2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/21(木) 20:59:15.26 ID:JO1JEfB90
満開の桜は、人の心を狂わせる。
そう言ったのは、何という作家だっただろう。
そんな言葉も、思わず信じてしまいそうな薄紅の下。
目の前に、一人の男が立っていた。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/21(木) 20:59:52.77 ID:JO1JEfB90
『えーと、何て言ったらいいのかなって、ミサカはミサカは…』
「あ?何モゴモゴ言ってンだ?さっさと言わねェなら帰…」
『わー!ちょっと待って待って!ってミサカはミサカはあなたに縋りついてみたり!』
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/21(木) 21:00:27.30 ID:JO1JEfB90
『好きです。付き合って下さい。ってミサカはミサカは偽らざる本心を告げてみる』
「……………」
『って、あれ?無反応?ってミサカはミサカはまさかの事態に戸惑ってみたり』
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/04/21(木) 21:01:23.85 ID:JO1JEfB90
「……おい」
『どうしたの?ってミサカはミサカは耳まで真っ赤なあなたに問い返してみる』
「……分かってンだろォが。言わなくても」
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/04/21(木) 21:01:54.58 ID:JO1JEfB90
脳波の共有というのは、つくづく厄介なシステムだと番外個体は思った。
知りたくない記憶だろうが、受け止めたくない感情だろうが、全てお構いなしに流れ込んでくる。
番外個体が例の記憶を『見た』のは、今日の日没前のことだった。
それ以来、彼女はすっかり塞ぎ込んでいる。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/04/21(木) 21:02:31.93 ID:JO1JEfB90
それでも、番外個体は家を出た。
行くあてなどはない。
ただ、一人の部屋にいたくなかっただけだ。
そして、体を動かしている方がマシだと思った。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/04/21(木) 21:03:04.35 ID:JO1JEfB90
学園都市の夜は早い。
ただでさえ人通りの少ない夜道を、番外個体は意図的に路地裏を選ぶようにして歩いていた。
容姿の美しい、若い女性が一人きりで。
何も知らない人間が見れば、どうぞ襲って下さいと言っているように見えただろう。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/04/21(木) 21:03:36.23 ID:JO1JEfB90
カツン、カツン。
少し離れた場所から、誰かの足音が聞こえてくる。
その音は一定の速度で近付いてきたかと思うと、番外個体の前で歩みを止めた。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/04/21(木) 21:04:11.57 ID:JO1JEfB90
「ね、立てる?」
そう言って、麦野は番外個体に手を差し伸べた。
その声は、何だか唐突なくらいに優しい響きをしている。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/04/21(木) 21:04:49.35 ID:JO1JEfB90
麦野のマンションまでは、ゆっくり歩いても五分ほどだった。
カツン、カツン、と一歩踏み出す毎に、鈍い頭痛が番外個体を襲う。
その痛みは、耐えられないというほどではないが、やはり本調子ではないことを思い知らされる。
12:1[saga sage]
2011/04/21(木) 21:05:32.69 ID:JO1JEfB90
以上で本日の投稿は終了です
次は一週間以内に来れれば…という程度のスローペースで参ります
よろしければお付き合いください
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