807: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 17:54:45.06 ID:Wm3YHSc8o
本気でそう言っているとは思えない口調だった。周囲に立ち並んでいるはずの建造物は軒並み崩れている。
空爆でも受けたようなその一帯には、大勢の魔術師が力なく倒れていた。
その中でポツンと、白いフードで全身を覆ったいかにも怪しげな魔術師が佇んでいる。
808: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 17:56:26.78 ID:Wm3YHSc8o
息も絶え絶えに魔術師は敵意を向けてみせた。ただしその魔術師に目立った外傷は見当たらない。
額から血を流しているわけでもなく、手足がもげていたりもしない。
ただ圧倒的なクイトの力に気圧され、衰弱してしまったようにも見える。
809: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 17:57:20.11 ID:Wm3YHSc8o
音源不明の少女の声がクイトの耳に飛んできた。
その直後、大地を揺るがすほどの威力の閃光がクイトの体を屠らんと迸る。
遅れて発生したのは空気が震えるほどの轟音と、一瞬で酸素を奪い去る強大な爆発。
810: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 18:00:06.26 ID:Wm3YHSc8o
「本当に『黄金』系までロシアに来ていたとは、タイミングが悪すぎるぞ。
私も元々運が無い方だが、とうとう"神"に見放されてしまったか?」
811: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 18:00:51.41 ID:Wm3YHSc8o
黒い長髪をポニーテールでまとめたイギリス清教の聖人、神裂火織はこめかみをひくつかせながら
腰に差している七天七刀に手をかける。
対する金髪の少女、レイヴィニア=バードウェイは大人をからかう子供のような悪意ある笑みを見せていた。
812: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 18:01:42.66 ID:Wm3YHSc8o
「『明け色の陽射し』のレイヴィニア嬢、イギリス清教の聖人神裂火織、
『殲滅白書』のワシリーサにサーシャ=クロイツェフ…………素晴らしい。
そして恐縮だ。 わざわざ私を捕らえるためだけにこのような面子を?」
813: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 18:02:46.08 ID:Wm3YHSc8o
「君達に降伏するか、君達と戦うか。 そして"君達の事など構わず、私が私の目的を成すか"。
そうだろう? わざわざ捕まる気もないし、戦うつもりもない」
814: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 18:03:35.98 ID:Wm3YHSc8o
「だぁーって、あんな可愛い子の貞操がピンチだなんて聞いたら私、我慢出来ないわよ」
「第三の私見ですが、これ以上雰囲気をぶち壊しにするような事を言わないでください」
815: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 18:04:45.55 ID:Wm3YHSc8o
一気に空気が変わった。びりびりと、空気そのものが緊張と恐怖で震えるように。
レイヴィニアも神裂も、さっきまでくだらない内容で口論していたサーシャとワシリーサも、
後続に控える大勢の魔術師も、完全に戦闘モードに移行し矢のように鋭い視線をクイトに向ける。
816: ◆3dKAx7itpI[saga]
2011/07/03(日) 18:07:11.28 ID:Wm3YHSc8o
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