過去ログ - 奉太郎「38度9分か……」
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1: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:05:12.15 ID:La4hkDje0
これから貼るのは、以前ニュー速VIPに投下しました、
『里志「昨日部室で何が起こったのか」 摩耶花「気になるわね」』
の続編です

2ちゃんの規制が一向に解けないので、こちらに投下することにしました

ついでなので前のから貼っていきます

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2: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:06:20.42 ID:La4hkDje0
放課後。古典部の部室には、わたし一人でした。

わたしは、花瓶に花を活けていました。

昨日、部室を整理していると、可愛らしい花瓶が出てきたので、ちょっと思い立ったのです。
以下略



3: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:07:00.37 ID:La4hkDje0
える「はぁっ」

花が形になったので一息吐き、窓の方へ向かいます。

窓を開けると、爽やかな春の風が舞い込んできました。
以下略



4: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:07:32.39 ID:La4hkDje0
摩耶花さんは椅子に腰掛け、足をぶらぶらさせながら、しばらく花に見蕩れているようでした。

やがて、指先で花びらを突付きながら、いたずらっぽく笑ってこう言いました。

摩耶花「ま、いくら綺麗な花を飾っても、あの朴念仁には猫に小判よね」
以下略



5: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:07:59.72 ID:La4hkDje0
摩耶花「にしても、折木がねえ……。やっぱり信じらんない」

流石は摩耶花さん。もう落ち着きを取り戻した様子で、続けます。

摩耶花「これは天変地異の前触れに違いないわっ!」
以下略



6: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:08:41.39 ID:La4hkDje0
える「えぇっ!? どどどど、どうしてですかっ!?」

声が裏返ってしまいました。

でもでも、摩耶花さんが来てからは、ニヤニヤしたりしてませんでしたし、気取られるようなことはしてないはずですっ!
以下略



7: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:09:14.65 ID:La4hkDje0
える「……あの、摩耶花さん」

摩耶花「ん?」

える「どうして……、わかったんですか? わたし、そんなにわかりやすい性格してるでしょうか……」
以下略



8: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:09:53.83 ID:La4hkDje0
摩耶花「で? で? 何があったの? まさか折木の奴に告白されたとか!?
   ……いやそれはないか。あの省エネ主義者が進んで色恋沙汰に精を出すわけないもんね。
   え? 何? じゃあちーちゃんの方から迫ったの!? きゃーーー!!」

あの……。
以下略



9: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:10:32.87 ID:La4hkDje0
わたしと摩耶花さんは、並んで椅子に腰掛けました。

える「昨日の放課後は、部室にはわたしと折木さんの二人だけでした。
  わたしが来たときは、既に折木さんがいて、いつも通り折木さんは、椅子に座って本を読んでいました」

以下略



10: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:11:10.56 ID:La4hkDje0
える「そこからです。何だかいつもと調子が違ったのは。
  そうです。折木さん、いつもはわたしの方を見ても、チラチラと視線を外すことが多いんですが、そのときは……」

摩耶花「?」

以下略



11: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:11:46.61 ID:La4hkDje0
こうして改めて思い返すと、顔から火が出そうです。多分今、わたしの顔は真っ赤でしょう。

える「その後は至って普通でした。そんなことがあったのに、わたしも折木さんも、何事もなかったかのように振舞いました。
  帰り際、折木さんが言いました。そのときの会話だけは、何故だかよく憶えています。
  『なあ、さっき花瓶が出てきただろ。あれに花でも活けたらどうだ?』
以下略



12: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:12:22.92 ID:La4hkDje0
摩耶花「ちーちゃんは、折木のことが好きなのね」

える「……」

……そう、なんでしょうか。いえ、そうなんでしょうね。
以下略



13: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:12:56.77 ID:La4hkDje0
える「おっ、お見苦じいところを、ひくっ、お見せしましたぁ」

摩耶花「ううん。ほら、涙拭いて」

そう言って、摩耶花さんは、ハンカチを差し出してくれました。
以下略



14: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:13:26.09 ID:La4hkDje0
わたしは、折木さんのことが、好きです。

昨日のことは、わたし、一生忘れないでしょう。そして、今日のことも。

摩耶花「……さてと、それじゃ、わたしそろそろ」
以下略



15: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:14:08.33 ID:La4hkDje0
その日の放課後、俺は図書室にいた。

といっても、特に用があったわけではない。何となく、古典部には足が向かなかったのだ。

……いや、何となくではないな。俺は自嘲気味に笑う。
以下略



16: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:14:35.96 ID:La4hkDje0
いや、でもそれは、俺の望むところではないのか?

今どき、キスひとつで、惚れた腫れたでもあるまい。

何より俺は、自分の信条として、省エネ主義を掲げている。その心は。
以下略



17: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:15:16.66 ID:La4hkDje0
俺はまた笑った。

俺は変わりたいのか? 何かを変えたかったのだろうか?

神山高校に入学して、俺は古典部に入り、千反田と出会った。
以下略



18: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:15:49.38 ID:La4hkDje0
顔を上げ、息を吐くと、里志と目が合った。

奴は、頭を掻き、ニコニコ笑みを浮かべて、近づいてくる。

こいつ、さては今まで、俺を観察していたな?
以下略



19: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:16:17.61 ID:La4hkDje0
里志「何だい? 千反田さんと何かあったのかい?」

ぐっ、鋭い奴め。

奉太郎「いや、何かってわけじゃない……」
以下略



20: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:17:02.19 ID:La4hkDje0
里志「そう言えば登校するとき、千反田さんを見かけたんだけど、手に花束を持っていたな。
  あれ、どうしたんだろう」

ああ、それはな、と言いかけたところで言葉を飲み込む。

以下略



21: ◆axh.jP1Twpjg
2012/09/11(火) 20:17:40.93 ID:La4hkDje0
奉太郎「さて、どうするか……」

とは言ったが、答えはもう、決まっているようなものだった。

古典部に行こう。
以下略



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