます。
10:名無しNIPPER
2021/09/02(木) 19:50:35.18 ID:4y/eOQDR0
「うう…ひどい目に遭いました」
サヤさんはベンチにゆったりと座り、ため息をついていました。
11:名無しNIPPER
2021/09/03(金) 19:49:41.53 ID:v8Sc4foy0
喫茶店は、魔法がかけられた遊園地を意識してか、帽子やほうきなどがアクセサリーとして飾られていました。
他にも、微かに光るランプや、明るいともしびなどで部屋が明るくされており、なんとも優雅な雰囲気になっています。
「ずいぶんと凝ったつくりになっているんですね」
12:名無しNIPPER
2021/09/03(金) 20:11:46.48 ID:EXuD+ao20
「さて、何を飲みましょうか」
メニューを眺めていると、サヤさんは言います。
13:名無しNIPPER
2021/09/03(金) 20:35:38.07 ID:1GeouWLW0
「どうぞ」
と持ってこられたメロンソーダは、シュワシュワと気泡がたつうえにレモンが飾りのようについており、
秋になり始めた今の季節にはぴったりともいえる、おいしそうな香りがしていました。
14:名無しNIPPER
2021/09/03(金) 20:44:51.36 ID:Q6IIC7tQ0
「次はどこへいきましょうか」
あたりを眺めると、遊具が沢山あり、どれを遊べば良いのか逆に迷ってしまうようでした。
15:名無しNIPPER
2021/09/03(金) 20:55:21.95 ID:SxsIz9o10
お城までの道のりは、長い長い上り坂となっていました。
坂道にはいくつもの休憩所のようなお店があり、私はサヤさんと共に、休んだり、歩いたり、そしてまた休んでは少しずつ近づいてくるお城に向かって、歩き続けていました。
「どうしてこんなに歩くようなつくりになっているんですかね」
16:名無しNIPPER
2021/09/03(金) 21:16:38.09 ID:DRvgxdv80
「つきましたね…」
私はぐっと背を伸ばし、その横でサヤさんもぐったりしたように腰を曲げ、膝に手を当てていました。
17:名無しNIPPER
2021/09/03(金) 21:42:53.92 ID:7DsiAVC70
「どうしたんですか、サヤさん」
呼びかけると、サヤさんは泣きそうな顔で振り向いて言うのでした。
「ここ、お化け屋敷だそうです」
18:名無しNIPPER
2021/09/04(土) 06:10:05.15 ID:KeH5AdMi0
「お、おじゃましまーす」
律儀に挨拶をするサヤさんとともにお城のなかに入ると、中は意外にも明るく、お化け屋敷には似つかわしくないシャンデリアが城内を照らしていました。
19:名無しNIPPER
2021/09/04(土) 06:35:58.59 ID:KeH5AdMi0
サヤさんはふと言いました。
「うーん。お化け屋敷だと思って入ったのですが、なかなかおばけが出てきませんね」
20:名無しNIPPER
2021/09/04(土) 07:00:41.94 ID:KeH5AdMi0
扉を開けた先には…
扉を開けた先はある広場になっていて、シャンデリアが豪華になかを照らしており、鍾乳洞のようなかたちをした壁が光を反射して、中心にある大きな噴水をキラキラと輝かせていました。
噴水の上には、なぜか虹もかかっています。
21:名無しNIPPER
2021/09/04(土) 10:33:55.86 ID:/9CKO7P40
大きな噴水の前で、サヤさんは虹を眺めながらわぁとため息を漏らしていました。
「イレイナさん、この虹はどこから現れているのでしょう。ここには日差しもさしませんし、灯りでこのような虹になるでしょうか」
35Res/36.01 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20