521:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:12:35.54 ID:PLPcklEN0
*
人が行きかう街中で、ポケットに手を突っ込んだ黒服の男が歩いていた。
巨大な身長は、嫌でも人目を引く。
522:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:16:42.35 ID:PLPcklEN0
赤子……人間の子供、それも胎児……手の平サイズのそれが、パリパリに焼かれて皿に載っている。
焼かれる過程で破裂したのか、眼球が飛び出していた。
それにナイフとフォークを入れ、口に運んでから、功刀はコーヒーをグビリと飲んだ。
523:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:18:31.07 ID:PLPcklEN0
甲高い少年の声だった。
「お腹、すいたな。すいたの。このままじゃ、私達、暴走しちゃいそう、しちゃいそうなの」
今度は、柔らかい女の子の声がする。
524:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:19:07.93 ID:PLPcklEN0
今の時間は、特にカップルが多い。
皆、談笑しながら楽しんでいる。
人食を。
525:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:19:44.60 ID:PLPcklEN0
それは、図らずも、昔兄が描いていた理想郷にほぼ近く。
魔法使いにとって、理想的な環境。
いや、魔法使いにとっては、夢である環境が展開していた。
526:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:20:18.22 ID:PLPcklEN0
しかし、魔法を使えるのは、ほんの一握りのようだ。
その証拠に、魔法使い特有の気を感じない。
いわゆる、半魔法使い。
527:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:20:47.20 ID:PLPcklEN0
「何がおかしいの? ねぇ何がおかしいの?」
「何か面白かった? 料理はおいしいわ。ええ、おいしい」
続けてアルビノの猫、シェンダアンスが言う。
528:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:21:15.47 ID:PLPcklEN0
「どうシタ?」
功刀が呼びかけるも、二匹は頭上を見上げて停止している。
やがて、アートナーが髭を揺らしながら口を開いた。
529:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:21:44.68 ID:PLPcklEN0
「どうなのカト、聞いテル」
「くさいくさい。女の子だね。でも、腐ってる腐ってる」
「あぁくさい。功刀、見られてる。見られてるわ。あぁやだ、本当やだ」
530:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/19(日) 16:25:22.65 ID:PLPcklEN0
「うん、うん」
「ええ、ええ」
「お前ら、先に行け。俺は少し片付けなければいけない用事がある」
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