過去ログ - 暦「今更するような話でもないけれど」
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1: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:27:17.95 ID:AaFb7K1U0
はじめまして。
ちゃんと立ったら、書いていきます。
一応最後までできてるので、淡々と上げていきたいと思ってます。
よろしければお付き合い下さい。

もっと化物語のSSが増えたらいいな、という思いをこめて。



2: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:27:31.39 ID:AaFb7K1U0
『あららぎファミリー』



 001.
以下略



3: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:28:04.32 ID:AaFb7K1U0
 ただ自分の心を整理し、記憶を整理したいだけ。
同じ失敗を繰り返さない為に。
あるいは、同じ成功を繰り返したいが為に。

 まあ、これまた仰々しく並べてはみたものの、正直に言えば、そんな理由も後付けでしかない。
以下略



4: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:28:35.41 ID:AaFb7K1U0
 002.

 目が覚めると、そこは自分の部屋じゃなかった。
眠りについたのは、確かに自分のベッドだったはずなのに。
起きた直後のその目に映っているのは、見慣れた自室とは、似て非なる場所だった。
以下略



5: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:29:01.55 ID:AaFb7K1U0

 僕は現在、両手を後ろ手に、柱上の物を介して、手錠か何かで拘束されている。
何の前触れもなく、一切の予兆もそこにはなく、あるいは気付かず、目が覚めた時には既に、囚われの被害者Aな状態だった。
これで茫然としないような人間にならないと、主人公として失格だと言われてしまうのならば、世にある数多の物語から、主人公という存在は消えてしまうだろう。
そうでなくとも、こんな状況にあってなお、理性的に、機械のように、目の前の出来事を淡々と語るような、そんな人間味のないキャラになど、僕はなりたくはない。
以下略



6: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:29:45.30 ID:AaFb7K1U0
「お、兄ちゃん、ようやくお目覚めかい? 全く、いつものことながら寝坊助さんだな」

 目を逸らしたかった現実は、しかし聞き慣れたその声でもって、耳から頭に入り込む。
もうこれ以上ぐだぐだ考えるのは止めにしておこう。
受け入れよう、目の前の事実を。
以下略



7: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:30:44.56 ID:AaFb7K1U0
 軽く妹の将来を案じつつ、改めてぐるりと周囲を見回してみる。
どうやら、二段ベッドの脚の部分を使って拘束されているらしい。
そんな僕を、妹達――火憐と月火が、椅子に座った状態で見下ろしてくれていた。

「何だよ、じろじろと。あたし達のパンツでも見たいのか?」
以下略



8: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:31:39.58 ID:AaFb7K1U0
「で、だ。これはどういうことなんだ?」
「これって?」

 きょとんとする火憐。
何というか、それはとぼけてるというよりも、本当に何を聞かれているのかわかっていない様子だ。
以下略



9: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:32:32.68 ID:AaFb7K1U0
「そもそも拘束も監禁もすんなって言ってんだよ」
「だって、そうしないと逃げるでしょう? お兄ちゃんは」
「何で逃げること前提なんだよ。何をするつもりだ? お前達は。一体何が望みなんだよ」

 仮にも正義を謳う妹達である。
以下略



10: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:33:43.39 ID:AaFb7K1U0
「火憐ちゃん、話が逸れてるよ」
「おっと、悪りい月火ちゃん。そんじゃ……」
「何だ?」

 火憐が、居住まいを正し、少しだけ身を乗り出してくる。
以下略



11: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:34:42.37 ID:AaFb7K1U0
 しかしまあ、そもそも、そんな無茶苦茶な事を言った記憶なんて、僕にはないんだが。
まさか、胸揉んだりキスしたりした時のことを言ってるんだろうか?
だとしたら困る。
僕的には、あれはごく自然で、実に当たり前な、極めて普通のことであり、無茶でも苦茶でもないことなのに。

以下略



12: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:35:38.99 ID:AaFb7K1U0
 003.

 さて、思い返してみる。
事の発端、だなんて、自分でそんな言葉を口にしたくはないけれど。
だって、僕は自分がそんな突飛なことをしたつもりはないんだし。
以下略



13: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:36:28.24 ID:AaFb7K1U0
 そうじゃなくて、単純に進路の話である。
大学受験で、行きたい大学を二人に相談し(と言っても、もう決めていたことだから、これは確認と言うべきかもしれない)、合格の暁には家を出ようと思っている旨を伝えた。
僕が受けようとしている大学は、ここから大分離れた所にあり、そうなれば当然通うには厳しいということになり、であれば下宿という結論を出さざるを得なくなる。
ファイナルアンサー。

以下略



14: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:37:27.58 ID:AaFb7K1U0
 ともあれ、思っていたよりあっさりと、考えていたよりすんなりと、僕の望む結論に到達できた。
元々、僕をどうこうしようという両親ではないし(これは興味がないとかじゃなくて、僕の自主性に任せているという意味での話だ。念の為)、僕が色々考えた末での結論だということをわかってくれたのだろう。
学費もちゃんと出してくれるとのこと。
自分でバイトして稼ぐ、ということも念頭に入れてはいたが、そこはさすがというか、素直に感謝しておいた。

以下略



15: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:39:01.67 ID:AaFb7K1U0
 004.

 さて、回想終了。
結局のところ、どうやってかは分からないけれど、僕と両親のやり取りは、全て妹達に筒抜けだったらしい。
筒抜けにして、底抜けに間抜けな話だ。
以下略



16: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:39:52.34 ID:AaFb7K1U0
「おい、兄ちゃん、何度も話を逸らすなっての」
「そうだよ。どういうつもりかって聞いてんの。ちゃんと答えてよ」
「あたし達だって鬼じゃないぞ。まずは兄ちゃんの言い分から聞いてやろうって言ってんじゃねーか」
「今初めて聞いたぞ、そんなこと」

以下略



17: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:41:58.85 ID:AaFb7K1U0
 いやいやいや。
ちょっと待ってほしい。
これってそんなに理不尽なことか? 不自然なことなのか? そりゃあないだろう。
だって、誰だっていつかは家を出ていくんだぞ。
こんなの、ごく自然で、実に当たり前な、極めて普通のことじゃないか。
以下略



18: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:43:35.84 ID:AaFb7K1U0
「ていうか、お兄ちゃんが独立するなんて、冗談にしか聞こえない」
「その言葉こそ冗談であってほしい!」
「何言ってんだよ、兄ちゃんが一人で生きてけるわけねーじゃねーか」
「もっとひどい認識だった?!」

以下略



19: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:45:21.91 ID:AaFb7K1U0
「簡単なことじゃねーか、家から出ていくのを無しにしたらいいんだよ」
「何でそうなる?!」

 その結論はあり得ないだろう。
大体、ちゃんと両親の許可は取ったんだぞ、僕は。
以下略



20: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:47:34.65 ID:AaFb7K1U0
「つーか、通えばいいだろ、家から」
「お前、本当に話聞いてたのか? 遠いから無理だってんだよ」
「走れ」
「余計無理だろ!」
「じゃあ飛べ」
以下略



21: ◆/op1LdelRE
2011/02/21(月) 22:49:34.66 ID:AaFb7K1U0
 というか、人外の運動能力は期待されるのに、何でこんな生活力のポテンシャルに対する期待値は低いのか。
こいつら、普段どんな目で僕を見てやがる。
お前、普通の人間なら、空飛ぶより飯作る方が簡単だろうよ。
その逆を言う人間なんて、見た事も聞いた事もない。あってたまるか。
もちろん今の僕は普通の人間な訳で、だからまあ、家事くらいなら何とかなるはずなのだ。
以下略



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