過去ログ - エルフ「……そ〜っ」 男「こらっ!」
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644:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:32:14.02 ID:RLjbm7yt0
男剣士「遠慮なんてらしくねーぞ。だいたい、お前あの男の子が気になって全然飯進んでねえじゃねえか。
うちの食事は明るく、楽しくがモットーだろ? そんな悩まれても飯が不味くなるから、とっととあの子のところに行ってこい」

そう言って、男剣士は女隊長の腕を掴んで部屋の外へと連れ出した。拒絶の言葉を男剣士に投げかける女隊長だったが、抗議も虚しく、ずるずると部屋の外へ放り出されてしまった。

以下略



645:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:32:40.48 ID:RLjbm7yt0
男剣士「まったく、相も変わらずうちの隊長はよ〜」

男弓使い「なんと言うか、変なところで優柔不断で」

男槌士「強情というかなんというか」
以下略



646:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:33:18.98 ID:RLjbm7yt0
日が徐々に暮れ始め、周りを歩く人々が帰路につき始める。手を繋いで明るい笑みを浮かべる親子もそんな人々の中にいた。そんな親子を座り込んだまま虚ろな瞳で男はジッと見つめていた。
知らず、あの日に枯れ果てたはずの涙が身体の奥底からにじみ出そうになるのを感じた。もう取り戻す事のできない懐かしい日々を思い出して、自然と身体が反応したのだろう。
弱いままでいたくなくて、何もできずに涙を流す事しかできない自分が嫌だった。変わりたいと思ってこの一年身体を鍛えたり、こうして軍部の前に居座り続けたが己は何か変わったのかと自問する。
だが、答えは返ってこない。変わったといわれれば一年前に比べて少しは筋力も付いただろう。だが、それだけなのだ。エルフ達と戦う力などまだまだない。それどころかそのエルフ達と戦うための場に出る事すらもできていない。
結局、自分は一年前から変化していない。子供だからという理由で守られて、虚勢を張り続けてきた。そして、心のどこかでその理由に甘えてきた。
以下略



647:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/12/05(水) 18:33:56.21 ID:RLjbm7yt0
不意に頭上から声がかけられた。それは少し前にこの軍部の中に入っていった女性の声だった。陽気で、緊張感なんてまるでなく、へらへらと笑っていた女性。女隊長という名で呼ばれていた女性だ。
先程と同じく無視をしようかと男は思った。しかし、一向に己の傍を離れる気配のない女性に苛立ち、つい荒っぽい返事をしてしまった。

男「泣いてない! 僕の事は放っておいてどっかいってくれよ」

以下略



648:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:34:25.36 ID:RLjbm7yt0
女隊長「ねえ、顔あげてよ。君はどうしてこんなところにずっと座り込んでるの?」

拒絶してもなお傍に居続ける女性に嫌気がさし、顔をあげて睨みつける男。そんな彼を見て女性はクスリと笑みを浮かべた。

女隊長「ほら、やっぱり泣いてる。どうしたの? 私でよければ話を聞くよ?」
以下略



649:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:34:59.78 ID:RLjbm7yt0
男「なんで、わかるの?」

不思議そうにする男に女隊長は、

女隊長「ん? それはね……」
以下略



650:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:35:53.26 ID:RLjbm7yt0
女隊長「あっ! やっと笑った。さっきまでの顔より今の方が君にはずっと似合ってるよ」

そう言って女隊長は顔に当てていた手を引き、男の前に差し出した。

女隊長「私は女隊長っていうんだ。君の名前は?」
以下略



651:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:36:40.76 ID:RLjbm7yt0
荒れ果てた土地、やせ細り、人々によって踏みあらせれたその場所には幾つもの簡易テントが立てられていた。負傷者の一時治療所、補給部隊の待機地点、そして戦場から経過報告を告げるために戻ってきた兵士たちが身体を休めるための場所がここだ。
ここから遥か先では巻き上がる砂埃の中に轟音や火花を散らし争っている人々がいる。飛び散る罵声や血潮、そして肉片。殲滅目標であるエルフ達との戦いだ。
早急にでも戦いを終わらせて家族の元に帰りたい兵士達。そんな彼らに殺されまいと必死に抵抗し、敵を倒そうとするエルフ達。
仲間を殺し、殺され、双方ともに争いを終わらせるため、憎い敵を討つために争いを続けていた。その表情にもはや慈悲も遠慮も何もなく、あるのは憎悪と敵を討ち取った際の達成感。
そして、一時とはいえ戦場を離れたこの場所にいるものたちの表情に浮かぶのは虚無感。
以下略



652:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:37:12.19 ID:RLjbm7yt0
上官「ああ、そうだ。どうにも西の山岳付近でエルフたちが集団で移動しているという報告を受けた。はぐれなのか、そう偽っている向こうの戦力の一部なのかはわからないが、何か事が起きてからでは遅いと思ってね。
 君の所の隊は連携も取れているし、戦力も申し分ない。それになにより兵の帰還率が100%というのが一番大きい。こういった偵察任務では一人でも生き残りがいれば任務が達成される。目標の目的が何かは未だにわからないが、それがなんであろうとエルフは人にとって害敵だ。
 何も知らないただのはぐれならすぐさま殲滅。万が一向こうの兵力だった場合はこれを捕らえて拷問、目的を吐かせてもらいたい。ただし、接触はなるべく最小限に。捕らえる事が不可能で、手に負えないようなら戦闘は回避して帰還したまえ」

女隊長「了解しました。我が隊はこれよりエルフ一行の偵察、及び殲滅任務に就かせていただきます」
以下略



653:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/05(水) 18:37:55.17 ID:RLjbm7yt0
声をかけられた女隊長はその場に留まり振り返る。

女隊長「なんでしょう?」

上官「君の隊にいるあの少年だが、一体いつまで傍に置いておくつもりだね。はっきり言わせてもらうが彼はどちらかといえばこの場には不要な人間だ。負傷兵の治療や食料の配給など手伝いをしてくれている点は認める。
以下略



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