296:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/12(日) 20:20:42.56 ID:z5UY+Nzb0
まさか反抗されるとは思っていなかったのだろう。
ルケンは反応が出来ずに、呆然と……自分に向けて包丁を振り上げたカランを見上げていた。
おとなしく、鈍く。
そしてどうしようもなく弱かった女性の姿ではなかった。
297:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/12(日) 20:21:12.52 ID:z5UY+Nzb0
カランの目は血走っていた。
彼女は思わず包丁を肩に刺したまま後ろ向きに倒れこんだルケンに向かって、拳を振り上げていた。
泣きながら、震えながら。
それを振り下ろそうとした時、止めたのはゼマルディだった。血を口の端から垂れ流しながら瞳をカランに向け、何とか立ち上がり……そして彼女の髪を鷲掴みにして引き寄せたのだ。
ルケンが包丁を抜き取り、噴き出る自分の血を何とか押さえようとする。ゼマルディはそれを一瞥し、何かを喚いているカランを片手で羽交い絞めにしたまま、背後の壁に唾を吐きかけた。それを何度も繰り返し、一部に向かって頭から飛び込む。
298:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/12(日) 20:22:45.01 ID:z5UY+Nzb0
お疲れ様でした。第10話に続かせていただきますm(_ _)m
詳しいご案内は>>173でさせていただいています。
お時間がありましたら、ご一読いただけますと嬉しいです。
299:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/02/13(月) 00:28:23.42 ID:y2fnBOi2o
乙
300:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/13(月) 20:15:44.57 ID:3SORN3Q00
ご支援ありがとうございます(人´ω`)
ご意見やご質問などありましたら、ツイッターなどで是非コンタクトをくださいね。
小躍りします。
301:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/13(月) 20:18:28.32 ID:3SORN3Q00
10 リセット
今日も、その家に帰る。
ゼマルディはいつも決まった時間に決まったアパートのドアを開ける。
ベッドの上には上半身を起こして外を見ている妻の姿があった。
302:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/13(月) 20:19:06.06 ID:3SORN3Q00
「あぁ、マルディの親戚の人? 誰でしたっけ……」
「バカ、俺がマルディだ」
「あら? そうだったかしら……」
303:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/13(月) 20:19:58.28 ID:3SORN3Q00
「ありがとう。高かったでしょ?」
「いーんだよ。金は全部ドクが出してくれるからさ」
「ドク? 誰だっけ?」
304:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/13(月) 20:20:46.04 ID:3SORN3Q00
濁った左目でカランを一瞥し。水道を回して茶色く濁った水でリンゴを洗う。それをふきんで丹念に拭いてから、彼はベッドに近づき、妻の手にそれを握らせた。
「ほら」
「何、これ?」
305:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/13(月) 20:21:13.63 ID:3SORN3Q00
「美味しいねぇ」
「後で飯作ってやるから、少し待ってろな」
「うん」
306:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/13(月) 20:21:40.21 ID:3SORN3Q00
逃げる途中で、よりにもよってルケンに投げつけられた肉切り包丁が、彼女の大腿骨を貫通して神経を切り離してしまったのだ。
初期治療の遅さが致命的になった。
もぞもぞと毛布の下で足を動かしたカランの股間に手を当て、慌ててそれを止める。
「どうした、トイレか?」
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