494:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:10:25.91 ID:rIc6JsyG0
上を見ると、ドームの内面に、大小さまざまな光が投影されているところだった。
「わぁ」
小さく感嘆符を口に出し、フィルレインは口をポカンと開けた。
495:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:11:08.01 ID:rIc6JsyG0
「昔は、ドームの天井じゃなくて、本当の空に、星があった」
「本当の空?」
またフィルレインが首を傾げる。
496:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:11:33.51 ID:rIc6JsyG0
「あれは? あの、凄く大きいの」
「月だ」
「月?」
497:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:12:03.15 ID:rIc6JsyG0
「今は、あるのかな」
「ないよ」
彼は端的にそう言って、きょとんとした彼女の頭を撫でた。
498:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:12:32.39 ID:rIc6JsyG0
「よく弟達が、人間はゴキブリのようだと言うが、俺は違うと思うんだ」
不意に、泉がそう言った。
「違うの?」
499:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:13:31.75 ID:rIc6JsyG0
*
虹は、ガンガンと痛む頭を手で抑え、そしてよろめきながらハンモックから降りようとして失敗し、ゴロリと床に転がった。
(あの子の……フィルレインの記憶……どうして、夢の中にまで……)
500:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:14:02.48 ID:rIc6JsyG0
しばらく頭を抑えて、彼女は首を振って痛みを振り飛ばし、周りを見た。
電気は消えていて、里が先ほどのガゼルと同じように待機モードになって座っている。
その隣のベッドに、燐が眠っていた。
『…………』
501:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:14:35.09 ID:rIc6JsyG0
『……どうしたの?』
『何でもない』
『俺らの間に隠し事はないだろ? 何か悩みがあるなら、聞くよ』
502:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:15:01.92 ID:rIc6JsyG0
『…………君の人格が安定してきた反動で、フィルレインの人格が何か、こう腐敗してきてるのかもしれない。あまりいい傾向ではないね』
『どうすればいい?』
『…………』
503:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:15:32.97 ID:rIc6JsyG0
『あの餓鬼は魔法を使った?』
問いかけられ、ガゼルはない首を振った。
『いや……ただ、本人も首筋の核の存在には気付いてるみたいだ。本当に、あの子は更紗の眷属なのかい?』
504:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:16:14.48 ID:rIc6JsyG0
そしてガゼルの上にまたがり、ハンドルを握る。
『外に出れる?』
『出れるよ。今ハッチを閉める』
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