894:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:05:00.08 ID:HS1jkPFAO
澪「結局お前はどうしたいんだ? この子を助けてくれるのかくれないのか、どっちなんだ」
江藤「あら、助けないとは一言も言ってないわよ? 狐ちゃんが認めるなら直ぐにその子を治してあげる。ただこれだけは頭に入れておいて」
少し間を置いて江藤は舌を出した。
895:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:05:35.99 ID:HS1jkPFAO
江藤「ケダモノみたいな闘気に充てられて全身に穴を開けられて……。生きたまま血を啜られる感覚、あの時の痛みは足の先までも思い出せるわ」
しずか「…………」
しずかの胃の中を冷たいものが通り抜けた。
896:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:06:03.95 ID:HS1jkPFAO
澪「……痛いのも苦しいのも、全部引っ括めて闘うって事じゃないのかな。私は……」
予測していなかった江藤の反応に澪は口ごもった。
その様子は、彼女が江藤に対して萎縮しているようにも見える。
897:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:06:30.23 ID:HS1jkPFAO
澪「表で待ってるから」
勝手に話をつけてくれという事なのだろう。
澪はしずかとすれ違いざまに、冷たく呟いて部屋を後にした。
叩き付けるように閉めた扉の音だけが残った。
898:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:06:56.12 ID:HS1jkPFAO
江藤「で、どうするの?」
外方を向いたまま江藤が呟いた。
それでもなお数秒ほど押し黙り、しずかはようやく口を開く。
899:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:07:23.45 ID:HS1jkPFAO
江藤「良いわよ」
しずか「えっ……?」
江藤が大した間も置かずに即答した事にしずかは思わず肩を揺らした。
900:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:07:49.28 ID:HS1jkPFAO
治療過程は語るものでもなかった。
姫子の顔色、傷口、痙攣などの症状から彼女に盛られた毒をほんの数分で見抜くと、江藤は一本の血清を打った。
ただそれだけだった。
しずか「すごい……。お医者さんみたい」
901:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:08:17.13 ID:HS1jkPFAO
江藤「……毒を扱うには多くの知識と経験が必要なのよ。それこそ貴女達の本分の武術と同じようにね」
腕を捲り、無数の注射痕をしずかに見せる。
そして彼女は物憂げな面持ちで溜め息を吐いた。
902:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:08:45.91 ID:HS1jkPFAO
しずか「……才能の違いが秋山さんを怖がる理由なの?」
江藤「才能? あの子と私の差を才能の差と称するのは少し違うわね」
江藤は自嘲染みた笑みを零して口元を手で覆った。
903:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)[saga]
2011/03/31(木) 02:09:18.53 ID:HS1jkPFAO
物憂げに顔を伏せ、ベッドに横たわる姫子の頬をそっと撫でるとしずかは大きく溜め息を吐いた。
江藤「ふふっ」
その様子を見て江藤は含み笑いを漏らす。
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