過去ログ - 少女「それは儚く消える雪のように」
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31:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:42:40.95 ID:WO2eriwB0
しばらく二人の間を沈黙が包む。
その空気を読めないのか、愛だけは嬉しそうにアイスクリームを口に運んでいた。
「……長いな、今回は前よりも」
32:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:46:04.87 ID:WO2eriwB0
淡々と彼は続けた。
その言葉の意味。
重すぎる言葉。
33:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:46:55.61 ID:WO2eriwB0
*
彼女達は、バーリェと呼ばれる。
専門用語をもじったもので、元の意味は「弾丸」だ。
34:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:47:49.64 ID:WO2eriwB0
絆や絃達が所属している組織は、
軍の中央組織の中でも相当異例なモノとして存在していた。
主に、対死星獣戦闘に関して運用されるエフェッサーという組織である。
35:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:50:06.62 ID:WO2eriwB0
武器の効かない化け物に対し、たった一つだけ効果的な武装があったのだ。
それは、人間の命だった。
人の生体エネルギーに触れると、死星獣は一時的に活動を停止させる。
36:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:50:44.95 ID:WO2eriwB0
バーリェには寿命がある。
工場で製造され、出荷された弾丸たちは既に年頃の子供の外見をし、
人工プログラムによる学習を終えている。
37:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:51:26.22 ID:WO2eriwB0
*
窓から吹き込む澄んだ風を受けて、絆は大きく息をついた。
やたらと広い病室の隅に置かれたベッド。
38:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:51:59.79 ID:WO2eriwB0
「あの子の名前、何と言いましたか?」
聞かれたことに、意外そうに青年は視線を彼女に向けた。
「型番ですか?」
39:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:53:02.53 ID:WO2eriwB0
「変だとは思いませんよ。
あなたみたいにバーリェに対して一生懸命なトレーナーさんは久しぶりに見るもので」
軽く微笑して、看護婦は眠っている少女の方を向いた。
40:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:55:29.11 ID:WO2eriwB0
「おかしな話をしてしまいましたね。
この子、検査が終わり次第連れて帰っていただいて大丈夫らしいので、
今日の午後中にはそちらのラボに送れると思います」
「色々とどうも」
41:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 21:56:12.19 ID:WO2eriwB0
「おい、雪。起きてるか?」
静かに問いかけても答えはない。
もう一度額をつつくと、僅かに呻き声をあげて少女が目を開けた。
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