19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/08/11(土) 04:25:17.33 ID:T8SVpnRDo
「そこで皆には内緒、という条件で貴方は真実を告げました」
女はプロデューサーにかまわず話し続けます。
彼はじれったくなってとうとう口を挟みました。
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2012/08/11(土) 04:25:58.41 ID:T8SVpnRDo
「事務所を辞めた後、自宅で過ごしていた時に伊織とやよいが来たんだ」
プロデューサーは思い出すように訥々と語りだしました。
「どうやらそのようだったみたいですね」
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2012/08/11(土) 04:28:38.58 ID:T8SVpnRDo
「ひとしきり部屋を掃除した後、伊織になぜ事務所を辞めたのか尋ねられたんだ。
そこで俺は二人に真実を話した」
「隠そうとはしなかったのですか?」
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2012/08/11(土) 04:29:12.03 ID:T8SVpnRDo
「では、続きを」
「ああ。伊織たちの訪問からちょうど1週間後、
律子から電話があったんだ。」
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/08/11(土) 04:30:10.94 ID:T8SVpnRDo
「貴方が何の感情も見せていなかったから、でしょうね」
「もうあきらめ気味だったからな」
女はそうですか、とだけ言って軽く腕を伸ばすとこう続けました。
24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/08/11(土) 04:31:21.36 ID:T8SVpnRDo
久しぶりに目をつぶって、プロデューサーはこれまでの長い道のりのことを思い出しました。
もちろん、ただ白いもやの中でただただ歩き続けたことも。
ここで一つの疑問が浮かび上がります。
そういえば女は白いもやのことなど全く話していなかったのです。
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/08/11(土) 04:32:17.21 ID:T8SVpnRDo
―――――
「おはようございます」
プロデューサーが目を覚ますと、横で女が正座をしていました。
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/08/11(土) 04:33:36.94 ID:T8SVpnRDo
「事務所に行った次の日にすぐ俺は入院したんだ」
「そうでしたね」
「その辺からどうも弱ってたらしくてね、
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2012/08/11(土) 04:35:07.96 ID:T8SVpnRDo
「入院してすぐ、あなたはまず字を書くことが出来なくなります」
「そうか」
「発症してからずっとつけていた手記も書けなくなりました」
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/08/11(土) 04:36:07.85 ID:T8SVpnRDo
「……謹んでお受けいたします」
「お、おい冗談だよ」
プロデューサーが少し焦ると、
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2012/08/11(土) 04:37:17.97 ID:T8SVpnRDo
「貴方の病状は日に日に悪くなっていきました。
最初のうちは事務所の者がこぞって貴方の見舞いに行っておりましたが
病状の悪化とともにそれも少なくなりました」
「おいおい、俺は見るのも痛ましいくらいになったのか」
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