554:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:41:52.89 ID:Fz6z8l7g0
打ち止めは半月ほど入院することになった。その間、一方通行は毎日足繁く病院に通い、
ほとんどの時を一緒に過ごした。打ち止めが妊娠してからは遠方に出向く仕事は入れないようにしておいたし、
「仕事はいいの?」と口を尖らせる打ち止めを軽くいなして、妻と息子にべったりくっつく。
555:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:44:17.77 ID:Fz6z8l7g0
家に帰れば落ちつけるかというとそうでもなく、昼夜を問わない赤ん坊の世話は、新米夫婦を疲弊させた。
今までは看護師や病院の妹達がさりげなく手助けしてくれたことが、どれほどありがたいことだったのかと感謝した打ち止めであった。
病院では「本当に泣かなくて手のかからない赤ちゃんね」と褒められていたが、
556:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:48:02.40 ID:Fz6z8l7g0
煌々と光る照明などものともせず眠る打ち止めの目の下には、隈が出来ている。
一方通行もいつまでも仕事をおざなりにするわけにはいかないので、最近は事務所に出掛けて家を開けることが多い。
慣れない初めての子育てに、この若い母親はすっかり疲れていた。出来る限り育児、家事を手伝う一方通行だったが、
557:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:50:05.97 ID:Fz6z8l7g0
新緑の鮮やかさが残る初夏の終わりかけ。天の助けが現われた。
「お母様ありがとぉ〜、ってミサカはミサカはプロの手際に恐れ入ってみたり」
「大げさよぉ。もうこんなやつれた顔してっ。若いのにっ」
558:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:51:57.85 ID:Fz6z8l7g0
結婚一年の新婚さんの元に長期滞在するなんて野暮な事、もちろん美鈴はするつもりはなかった。せいぜい一泊させてもらえばいい。
その後はホテルに泊まって、美琴と遊べばいい、と計画していた。
しかし、普通の人生を送ってこなかったこの夫婦だからなのか、予想以上に疲労困憊していたため、数泊を申し出たのである。
559:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:55:45.50 ID:Fz6z8l7g0
ポルシェにエンジンをかけるのも、どれくらいぶりだろう。懐かしい重低音に心が弾む。ましてや隣に打ち止めを乗せるなんて、数ヶ月無かったことだ。
大急ぎでメイクしてヒールを履いた打ち止めの装いは、結婚前のデートを思い出させる。
行き先など相談せずに出発してはみたが、どこへ向かおうか。
560:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 00:57:53.91 ID:Fz6z8l7g0
昼の明るいうちから(しばらく利用できていなかったが)いつものビルに入っているホテルに行くのは恥ずかしかったので、
違う場所を選んだ。そこのスイートのバスルームは、へりにつかまってバタ足できそうなほど大きい。
疲れたそばから、湯にたゆたって癒せるのだ。これは便利。
561:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 01:00:04.12 ID:Fz6z8l7g0
目一杯遊んだ後は、一緒にベッドに転がってピロートークの時間。少しだけ、ほんの少しだけ子育てのことを忘れて、恋人同士の二人に戻る。
これも御坂美鈴のおかげだ。そこで打ち止めにある思いつきが浮かんだ。
562:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 01:06:07.59 ID:Fz6z8l7g0
いくつか見繕っていた式場のひとつに、なんとか空きが見つかった。司祭もスタッフも必要ない、写真撮影だけしてくれ、という条件ゆえに了承が得られた。待機や衣装替えなどの準備をする控室と、教会を一時間ほど貸し切る。
「まだか」
「もういいよー、ってミサカはミサカはあなたにお披露目してみたり!」
563:ブラジャーの人[saga]
2012/06/18(月) 01:08:21.15 ID:Fz6z8l7g0
赤い絨毯が敷き詰められた撮影用の小さなスタジオで、数枚の写真を撮った。
これらは後で家族に見せなければならない。同席を断った手前、せめて写真は見せないと不義理が過ぎる。
もちろん、御坂美鈴にも「渡さないと護を抱いて、ついて行く」と言われていた。
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