184:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/10(金) 22:13:42.71 ID:ehA7zoAO
だが振り返った先にあった紬の辛そうな表情を見て、律は自分の軽率さを改めた。
律「……ごめんな。やっぱムギにとっちゃキツいよね」
紬「いいのよりっちゃん。覚悟は出来てるから」
185:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/10(金) 22:14:23.17 ID:ehA7zoAO
後藤「今日から貴女の身の回りの世話をさせていただく後藤です。至らない点もあるでしょうが、その際は何卒ご教示下さい」
たどたどしくはあるものの、丁寧な言葉遣いだった。
紬「こちらこそよろしくおねがいします」
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2010/12/10(金) 22:15:14.48 ID:ehA7zoAO
斎藤「家庭教師の方が体調不良でお見えにならないので今日は今から二時間は自習です。何かあれば後藤に言いつけて下さい」
紬「分かりました」
紬の二つ返事を聞くと斎藤は音も無く去ってしまう。
187:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/10(金) 22:15:50.69 ID:ehA7zoAO
鉛筆を握る紬の手に力が込められる。
お前に何が分かる? 出来るのではなくやらなければならない環境に置かれた自分の心中を、少しでも想像した事があるのか。
沸き上がる苛立ちをそのままこの軽率な男にぶつけたい衝動に駆られたが、父の期待を考えるとそれは出来なかった。
紬「……お茶を貰えますか?」
188:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/10(金) 22:16:39.94 ID:ehA7zoAO
後藤「ったく、斎藤の旦那も人がわりーよな。初日から令嬢の目付け役なんて荷が重過ぎるっつーの」
がしがしと頭を掻きながら後藤はシガレットケースを取り出す。
後藤「っと、流石に煙草はマズいよな。失敬失敬」
189:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/10(金) 22:17:27.98 ID:ehA7zoAO
紬「っ!?」
散らばる紙屑を見て、紬は呆然とするしかなかった。
後藤「この年から机にかじりついてっとろくな大人になんねーぞ。折角誰も見てねーんだからガキらしく遊ぼうぜ」
190:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/10(金) 22:18:18.93 ID:ehA7zoAO
後藤「さて、と……。意気込んだは良いものの最近の子供の遊びはよく分かんねーんだよな。何かやりたい事無いのか?」
普通の子供ならばここであれをやりたい、これをやりたい、と騒ぎ立てるものなのだが、この時の紬は違った。
胸の前で両手を組んでしゅんとうなだれたのだ。
191:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/10(金) 22:18:50.00 ID:ehA7zoAO
乱暴な物言いに紬は思わずたじろいだ。
そして後藤は紬の反論を待たずに閃いたぜ! と叫びながら部屋を飛び出してゆく。
紬「…………」
192:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/10(金) 22:19:24.75 ID:ehA7zoAO
後藤「日曜に早起きした甲斐があったぜ。まさかこんなところで役に立つとはな」
紬には何の事を言っているのかさっぱり分からなかった。
困惑する紬を余所に後藤はてきぱきと机を片付けてグラスを置いてゆく。
193:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/10(金) 22:20:16.21 ID:ehA7zoAO
後藤「と、こんなもんか」
後藤は満足げな笑みを浮かべて鉛筆を紬に手渡した。
やってみろと手で合図をするが、紬はもじもじして顔を伏せている。
194:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]
2010/12/10(金) 22:20:49.51 ID:ehA7zoAO
紬は顔を両手で覆い、肩を震わせた。
小さな指の間から一粒の涙が零れ落ちる。
後藤「なぁにめそめそしてんだよ」
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