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2012/05/26(土) 16:20:25.26 ID:yuDoQasso
「とりあえず話を聞いてほしい。すべて誤解なんだ」
モスは冷静に話を進めようとした。
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2012/05/26(土) 16:20:57.23 ID:yuDoQasso
子犬イケメンはうなずく。
「いや、うん。分かった。そういうことにしておこう」
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2012/05/26(土) 16:21:49.65 ID:yuDoQasso
「別に誰にも言わないから気にしないでくれよ、ホントに。何も言わないから」
彼は怯えたように言う。モスは眉間に皺を寄せた。
俺には自制心が足りなかった。やっぱり一言言ってやろう、と思ったとき、
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2012/05/26(土) 16:22:15.94 ID:yuDoQasso
重々しい溜め息をついて、モスはベンチに腰かけた。俺は溜め息が出そうなのを堪えた。
責めるつもりはない。元をただせば俺の責任だ。だが、これで事態は更にややこしくなった。
「モス」
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2012/05/26(土) 16:22:46.61 ID:yuDoQasso
振り返ると見覚えのある女子生徒が立っていた。
低い身長。藍色のカーディガン。
規定よりはずっと短いけれど、多くの女子生徒よりは少し長いスカート。さらりと肩まで伸びた黒髪。
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2012/05/26(土) 16:23:27.68 ID:yuDoQasso
「誤解だ」
と俺は咄嗟に言った。「修羅場」という言葉の雰囲気は、とてもまずい。
いったいどこから話を聞いていたのかわからないが、その言葉だとまるで――
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2012/05/26(土) 16:23:53.42 ID:yuDoQasso
「……たか、え、誰?」
俺が首をかしげると、モスが苦笑した。彼は疲れ切ったようにうなだれている。
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2012/05/26(土) 16:24:19.40 ID:yuDoQasso
「用事があって彼を探してたんですけど、面白そうなことになってましたね。いったいどうしたんですか?」
「――なんでもない」
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2012/05/26(土) 16:24:51.12 ID:yuDoQasso
「いらない。平気。ぜんぜん大丈夫」
俺は必死になって断った。
幼馴染に問題を説明するとなると、細かい部分までしっかりと訊き尽くされてしまうだろう。
58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 16:25:31.56 ID:yuDoQasso
モスは放課後にもう一度タカヤと話をしようとしたが、彼は早々に部活に向かってしまい、機会を逸した。
俺たちは溜め息をついて教室に残る。
誰にも言わないというのなら、たしかに害はないのだが……一人だけとはいえ、妙な誤解を受けたままなのは嫌だ。
59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/26(土) 16:25:58.49 ID:yuDoQasso
「なあ、話してもいいか」
モスに訊ねる。彼は口をへの字にして考え込んでいたが、やがて頷いた。仕方ない、とでも言いたげに。
俺は別に幼馴染の事情に興味があったわけではない。単に助言を仰ぎたかったのだ。
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