38:1[sage]
2011/10/22(土) 04:40:24.52 ID:R0SN1dWm0
 虚空爆破事件。 
  
 アルミを基点に重力子を加速させ放出することでアルミを爆弾に変える。 
  
 そんな能力を使用していると思われる事件は、現場から回収されている遺留品の多さに反し、解決の糸口はおろか一歩の進展さえ見えていなかった。 
39:1[sage]
2011/10/22(土) 04:42:38.71 ID:R0SN1dWm0
 画像を切り替えていく内に、黒子の表情が一層険しくなる。 
  
 そこに映っているのは物ではなく、人。 
  
 この事件での負傷者達の姿であった。 
40:1[sage]
2011/10/22(土) 04:44:18.48 ID:R0SN1dWm0
 「……幾らなんでも多過ぎると思いませんか?」 
  
 「言われてみれば……」 
  
 言われて固法もはたと気付いた。 
41:1[sage]
2011/10/22(土) 05:36:23.54 ID:R0SN1dWm0
 「爆弾魔ぁ?」 
  
 通りを歩きながら、トレインは初春の言葉に大仰なリアクションを取って見せた。 
  
 周囲にいた何人かが何事かと振り返るが、多くは気にする事も無くトレインの言葉は往来に紛れて消える。 
42:1[sage]
2011/10/22(土) 05:37:19.97 ID:R0SN1dWm0
 適当にはぐらかされた先の路地での一件が、未だにその心に引っ掛かっている。 
  
 「どうかしたんですか?」 
  
  怪訝そうな顔をしている美琴に涙子が話し掛けた。 
43:1[sage]
2011/10/22(土) 05:39:50.07 ID:R0SN1dWm0
 「Seventh mist」と書かれた看板を掲げるその店舗は、そうしている間にも何人もの人間が出入りしその賑わいを伝えていた。 
  
 「あんまりキョロキョロしないでよ、恥ずかしいから」 
  
 美琴は子供の様な無邪気な顔で物珍しそうに周囲を見回すトレインの腕を掴み、引きずるように建物の中へと入って行く。 
44:1[sage]
2011/10/22(土) 05:42:52.95 ID:R0SN1dWm0
 「へぇ、こいつが本場の『ユカタ』って奴か」 
  
 心無しか、先程までと比べて若干声のトーンが落ちたトレインがその一角へと近付く 
  
 落ち着いた紺色に派手さを抑えた模様の男性用と、打って変わってピンクを基調に、黄色の花柄が散りばめられた華やかな色合いの女性用が、どうやら今年の流行らしかった。 
45:1[sage]
2011/10/22(土) 05:43:48.98 ID:R0SN1dWm0
 聞いただけで携帯電話の着信メロディだと分かるその音楽に、美琴、初春、涙子の三人が互いを見合う。 
  
 一拍置いて、その着信音が自分の携帯電話からだと気付いた初春が慌てた様子で制服のポケットから携帯を取り出し、画面に映る相手の名前を一瞥してスピーカーを耳に当てた。 
  
 「もしも――――」 
46:1[sage]
2011/10/22(土) 05:57:23.10 ID:R0SN1dWm0
 「皆さん、落ち着いて聞いて下さい。たった今、この建物内で重力子が観測されました」 
  
 その言葉の意味を悟った涙子と美琴の表情が驚きに染まった。 
  
 「……さっき言ってたヤツか。どこにあるかは分からないのか?」 
47:1[sage]
2011/10/22(土) 05:57:50.74 ID:R0SN1dWm0
 「んー……」 
  
 重苦しい空気を孕んだ時間が過ぎる中、妙に間延びした声がそれを打ち破った。 
  
 声の主であるトレインは三人の少女の注目を一身に受けながら、リラックスした様子で人気の無い通路の奥へと歩いて行く。 
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)[sage]
2011/10/22(土) 12:02:58.58 ID:7pBS5efAO
 面白い 期待 
167Res/100.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。