627:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:51:01.32 ID:mkVHEDB80
問いかけられ、彼女は笑ってそれに答えた。
「何でもありません。風邪をこじらせたのでしょう。
寝ていれば良くなります」
628:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:51:42.91 ID:mkVHEDB80
(ガゼルさんがいれば……)
前に、虹の看病をしたときに、
同様のものを彼女の体に見たことがあった。
629:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:52:16.80 ID:mkVHEDB80
「水が飲みたい……」
そう言った燐に頷いて、里は水差しを手に取り
……そして停止した。
630:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:52:59.76 ID:mkVHEDB80
「きゃあ!」
悲鳴を上げた主人から慌てて水差しを遠ざけ、里はタオルをとって、
水を真っ向から被ってしまった燐を拭こうとした。
631:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:53:41.17 ID:mkVHEDB80
燐は、指先で、回転している水をつついた。
何の力で支えられているのか、
球形になったそれが渦を描いて燐の周りを回っている。
632:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:54:59.31 ID:mkVHEDB80
燐は無理やりに体を起こすと、
里を引き倒してトレーラーハウスの中に転がり込んだ。
今まで彼女達がいた場所を、一拍後、
熱線のような赤い光が通り過ぎた。
633:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:55:45.49 ID:mkVHEDB80
その火の中、燐は呆然と座り込んでいた。
耳鳴りがして、よく音が聞こえない。
彼女の首筋の核は、凄まじい光を発していた。
634:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:56:31.11 ID:mkVHEDB80
その先には、巨大な小山のような物体が鎮座していた。
キュラキュラとキャタピラの音がする。
肩には、レーザーの発射台がついている。
635:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:57:29.80 ID:mkVHEDB80
普通であれば、当たった瞬間に蒸発してしまうような、
高密度の熱線を受け、しかし燐はひるむことなく右手を突き出した。
ドパンッ! ドパンッ! と鈍い音がして、
まるで水鉄砲を防いだかのように、周囲に熱線が飛び散る。
636:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/21(火) 16:58:10.47 ID:mkVHEDB80
「お嬢様!」
燐の周りをたゆたっていた水が、
バシャァ! と支えを失って崩れ落ちた。
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