472:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:57:22.58 ID:rIc6JsyG0
*
警備員に周囲を固められた、自身の部屋に駆け込み、愛寡は息を切らしながら扉に鍵をかけた。
その影がざわめいて、爪を片手で抱えた功刀が競りあがってくる。
彼はソファーに、両手両足をワイヤーで縛りつけた爪を放り投げてから、息をついて壁にもたれかかった。
473:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:57:51.89 ID:rIc6JsyG0
しばらく沈黙してから、功刀は軽く息を吐いた。
「小姉サンが、殺されマシタ」
端的に呟かれたその言葉を聞いて、愛寡は発しかけていた言葉を飲み込んだ。
474:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:58:23.06 ID:rIc6JsyG0
「嘘! 冗談言って! 誰に? 何で? まだ、私達寿命には……!」
「殺されマシタ。体ニは無数ノ弾痕ガアッタ。ソレニ、『レ・ダード』の起動ヲ、俺は感知シました。オソラク、エリクシアの残党デス」
「『レ・ダード』……そんな……」
475:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:58:57.95 ID:rIc6JsyG0
「嘘! だって……!」
愛寡が甲高い声でそれを遮る。
彼女は過呼吸気味になりながら、胸を押さえた。
功刀が愛寡を支え、背中をさすってやりながら椅子に腰を下ろさせる。
476:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 18:59:35.85 ID:rIc6JsyG0
「そ、それは……」
「魔法兵器ハ、見つけ次第処分、ト決めたハズだ。その惨状ガ、コレだ」
功刀が視線を動かすと、愛寡の部屋に設置されていた巨大なテレビに、ひとりでに電源がつく。
477:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:00:22.33 ID:rIc6JsyG0
「お……怒らない。怒らないで……」
「怒ってマセン。ただ、不愉快ナだけダ」
「この子、優しい子。本当は、優しい子だから。だから、私……」
478:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:00:59.52 ID:rIc6JsyG0
*
「……それじゃ、更紗姉様は……」
「確実に、死にマシタ。俺ノ言葉ニ嘘はアリマせん」
479:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:01:30.22 ID:rIc6JsyG0
「……俺達の中ニ、裏切り者ガイマス」
その断固とした口調に、愛寡は顔を上げ、そして唾を飲み込んだ。
「裏切り……者?」
480:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:01:56.72 ID:rIc6JsyG0
「どうして? どうしてそう思うの?」
「直感デス。そして、俺ノ直感ハ外れたコトがない」
「私が、やったと……?」
481:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:02:22.39 ID:rIc6JsyG0
「分かりマセン。ただ、コレだけは言える」
功刀は押し殺した声で言った。
「俺達モ危険ダ」
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