165:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 00:22:38.08 ID:VImMrTW10
「学園都市に在住する、とある一般教師二十七歳の戸籍謄本、だぜい。名前に覚えは
……あるわけないか。お前は別に“彼ら”の先生でもなんでもなかったんだからな」
166:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 00:25:45.94 ID:VImMrTW10
小器用に一回転させて差し出したのは、ロンドンと学園都市を結ぶ通信用の術式。
七月十五日にステイルとフィアンマが作戦伝達に使用した一品だった。
167:>>1 ◆weh0ormOQI[saga]
2011/12/31(土) 00:26:47.31 ID:VImMrTW10
一同が気を遣って耳を塞ぐまでもなく、再会は一瞬で終わった。
十秒もしないうちに、鮮やかなカード捌きで“受話器”がステイルへと投げ返された。
168:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 00:27:37.57 ID:VImMrTW10
インデックスにしても、『禁書目録』の犠牲者を掬いあげることに異存あるはずもない。
錆付いたように動いてくれない面を無理矢理上げて、インデックスはアウレオルスへの
贖罪を果たすべく声の震えを押し殺す。
169:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 00:28:40.21 ID:VImMrTW10
思わず押し黙る。
アウレオルスの冷徹な正論には、その縁の下に女への細かな心遣いが確かにあった。
いまのインデックスは、ステイルと他の男性を同じ秤にかける方法を知っている。
170:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 00:30:20.14 ID:VImMrTW10
そう、誰にも反論などあるはずがない。
ただ――――
171:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 00:31:08.07 ID:VImMrTW10
「欲しいものは欲しい、嫌なものは嫌だ。そんな簡単なことが言えずに散々苦しんだ
馬鹿な奴らを、お前だってついさっき見たんじゃないのか」
172:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 00:33:38.58 ID:VImMrTW10
「それだけか」
「あ、と…………あなたが、あいさに、その……手伝ってもらって、十年前、私を」
173:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 00:34:11.36 ID:VImMrTW10
教師。
教師と、生徒。
口の中でもごもごと二つの単語を咀嚼する。
174:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 00:35:50.44 ID:VImMrTW10
女はアウレオルスに視線を戻す。
理知的な緑髪の直下にある双眸は、少し目を離した隙に瞼の裏に隠れてしまっていた。
次にその瞳が女の視線とかち合うのは、自分が答えを返した後のことになるのだろうと
175:>>1 ◆weh0ormOQI[saga sage]
2011/12/31(土) 00:36:26.71 ID:VImMrTW10
ついさっき会得した“やり方”を、試してみることにした。
理屈も感情も景色の彼方に置き去りにして、本当に欲しいものを絞り出す“やり方”。
長く長く息を吐いた。
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