577:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/03(木) 18:20:57.43 ID:50xr3sjAO
紬「後藤は私がお父様に怒られる時、いつも一緒に怒られてくれました。たまに大人気ないところもあったけど、そんなところも大好きです」
怖いものなど一つも無かった。
いつも自信に満ち溢れた後藤と居ると、何だって出来る気がした。
578:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/03(木) 18:21:30.67 ID:50xr3sjAO
斎藤「私を含めてどうしようもない人間だ。一つの事に特化するばかりで他は欠陥だらけだった……!」
紬「ううん、そんなことないよ」
普段の彼女からは決して出ない、甘えたような柔らかい口調だった。
579:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/03(木) 18:22:01.89 ID:50xr3sjAO
紬「こうやって、子供の為に涙を流してくれるような人なの」
斎藤の頬を熱いものが濡らして、零れ落ちた。
今更馴れ合う気は無い。
自分の目的を果たす為ならば修羅にでも畜生にでもなろう。そう決めた筈なのに。
580:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/03(木) 18:22:33.51 ID:50xr3sjAO
斎藤の胸の中で何かが蠢いた。
それは中から宿主を突き破らんとし、痛みを伴う猛威を振るい……。
斎藤「ぐっ……!?」
581:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/03(木) 18:23:01.31 ID:50xr3sjAO
紬「何で……っ!? 患った事なんて一度も無かったじゃない!」
紬は鈍痛で軋む身体に鞭を打ち、斎藤の肩に触れようとした。だがその手は非情な意志を以て払われる。
斎藤「狐に噛まれましてね……。あの子を此所の監視の目から遠ざけるにはこうするしか無かった」
582:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/03(木) 18:23:31.02 ID:50xr3sjAO
紬が口を開く前に鍵語は呟かれた。
斎藤「修羅道──」
紬の中で無数の刃物が暴れ回った。
583:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/03(木) 18:23:59.38 ID:50xr3sjAO
斎藤「畜生道──」
鍵語と共に肩を抑える力が強くなった。
その力はやがて紬の肉体の耐久力をあっさりと越え、白い肌を挽き肉のように握り潰す。
584:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/03(木) 18:24:30.16 ID:50xr3sjAO
斎藤「これが最期です。私にとっても貴女にとっても……」
斎藤は紬の肩からそっと手を離した。
そして無機質の床に両の掌を添える。
585:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/03(木) 18:25:27.30 ID:50xr3sjAO
底の無い闇に沈んでゆくような、或いはただあても無く浮かんでいるような奇妙な感覚。
痛みという枷から開放された紬はこの世では無い此所で一人の男が歩んだ世界を見た。
紬「こんなのって……」
586:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/03(木) 18:26:06.46 ID:50xr3sjAO
がちゃん──。
紬の意識が引き戻されたのは重々しい音が鳴り響いた時だった。
紬「ここは……?」
1002Res/468.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。