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2011/11/24(木) 01:59:03.62 ID:uFOG1DQZo
首輪がないところを見れば、野良猫だろう。尻尾のない、白い猫だった。元々尻尾のな
い種なのか、路上生活の末に千切れてしまったのか、それはわからない。白い猫――見方
によっては銀色のようにも見えるが、しかし、どちらにしたって、自身の血の色に染まっ
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2011/11/24(木) 01:59:30.99 ID:uFOG1DQZo
005
翌日。
つまり四月三十日。
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2011/11/24(木) 02:00:10.47 ID:uFOG1DQZo
では眠気を押してどこに向かおうとしているのかと言うと、それは町のはずれにある廃
墟、かつては学習塾だったという廃ビルである。肝試しにだって使用されないだろうとい
う崩壊寸前の建築物だ。……まあ、真夜中にそんな場所に足を向けているというのは、決
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2011/11/24(木) 02:00:43.92 ID:uFOG1DQZo
肝試しにだって使用されないだろうといったものの、実際、こうやって夜中に侵入して
みると、勝って知ったる他人の廃墟と言えど、そこそこ背筋の冷えるものはある――まして。
ましてこの廃墟の中には、本物のお化けがいるというのだから――尚更だ。
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2011/11/24(木) 02:02:23.30 ID:uFOG1DQZo
いつも通りの一人言。
いつも通りの独り事。
「戯言だ」
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2011/11/24(木) 02:02:54.96 ID:uFOG1DQZo
「…………」
「…………」
「…………」
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2011/11/24(木) 02:03:22.49 ID:uFOG1DQZo
そう、成れの果てといっても、彼女は吸血鬼、食事といえば、――吸血である。
僕は彼女の小さな体躯に腕を回し、強引に持ち上げるようにしながら、僕は彼女の口を
僕の首筋へと導く。まるで抱き合うように。存在していることを、確かめるように。
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2011/11/24(木) 02:03:55.74 ID:uFOG1DQZo
「……あれ?」
と言ったところで。
今日に限って、彼女が僕の首筋に噛み付いてこないことに気付く――抱擁しあうような
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2011/11/24(木) 02:04:28.32 ID:uFOG1DQZo
違った。
見てみれば――吸血鬼幼女の視線を追ってみれば。
彼女は僕の首筋など見てはおらず。
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2011/11/24(木) 02:05:12.82 ID:uFOG1DQZo
彼女は『僕の血』よりも確実に、『ドーナツ』に魅せられていた。
大事な栄養源よりも、ただの嗜好品に魅せられていた。
さっきまで僕を睨みつけていたその視線は、今、甘い香りのする箱の方へと向けられて
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