61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:39:50.29 ID:c0RIlJVf0
仁奈の家もやはり周りの家と同じく、塀で囲まれた区画にかっちりと詰め込まれた二階建てだ。
2階には小さなベランダ、1階には駐車スペースがあり、ちょっとした高級車が停まっている。
家自体は普通だったが――家の周囲を回る際に、仁奈の部屋ではなく、一階の居間らしき部屋から声が聞こえた。
私は後ろにいるイヴを手で制してから、プレゼント袋やおぼつかない足下を気にしながらその場にかがむ。
こんな時間――時計はすでに3時を回っているというのに、まさか家族そろって起きているのだろうか。
62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:41:50.85 ID:c0RIlJVf0
「問題だなんてとんでもないですよ〜。仁奈ちゃんのお父さん、長いこと海外でお仕事してて帰ってないって聞きましたもの〜」
「なるほど、それならお父さんも是が非でも会いたいところだろうな」
「でも、仁奈ちゃんの夢を壊さないために、悩んでいるみたいですね〜」
ご両親の会話から、大体の事情は掴めた。
63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:42:38.07 ID:c0RIlJVf0
「う〜ん、二人して覗くのは無理そうですから、ここは体重の軽い私が行きましょうか〜」
「そうしよう。プレゼント袋はひとまず私が持っておくよ」
イヴから袋を受け取り、仁奈の部屋を見上げる。
ご両親がいた居間らしき部屋とは反対の面に位置しており、多少の物音くらいなら感づかれることはなさそうだ。
64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:44:31.52 ID:c0RIlJVf0
「あれ、イヴおねーさん? サンタはイヴおねーさんでいやがりましたか?」
「あ、あはは〜。そうですよ〜、」
「そうだったのですか……!? これはすげーことを聞きました!起きてたかいがあったですよ!」
「に、仁奈ちゃん、夜も遅いから静かに、ね〜?」
「は。そうでごぜーました。仁奈はいい子にしなきゃです」
65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:45:23.66 ID:c0RIlJVf0
「本当は寝てなきゃだめなんですよ〜? 悪い子はめっ、です〜」
「うぅー、ごめんなさいです……」
「……でもどうしましょう〜。プレゼント袋はき――先輩が持ったままですね〜」
「お呼びしちゃだめなんです?」
「う〜ん、ちょっとサンタさんにも事情があって…… とりあえず、ずっとここにぶら下がってるのもあれですから、中に入れて貰っても〜?」
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2012/12/27(木) 14:46:35.42 ID:c0RIlJVf0
※ ※ ※
「すご〜い、お部屋の中、きぐるみいっぱいです〜」
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:47:25.16 ID:c0RIlJVf0
ありゃま、これは想定外でした。
仕事場のみんな、それには私も含まれているのでしょう。
仁奈ちゃんからすれば、まさか知ってるおねーさんがサンタとしてやってくるなんて夢にも思いませんから、こうなるのも不思議ではありません。
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:48:58.43 ID:c0RIlJVf0
お手紙っていうのは、ふつうのサンタさんが、どうしても子どもたちと直接お話する事ができないからあるんです〜」
「そーなんです?」
「たぶんそーだと思います〜。だから、運良くサンタさんに会えた子は、ちゃんと直接言いたいことを言えばいいんですよ〜」
悩んだ末、私は臨機応変に、仁奈ちゃんから直接お話を聞くことにしました。
69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:53:07.82 ID:c0RIlJVf0
「パパに会いたい……です……」
「……」
私は面食らっていました。
もちろんお願いそのものが深刻で、ほとんどないケースだというのもありますが、それより。
70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/27(木) 14:55:57.18 ID:c0RIlJVf0
『ご両親が物音などを不審に思っている。まだ決心がついていないようだが、いつそちらに向かうとも分からない。』
私がこうメールを送ると、返信は1分もたたずに帰ってきた。
『私に策がありらみす。木場さんはブリッツ園をベランダ下まで連れと来てくまーさい』
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