34:1[sage]
2011/10/19(水) 23:57:52.00 ID:LfZrfi6K0
 「!?」 
  
 予期せぬ方角から声を掛けられ、美琴と初春は留め金の外れたバネ細工の如き勢いで振り返った。 
  
 その先にいたのは、涙子と共に路地へ入って行ったはずの、ダークブラウンの髪のツンツン頭。 
35:1[sage]
2011/10/20(木) 00:08:35.22 ID:rMXBfplB0
 本日の投下はこれで終了となります 
 お付き合いありがとうございました 
36:1[sage]
2011/10/22(土) 04:37:28.25 ID:R0SN1dWm0
 「……ふぅ」 
  
 短く溜息を吐いて、白井黒子は凝視していたPCモニターから目を離した。 
  
 鼻根を指でつまんでマッサージし、背凭れに深くその身を預けると、キシリと椅子の軋む音がする。 
37:1[sage]
2011/10/22(土) 04:38:53.33 ID:R0SN1dWm0
 「あんまり根を詰め過ぎると、気付く物も見落としてしまうわよ」 
  
 デスクの上にホットコーヒーの入ったマグカップが置かれ、黒子は視線を上げて何時の間にか傍らに立っていた少女の姿を見上げる。 
  
 「固法先輩……」 
38:1[sage]
2011/10/22(土) 04:40:24.52 ID:R0SN1dWm0
 虚空爆破事件。 
  
 アルミを基点に重力子を加速させ放出することでアルミを爆弾に変える。 
  
 そんな能力を使用していると思われる事件は、現場から回収されている遺留品の多さに反し、解決の糸口はおろか一歩の進展さえ見えていなかった。 
39:1[sage]
2011/10/22(土) 04:42:38.71 ID:R0SN1dWm0
 画像を切り替えていく内に、黒子の表情が一層険しくなる。 
  
 そこに映っているのは物ではなく、人。 
  
 この事件での負傷者達の姿であった。 
40:1[sage]
2011/10/22(土) 04:44:18.48 ID:R0SN1dWm0
 「……幾らなんでも多過ぎると思いませんか?」 
  
 「言われてみれば……」 
  
 言われて固法もはたと気付いた。 
41:1[sage]
2011/10/22(土) 05:36:23.54 ID:R0SN1dWm0
 「爆弾魔ぁ?」 
  
 通りを歩きながら、トレインは初春の言葉に大仰なリアクションを取って見せた。 
  
 周囲にいた何人かが何事かと振り返るが、多くは気にする事も無くトレインの言葉は往来に紛れて消える。 
42:1[sage]
2011/10/22(土) 05:37:19.97 ID:R0SN1dWm0
 適当にはぐらかされた先の路地での一件が、未だにその心に引っ掛かっている。 
  
 「どうかしたんですか?」 
  
  怪訝そうな顔をしている美琴に涙子が話し掛けた。 
43:1[sage]
2011/10/22(土) 05:39:50.07 ID:R0SN1dWm0
 「Seventh mist」と書かれた看板を掲げるその店舗は、そうしている間にも何人もの人間が出入りしその賑わいを伝えていた。 
  
 「あんまりキョロキョロしないでよ、恥ずかしいから」 
  
 美琴は子供の様な無邪気な顔で物珍しそうに周囲を見回すトレインの腕を掴み、引きずるように建物の中へと入って行く。 
44:1[sage]
2011/10/22(土) 05:42:52.95 ID:R0SN1dWm0
 「へぇ、こいつが本場の『ユカタ』って奴か」 
  
 心無しか、先程までと比べて若干声のトーンが落ちたトレインがその一角へと近付く 
  
 落ち着いた紺色に派手さを抑えた模様の男性用と、打って変わってピンクを基調に、黄色の花柄が散りばめられた華やかな色合いの女性用が、どうやら今年の流行らしかった。 
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