過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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368:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 20:42:02.25 ID:FDyGJ6A0
「で? それは褒め言葉として受け取っても良いンだよなァ? つーか目障りだから早く消えてくンねェか」
「……こんな風に常識のない乱暴そうな人だったらクローンなんて気にしないでしょうしね、所詮彼女の身体目当てとかでしょう?」
369:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 20:46:09.06 ID:FDyGJ6A0
能力に頼ることもなく。何の力も借りずに。
よく貧弱だ、華奢だ、などと言われる彼だが、それでも誰かを想う拳には一人の男を倒すだけの威力は十分にあった。
直後、男の身体が床に打ち付けられて鈍い音が響く。
370:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 20:50:52.49 ID:FDyGJ6A0
頭も目の前も、真っ赤に染まってから冷静を失うのは直ぐだった。
駆けつけてきた店員はそんな彼が冷静を取り戻すのには時間が掛かるかと警戒していたようだが、
振り上げた腕を抑えられると容易にも一方通行の身体から力も気力も失せてしまった。
371:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 20:53:38.35 ID:FDyGJ6A0
「通報すンなら好きにしろ、あとこの割れた皿とかも弁償する」
辺りに散らばった破片を踏みつけながら立ち上がって、一方通行は起伏のない声で言う。
372:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 20:55:31.71 ID:FDyGJ6A0
番外個体は最初と変わらない場所でしゃがみ込んで、身体を小刻みに震わせていた。
一方通行の気配を感じ取ったのか、顔を上げる。
血色の悪い、青紫の唇。しかし顔はどこか赤みを帯びている。
そんな彼女はうっすらと微笑んで、
373:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 20:58:29.42 ID:FDyGJ6A0
「ほら、乗っかれ」
タクシーでマンションの前まで帰ってくると、番外個体をおんぶして部屋まで連れて行く。
374:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 21:00:24.40 ID:FDyGJ6A0
いじけたように反対側を向いてしまう番外個体。
ガキじゃないんだからと一方通行は溜息をつく。
375:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 21:02:35.73 ID:FDyGJ6A0
番外個体の頭を冷やすために薄手のタオルを冷水で濡らす。
右手の血は既に止まっていたが、水に酷く染みて、思わず手を引いてしまった。
しかも衣服も汚れてしまったし、もしかすると番外個体の服も汚してしまったかもしれない。
376:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 21:04:53.16 ID:FDyGJ6A0
『――特に変わったことはない、風邪の症状なんだろう?』
「あァ、少し前からそれっぽかったらしいし、一応脳内の電気信号を確認してみたがウィルスとかでもねェと思う」
377:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2010/12/26(日) 21:07:47.95 ID:FDyGJ6A0
家に帰ると、番外個体は毛布にくるまって眠っていた。
額にのせたタオルは既に存在意義を失ってぬるくなっていて、番外個体の額に手をあててみると、依然として熱いままだ。
折角冷却シートを買ってきたのでそれを貼らせようかと思ったが、起こすのは何となく気が引けて、夕食時まで番外個体をそのまま寝かせることにした。
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