59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:04:17.60 ID:q45fnrXz0
急に、怖くなったんだ。忘れられるということが。
律の中にいる私が消える。楽しかったことも、悲しかったことも。
それはつまり、律にとって私は赤の他人となる、ということだ。
律に、律にとって私は存在しない人間となる。
60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:06:41.55 ID:q45fnrXz0
律に忘れられた3人と共に病室を訪れる。
今日は律にぴったりな黄色い花束を持ってきた。
澪「律ー、入るぞー!」
61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:08:09.09 ID:q45fnrXz0
律母「何言ってるの!?澪ちゃんよ、幼馴染みだったじゃない!」
律「え、分かんないよ。どうしたの、急に。何か怖いよ……」
泣きそうだった。でも律はもっと泣きそうだった。
62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:09:49.89 ID:q45fnrXz0
病院の隅らへんに来たとき、後ろから肩を叩かれる。
追いかけてきたムギだった。
紬「澪ちゃん、一緒に泣きましょ」
63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:12:33.29 ID:q45fnrXz0
それからの律の容態は日に日に悪くなっていった。
聡を忘れ、お父さんを忘れ、お母さんを忘れた。
そして同時に体の動かし方も忘れたようで、既に指先は動く気配を見せなかった。
64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:15:12.09 ID:q45fnrXz0
律の病気が進行する一方で、私は高校卒業を控えていた。
文化祭以来、軽音部として活動することもなくなった私たちは別々の道へ歩みだそうとしている。
唯は、音楽大学へ。
65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:17:00.78 ID:q45fnrXz0
そして私たちは卒業を迎えた。
唯「今日で高校生も終わりだねえ……ヒック」
66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:18:55.08 ID:q45fnrXz0
澪「失礼しまーす」
そうこう考えながら律の病室を開けた。
そして私たちは息を飲んだ。
だっておじさん達に囲まれた律は、久しぶりに制服を来てカチューシャをして……
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:21:55.76 ID:q45fnrXz0
律「ありがとうございます」
その瞬間、病室にたくさんの拍手が響いた。
私も無意識のうちに拍手をしている。
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:24:20.07 ID:q45fnrXz0
澪「律ー、入るぞー?」
あれから2年の月日が経とうとしている。
私はもう今年で二十歳になった。
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