171:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:29:00.20 ID:veqilnkN0
汀はそれより一瞬早く地面を転がり避けると、男の子に駆け寄り、殴りつけた。
彼はそれを軽くいなして、銃口を汀の頭に向けようとする。
何度か、その応酬が繰り広げられ、今度は汀が男の子の頭を殴りつけ、後ろ蹴りを彼の腹に叩き込んだ。
地面に叩きつけられた少年は、しかし笑いながら、弾倉を回して銃の引き金を引いた。
172:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:29:29.23 ID:veqilnkN0
銃声がして、男の子の眉間を弾が貫通した。
崩れ落ちた男の子を蹴り飛ばし、汀は荒く息をつきながら立ち上がった。
小白が駆け寄り、よろめいた彼女を支える。
「凄い……精神世界で、あれだけ動けるなんて……」
173:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:30:24.59 ID:veqilnkN0
*
「あーあ、負けちゃった」
雑然とした部屋の中、マスク型ヘッドセットをむしりとり、少年……ナンバーXは悔しそうに口を開いた。
174:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:34:13.62 ID:veqilnkN0
「いいか、よく聞けよ」
女医はナンバーXの頭を掴んで、自分の方に向かせた。
「お前をあそこから助けてやったのは、こうやって好き勝手暴れさせるためじゃない。私達の『理想』を実現するための駒として、お前を『使ってやろう』って考えの下、手間隙かけて助けてやったんだ。お前、何か勘違いしてるんじゃないだろうな」
175:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:35:06.90 ID:veqilnkN0
*
びっくりドンキーの店内で、汀はぼんやりとした表情のまま、チビチビとメリーゴーランドのパフェを口に運んでいた。
その前でステーキを切りながら、圭介が口を開く。
176:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:35:49.60 ID:veqilnkN0
「こ……こんにちは」
どもりながら、頭を下げる女の子。
理緒だった。
病院服ではなく、今時の可愛い女の子の服を着ている。
177:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:36:27.58 ID:veqilnkN0
「はい! 命を助けてもらいました。私、どうしてもお礼が言いたくて」
「言ってくれれば、こっちから出向いたものを」
「そんな……こちらからご挨拶に伺うのが、礼儀というものですよ」
178:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:37:58.60 ID:veqilnkN0
第5話はこれでお仕舞いです。
第6話に続かせていただきます。
また、時間がありましたら投稿させていただきます。
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