3: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 22:52:05.25 ID:/ZKesHprO
 「ご無沙汰しています。環いろはさん」 
 「……織莉子ちゃん?」 
 「急に尋ねてごめんなさい。その節は大変ご迷惑をおかけしました」 
  
 彼女の名は美国織莉子。未来予知の能力を持つ魔法少女で、みかづき荘の住人は 
4: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:00:37.83 ID:/ZKesHprO
 「誰か来ていたの?」 
 「それが、織莉子さんが訪ねて来たんです。深刻そうな顔をして……」 
 「織莉子って……あの時の、美国織莉子よね……?」 
 「これから出かけることを伝えたら、日を改めると。急なんですけど、 
  みんなの予定が空いている日はありますか?」 
5: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:07:02.38 ID:/ZKesHprO
 ショッピングモールのポイント10倍デーに備えて、出発準備が整っていた住人は、 
 居間で着席はせずにいろはの報告を聞いた。 
  
 織莉子によれば、全人類が死に絶える未来を予知したという。 
 それを止められる可能性にかけて、みかづき荘を訪ねたとのことだった。 
6: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:09:25.39 ID:/ZKesHprO
 『未来のことかー。わたくしも興味あるし、ねむと桜子、あとは書記を連れて行くね。 
  場所はみかづき荘でいいの?』 
 「うん。午前十時には織莉子さんが来るから、間に合うように来てほしいんだ」 
 『分かった。ねむたちにも言っておくね。それじゃ、またその日にね』 
 「よろしくね、灯花ちゃん」 
7: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:15:27.74 ID:/ZKesHprO
 織莉子が語る内容を簡潔にまとめると、彼女が視た未来には、世界にアリナ・グレイ以外の 
 魔法少女が存在しない。そこに生きている人類はアリナ以外におらず、世界には魔女とも 
 使い魔とも言えない異形が蔓延っている。 
  
 その世界でアリナは、巨大な魔女と思わしき存在と融合して力を振るっており、全人類を 
8: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:21:12.50 ID:/ZKesHprO
 「それが、キリカと一緒にアリナに関係する場所を巡っていますが、成果は上がっていません。 
  今のところアトリエを特定する方法も、侵入する手段も見つかってないんです」 
 「探せば見つかるような場所じゃない、ってことかな。それじゃ手の打ちようがないんじゃ?」 
  
 やちよの隣に腰かける鶴乃は、織莉子の説明が始まる前に、やちよが全員に用意した麦茶を 
9: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:25:47.21 ID:/ZKesHprO
 「こんなんじゃ、一度隠れたら、隠れた本人が自分から出てこない限り、どうにもならないね」 
 「こっちから乗り込んで、怖いねーちゃんを叩けねーってことかよ。ずりぃ」 
 「そうだ。キモチ石の時みたいに、灯花ちゃんからキュウべぇに接触できないかな?」 
 「そうしたいところだけど、まだ電波望遠鏡の修理は完了してないんだよ。 
  しばらく機械たちも動かしてなかったから、稼働試験もしないとだし」 
10: ◆3U.uIqIZZE
2022/07/25(月) 23:36:30.63 ID:/ZKesHprO
 「アリナが目指す、ベストアートの完成が目的なのかもしれない。自分以外に魔法少女が  
   存在しない時代であれば、誰の妨害なく悲願を成就できると考えたのだろうね」  
  「混乱のどさくさでアリナを逃したのは痛手だったよ。困ったことになったにゃー……」  
  「|だからといって、アリナを全く放置するわけにもいかない。  
    何か手を打つ必要があるけど、一旦休憩を挟むことを提案する|」  
11: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:40:07.03 ID:/ZKesHprO
 「わたくしたちが暮らす現在を世界α、百年後の未来を世界βと仮定してお話するね。 
  未来へ行って現在に帰ってくることは、わたくしたちにとっては世界αと世界βを 
  往復しただけ。これは分かるかなにゃー?」 
 「うん」 
 「だけど、宇宙の視点からすると、それはまた別の意味を持つの。世界αは、世界βを 
12: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:43:47.25 ID:/ZKesHprO
 「本来、未来は常に変動しているの。現在よりも先の時間であり、世界であり、 
  数多の可能性の中から選ばれた一つの可能性。現在を生きるわたくしたちの 
  行動次第で、いくらでも変えられるものなんだよ」 
 「だけど、僕たちが未来へ渡って現在に帰ってきたら、つまり、世界βへ渡って 
  帰ってきて、世界αが世界α’に、世界βが世界β’になったら、この宇宙は、 
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