過去ログ - 少女「ずっと、愛してる」
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589:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:01:29.34 ID:WO2eriwB0
「離れろルケン! 聖上から離れろ!」

浮屋が、彼に右手を向けて怒鳴る。

「聖上、先ほどの街での事故は、こやつが引き起こしたことであることが判明しました。即刻捕縛します」
以下略



590:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:02:09.98 ID:WO2eriwB0
それが、致命的だった。

瞳を真っ赤に発光させた爪が、ゆらりと立ち上がって浮屋を睨む。

「レルレラル・オレアス・ラルラレロレラルヲ(俺に鉄を向けるか、下賎な民め)」
以下略



591:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:03:00.20 ID:WO2eriwB0
一拍遅れて、爪に銃を向けていた警備員全員が、
まるで列車に轢かれたかのように後方に向かって吹き飛んだ。

浮屋の体も浮き上がり、そして壁に激突する寸前。

以下略



592:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:03:58.36 ID:WO2eriwB0
窓ガラスにぶち当たりかけていた警備員達が、ドサドサと鈍重な音を立てて床に崩れ落ちる。

ルケンが振り下ろしかけていた手は、浮屋を庇うように立っていた愛寡の顔面寸前で止まっていた。

「師匠……」
以下略



593:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:04:38.00 ID:WO2eriwB0
彼らを瞳孔が拡散した赤い瞳で見回し、愛寡は呟くように言った。

「爪は、不問。だけど、次はないわ。いいわね?」

その重い響きに、浮屋が起き上がり、そして深く息をついて、何かを言いかけた。
以下略



594:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:05:22.55 ID:WO2eriwB0
「師匠……はたいた。俺、はたかれた……?」

呆然として呟く。

次いで、爪は小刻みに震え始めた。
以下略



595:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:05:56.00 ID:WO2eriwB0
「…………」

「怒られるだけ、幸せ。そう思いなさい」

「俺……嫌われた? 俺、我侭言った。嫌われたか?」
以下略



596:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:08:59.39 ID:WO2eriwB0


手を伸ばした。
その手は空を切り、そして虚しく中空を掻いた。

以下略



597:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:09:26.21 ID:WO2eriwB0
「絵空事だよ、馬鹿め」

絵空事を信じる全ての人間よ、呪われてしまえ。
絵空事に甘んじる全ての人間よ、死んでしまえ。

以下略



598:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:10:04.83 ID:WO2eriwB0
手を伸ばした。
その手は暗黒を掴んで、そして手繰り寄せた。

暗黒には、異常なほど質感も重さもなく、ただひたすらに、それは黒かった。

以下略



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