過去ログ - かがみ達は深い霧に囚われたようです
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/07/18(月) 05:30:48.55 ID:TBBAKQJ7o
車は走る。
現在時刻は13:10。
車には、私と日下部と峰岸の3人が乗っている。
女子3人寄ればなんとやらとは言うけど、ごたぶんに漏れずこの車内もやっぱりかしましい。
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2011/07/18(月) 05:32:31.16 ID:TBBAKQJ7o
となると私はなんだろう?
やっぱり二人の保護者?
でも私のカッコもボーダーカットソーにショーパンレギンス、ミュールとかだし……
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2011/07/18(月) 05:34:13.35 ID:TBBAKQJ7o
まいった。
大学の友人にも指摘されたのだが、どうやら私は考え事の最中に独り言をつぶやく癖があるらしい。
よりにもよって日下部に聞かれるなんて、一生の不覚。
しどろもどろになって言い訳を考えていると、思いがけず助け舟が渡されてきた。
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2011/07/18(月) 05:36:00.55 ID:TBBAKQJ7o
悪路から解放され広く整った道路を十数分走り、
巨大な骨組みで構成された塔の足下に車を停めると、私は全身を目一杯伸ばした。
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2011/07/18(月) 05:37:07.67 ID:TBBAKQJ7o
「柊ちゃん」
振り返えれば差し出されるペットボトル2本。
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2011/07/18(月) 05:38:39.30 ID:TBBAKQJ7o
「峰岸、悪いんだけどそっちの水ちょっともらえない?」
「あれ、柊ちゃん100パージュースだめだったっけ?」
彼女は心底意外そうな顔を見せながら、ミネラルウォーターのボトルキャップを閉めて差し出してくれる。
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2011/07/18(月) 05:40:24.38 ID:TBBAKQJ7o
「……そんじゃ日下部もいないところで真面目な相談なんだけど、峰岸はこれどう思う?」
と、つとめて明るい調子で呼びかける。
そう、私達はなかなかの難問を目の前にしていた。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/07/18(月) 05:41:50.89 ID:TBBAKQJ7o
「山奥だとこんなこともあるのかなあ……」
峰岸はおっかなびっくり手を霧に差し出す。
私もそれに倣って右手を伸ばすが、腕が丸ごと呑み込まれていくような感覚に慌てて手を引っ込めた。
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2011/07/18(月) 05:43:18.52 ID:TBBAKQJ7o
私は水を一口含んで一息に飲み込んだ。
口ぶりからすると峰岸はこの霧に少なからず不安を持っているようだし、それは私も同じだった。
正直に言えば、このまま旅行を止めてすぐに帰りたいとさえ心のどこかで考えている。
なぜかはわからないけど、あの霧に触れた瞬間にそう思った。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/07/18(月) 05:44:25.47 ID:TBBAKQJ7o
その風は冬より冷たく、私の体温を奪い去る。
肩を抱いて、目を閉じて歯を食いしばって寒気を堪える。
風は周囲の音や色を吹き飛ばし、世界を真っ白く染め上げた。
そして霧の中からは再びあの視線が矢のように飛んでくる。
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