31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 00:52:57.87 ID:r4TzUWFEo
妹が口をきいてくれなくなってから、俺は必死になって妹にちょっかいをかけた。
「学校はどう?」と夕食のときに訊ねてみたり、勉強をしている妹に緑茶を差し入れてみたり。
妹は「んー」と頷いているのか唸っているのかもわからない声を微かに返してくれた。そのことに俺は少し安堵した。
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 00:53:26.72 ID:r4TzUWFEo
俺は正直に答えた。
「おっぱい」
33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 00:54:00.81 ID:r4TzUWFEo
俺は丁寧に説明することにした。といっても、説明する事柄なんてそう多くはなかったのだけれど。
なんだか唐突に触ってみたくなったから触ってみた。そしたら口をきいてもらえなくなった。それだけ。
「……バカかお前は」
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 00:54:43.79 ID:r4TzUWFEo
モスは呆れきったように溜め息をつく。彼は几帳面で生真面目な性格をしている。
勉強はできるし人当たりもいい。友達だって多い。何かとクラスメイトに頼りにされる。
そんな彼と、クラスでも浮いている自堕落な俺が友人同士というのは、少し奇妙なことだ。
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 00:55:16.37 ID:r4TzUWFEo
「お前はさ、別に悪い奴じゃないんだけど、短気だし、無愛想だし、思慮が足りないし、無神経だ」
モスは言う。お前の言葉が無神経だと言い返そうか悩んだ。が、だいたい合ってる。
割と傷つくものの、事実なのだから仕方がない。
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 00:56:32.49 ID:r4TzUWFEo
「俺は別にお前が憎くてこんなことを言ってるんじゃないぞ。お前が損してるって言ってるんだよ。根はいい奴なのに」
良い奴ではないよ、と俺は思った。人に迷惑はかけるし、開き直るし。
でも、彼がそう思ってくれているなら、あえて否定することもないだろう。そこまで卑屈にはなりたくない。
37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 00:57:10.04 ID:r4TzUWFEo
「おっぱいはくだらないことじゃないだろ!」と俺は叫ぶ。
「いや、何言ってんだお前は」
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 00:57:36.94 ID:r4TzUWFEo
非常にどうでもいい話なのだが、俺とモスの席は前後に並んでいる。
俺たちふたりは話をするとき、いつも片方の席に集まる。
片方が椅子に座り、片方が机に座る。もちろん向かい合って話をしているわけではないのだが、距離は近い。
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 00:58:39.01 ID:r4TzUWFEo
「いや、待て。誤解だ」
状況に気付いたモスが説明しようとしたタイミングで、廊下からいくつもの足音がやってくる。
言い訳している時間はなさそうだった。
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/05/26(土) 00:59:05.70 ID:r4TzUWFEo
つづく
>>26
そうなりますね
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2012/05/26(土) 01:15:11.95 ID:ldxHuxr+o
乙!
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